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■コンセプトは最小のボディに最大の夢を
2002(平成14)年の6月19日、ダイハツから軽自動車の2シーター・オープンスポーツカー「コペン」が発表・発売されました。コペン(Copen)のネーミングは、コンパクト(Compact)とオープンカー(Open-car)を組み合わせた造語です。ちょっとレトロな雰囲気のラウンディッシュなフォルムに、軽初の電動のオープンルーフを備えているのが、最大の特徴です。
●軽オープンスポーツは「ABCトリオ」から始まった
1980年代後半に空前のバブル景気を迎え、ハイソカーと呼ばれる高級車が飛ぶように売れ、軽自動車も高性能、高機能を備えたクルマが人気を博しました。その勢いに乗って1990年代初頭、バブル絶頂期に開発された3台の軽スポーツカー「ABCトリオ」がデビューしました。
「A」は、軽唯一のガルウィングを備えたマツダ・オートザム「AZ-1(1992年)」、「B」はNAながらレスポンスの良い高回転型エンジンを搭載したホンダ「ビート(1992年)」、「C」は軽乗用車唯一のFRスポーツカーのスズキ「カプチーノ(1991年)」です。話題にはなりましたが、バブル崩壊の影響は大きく、販売は伸びずに短期間で生産は終了しました。
●ラウンディッシュな愛らしいボディながらスポーティな走りを見せる
ABCトリオから10年を経て登場したコペンは、限られたスポーツカーファンのために手頃な価格で入手できるスポーツカーを目指して開発されました。丸いヘッドライトとレトロな雰囲気のラウンディッシュなフォルムが可愛らしさを強調。2シーターと割り切っているので、コックピットは軽ながら窮屈さを感じないスペースが確保されています。
パワートレインは「ムーヴ」用エンジンを専用チューニングした660cc直4DOHCターボエンジンと電子制御4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はFFです。特別高性能エンジンというわけではありませんでしたが、800kg程度の軽量・高剛性ボディとスペシャルチューニングのサスペンションによって、スポーティな走りが実現されました。
●世界最小の電動開閉ハードトップを採用
軽で初めて採用された電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」は、ボタン操作によって、アルミ製ルーフが車両後部に僅か20秒で収納される優れモノ。電動式だけでなく、手動で開閉する軽量な樹脂製「脱着式トップ」も用意されました。それまでのオープンスポーツカーは、ソフトトップや脱着式ハードトップがほとんどだったので、軽としては思い切った贅沢な仕様です。コペンにかけるダイハツの熱意が窺い知れますね。
初代コペンは、2012年まで10年間にわたり販売。販売台数は約10年間で5万8496台、市場の小さいスポーツカーとしては上々の販売ではないでしょうか。
10年前のABCトリオがMRとFRであったのに対して、コペンはFFです。スポーツカーでも、より一般のドライバーに歩み寄ったスポーツカーでした。これも、スポーツカーが生き残るためのひとつの解であるように思います。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)