名車もF1も恐ろしいほどのハイパーカーも。まもなく開催「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」とは?

■モータースポーツ文化を伝えるために重要なフェスティバル

●脱炭素化のクルマ時代でも未来が見えてくる温故知新イベント

モータースポーツファンたちが心待ちにしている世界的イベント、恒例のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードが、6月23日~26日にイギリスのウエスト・サセックス州のグッドウッドで行われます。

広大な敷地の会場にはメイン、カテドラル、スーパーカーなど、いろいろなパドックの展示スペースが展開され、往年の伝説的名車が世界から集まり披露されます。

見に行きたいという人を寄せ付けるべく、毎年ここで初公開されるスーパーカーなども話題になっています。身近なところにたとえるならば、何が展示されるのかと東京オートサロンを心待ちにしているファンたちと同じ気持ちでしょう。

2021年のフェスティバル・オブ・スピード
2021年のフェスティバル・オブ・スピードでのブガッティ・シロンのヒルクライム©️Christopher Ison

メインイベントでもあるヒルクライムのタイムアタックには、市販スーパーカーの名車からF1マシン、2輪GPで活躍したバイクレーサーまで様々です。有名ドライバーたちのデモランであっても、単なるデモランではない走行を披露。別な場所のラリーステージにも新旧様ざまなレジェンドカーたちが集います。

しっかりと維持されてきた性能をもって走りゆく勇姿を見せてくれる名車たちだけあって、モータースポーツファンたちの垂涎はとまりません。

今年は誰がやってくるのかというイベントのニュースも気になるところで、かのF1ヒーロー、日本にもなじみの深いナイジェル・マンセルも出場するそうです。

変更があると但し書きされているエントリーリストをざっと見ても、マンセルがウイリアムズ・ルノーFW14Bやロータス91、さらにはフェラーリ639で、ミカ・ハッキネンとエマニュエル・ピロがマクラーレンホンダMP4/5Bでデモランとあったり。

フェラーリ75周年ということでメインパドックに大挙展示されるであろう中の一台、フェラーリ365GTB/4デイトナで、大御所ディレック・ベルがデモランするとも。もちろん、彼にお馴染みのグループCマシンのポルシェ956も乗るそうです。

ロータス91
マンセルが駆っていた1982年のロータス91©️John Colley

BMWのツーリングカーなどで名を馳せたステーブ・ソパーもやってくるそうです。ラリー車でもスティグ・ブロンクビストがグループBマシンのアウディ・クワトロS1でデモランするのだとか。出場するチームも多彩で、枚挙にいとまがありません。さらに入場券を購入できれば誰でもがやって来れるので、レジェンドマンにばったり遭遇は茶飯事です。

ミシュランがスポンサードしているスーパーカーパドックには、毎年60台ほどのスーパーカーが豪華絢爛に集います。レジェンドカーはもとより、このところのレストモッド・ハイパーカーブームとも言える流れの中で、限定生産の価格が億円単位、パワー1000馬力、EV高級スーパーカーなども姿を現してくるようになっており、今年は何が見られるのかとファンたちの気を揉んでいます。

2021年ミシュラン・スーパーカー・パドック
2021年ミシュラン・スーパーカー・パドックのケーニグセグ・アゲーラ©️Matt Dunkinson
ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤ

昨年2021年のミシュラン・スーパーカー・パドックにはル・マンにも挑戦しているアメリカのコンストラクターのグリッケンハウスが持ち込んできたグリッケンハウス004S、地元の大御所たちのアストンマーティンV12スピードスター、EVで1000馬力を誇るロータス・エヴァイヤなどが大注目でした。

●「ウン億円」単位のハイパーカーが目白押し

何がセンセーショナルに現れるかは分かりませんが、今のところ展示が発表されているものでも、コーチビルダーのラドフォードが1969年製ロータス タイプ62を現代に蘇らせた「ロータス タイプ62-2」。カルマー・オートモーティブがPorsche 964をレストモッドし、ル・マン優勝9回もあるトム・クリステンセンが名付けた「カルマー7-97」。

1019馬力で2億円もするEVハイパーカー「イスパノ・スイザ·カルメン」。F1で名を馳せてきたゴードン・マーレーの会社、ゴードン・マーレー・オートモーティブが3.9LコスワースV12エンジンで創り上げた650馬力の「GMA T.50」。

2017年からEV市場に乗り込んできたスウェーデンのメーカーによる、プロトタイプの4ドアGTカー「ポールスター5」などなど。驚異の水素燃料エンジンのプロトタイプが展示されるなどとも言われ、なかなか日本ではお目にかかれないものだらけとなるようです。

イスパノ・スイザ·カルメン
イスパノ・スイザ·カルメン

もちろんミシュランだけあって、F1技術を注ぎ込んだハイブリッドパワーのメルセデス「AMGプロジェクトONE」や、デンマークの若い自動車製造会社ゼンヴォ・オートモーティブの、リヤウイングが速度により変動する6Lツインスーパーチャージャーの「ZenvoTSR-S」には、最高峰のレースタイヤを履かせているのですとの一言も。どこかにてらうこともなく添えられた展示となると思われます。

●日本車もスペシャルマシンが大挙

日産ジュークハイブリッドと240Zレプリカ
日産ジュークハイブリッドと240Zレプリカ

世界的注目イベントですので、日本からの主張も例年、必ずそこここに散見されます。たとえば日産は、ヨーロッパ市場で人気のジュークのアピールとして「ジュークHybrid Rally Tribute」をラリーステージでデモランさせ、ジュークのハイブリッドをイギリスで初公開。

加えて1971年にサファリ・ラリーに優勝した240Zの優勝50周年記念ということもあり、そのレプリカバージョンを最先端ハイブリッドのジュークと並べて展示するとのことです。

スバルと因縁の深いイギリスのプロドライブもまた、スバル・インプレッサ22Bを2.5リットルエンジンでモディファイした限定車の「P25」をお披露目するとのこと、そのほか、何が現れるか楽しみでなりません。