パイクスピーク100回記念大会に日本から唯一参戦する、大井貴之選手と日産リーフ

■昨年は出走叶わず、その屈辱を晴らす

1916年に初開催、世界で2番目に長い歴史を持つレースといわれているパイクスピーク インターナショナル ヒルクライム(通称パイクスピーク)は、2022年の今年100回目の記念大会として開催されます。ちなみに世界で一番長い歴史を持つのはインディアナポリス500マイルレース、通称インディ500。こちらは今年106回目を数えています。

このヒルクライム・イベントは、アメリカ中央部のコロラド州にあるパイクスピーク山の中腹からスタートし、標高4301mの頂上めがけて、およそ20kmのワインディングを全開で駆け上がり、そのタイムを競うというものです。

PPIHC GATE
今年、記念すべき100回記念大会が開催されるパイクスピーク インターナショナル ヒルクライム

このパイクスピークに2012年から主に電気自動車で参戦をしてきた「SAMURAI SPEED」ですが、昨年は日本仕様の日産リーフe+ をベースに2台分のモーターを搭載し4WD化したモデルを製作し、これで参戦するはずだったのですが、車検通過後に車両トラブルが発生し、その原因究明と対策に時間を取られ、出走の条件となる公式練習の参加をすることができず、出走を断念しています。

NISSAN LEAF e+ KAI
軽量化と重量配分の最適化を行った参戦車両のリーフe+改

今年は、再び同じ日産リーフe+を使用するものの、シングルモーターのFF駆動に戻し、軽量化のために、大王製紙が手掛ける環境に配慮した新素材「CNF・セルロースナノファイバー」をボディカウルに採用。

熱管理については、サンデンが現在開発を進めている駆動用リチウムイオンバッテリー温度管理システムを搭載しています。

NISSAN LEAF e+ KAI
セルロースナノファイバーでできたボディカウルは一体化してある

決勝を前に車両を米国に運び、チームの運営母体であるゼロイースクエアのアメリカ事務所・フリーモントガレージで準備を進め、車両のカラーリングも完了したことから、「SAMURAI SPEED」は6月17日、そのマシンのカラーリングを公開しています。

これまでと同じ侍のイラストが描かれたボディは鮮やかなブルーメタリックとなっています。

TAKASHI OI
レーシングYouTubeR大井貴之選手がドライバーとして参戦

車両名は「NISSAN LEAF e+ KAI」、参戦するクラスは「アンリミテッドクラス」となり、ドライバーは、クリッカーでもおなじみのレーシングYouTuber大井貴之選手。昨年もこの車両をドライブする予定でしたが、出走できなかったことから、2年越しの参戦ということになります。

本人もすでにアメリカに入国し、身体を慣らしているところです。ちなみにそのゼッケンは「234」となります。これまで同チームが使用してきた230(奴田原選手の名前「ふみお」から取った番号)から今回変更です。

TAKASHI OI
ゼッケンは「234」。足りないのは「1」という意味である

100回目を迎える記念すべき大会は、6月26日(日)に決勝となります。そのレースウィークは20日(月)の公開車検から始まり、翌21日(火)から4日間の練習走行および予選、そして24日(金)夕方には、その地元となるコロラドスプリングスのダウンタウンで行なわれるファンフェスタ、休息日を経て決勝日を迎えます。

チームはコロラド州コロラドスプリングスのベースキャンプに移動しており、レースウィークの始まりを待っています。

(文/写真:青山義明

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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