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■水没車にも保険が適用になるケースとは?
梅雨の時期、各地で豪雨による災害への警戒が呼びかけられています。また、これから台風の季節になると、大規模な洪水被害が起こる可能性も大きくなってきます。
2021年8月には西日本を中心に集中豪雨が起き、各地に広範囲な被害をもたらしたことで、被災したクルマの数も相当数に及んだといわれています。今や洪水など自然災害でクルマに被害が及ぶ惨事は、誰にでも起こりうる時代なのです。
では実際にクルマが水没などの被害にあった場合、自動車保険(任意保険)により損害の補償を受けることは可能なのでしょうか?
●車両保険なら自然災害も補償
自動車保険は、交通事故の際に発生した怪我や破損したモノへの補償だけでなく、実は災害によるクルマの修理費なども支払われることがあります。
それは、車両保険に加入している場合です。
車両保険とは、ご存じの通り自分のクルマに対する保険のことです。この車両保険には「一般型」と呼ばれるものと、「一般型」よりも補償の範囲を限定した「限定型(エコノミー型)」と呼ばれるものがあります。
「一般型」は、クルマ対クルマの衝突、接触事故、自損事故、物の落下、当て逃げ、盗難、台風などほとんどの車両事故が補償対象になります。
一方の「限定型」は自損事故や物の落下、当て逃げといった事故には対応しておらず、その分保険料が安くなるのが一般的です。
注目なのはいずれの保険でも、台風や洪水などによる自然災害も補償範囲となっていること。つまり車両保険に加入していれば、豪雨や台風などで愛車が水没したケースでも補償の対象になるのです。
クルマが水没すると、外観はさほど被害がないように見えたとしても、エンジンまで水に浸かってしまい全損になるケースは多いといいます。また、そこまでではなくても、電気系統が故障したりするなどで修理代が高額になることがほとんどです。
そういった場合に車両保険に入っていれば、全損の場合は保険金額を全額、全損でなくても損害状況に応じて個別に損害額が算出され、保険金が支払われます。
ただし前述の限定型の場合、クルマを運転していて豪雨で前が見えず、建物や電柱などに衝突したといった場合など、豪雨時の事故全てが補償の対象になるとは限りません。事前に補償内容を確認しておく必要があります。
ちなみに水害などで車両保険を使った場合、翌年の等級はどうなるのでしょうか?
他人を怪我させたり、相手のクルマなど物を壊したりした交通事故で自動車保険を使った場合は、翌年の等級は3等級ダウンになります。ところが、水没など自然災害で使った場合は1ランクのみのダウン。保険料が上がる幅も少なくて済みます。
●地震による津波での被害では?
日本では水害のほかに気になるのが地震。東日本大震災の際は、建物の倒壊や、津波による被害が多く見られました。
では、そういったケースで駐車場に駐めていたクルマが壊れたり、津波で流されてしまった場合はどうでしょう?
基本的に地震の場合は、車両保険に入っていても補償の対象にはなりません。ただし、いわゆる「地震特約(※地震・火災・津波危険車両全損時一時金特約)」というものに別加入していれば補償を受けられます。
この特約は、地震や火山の噴火、地震が原因で起こった津波による被害などを補償するものです。補償内容は加入する保険会社や契約内容などで異なりますので、実際に加入する際には内容をよく調べてから入ることをおすすめします。
新型コロナウイルス感染症だけでなく、自然災害による被害も多い今の日本。「備えあれば憂いなし」ということわざもありますから、この時期に自動車保険の内容を見直してみるのもいいかと思います。
(文:平塚直樹)
*写真は全てイメージです。
※この記事は2022年6月17日に再編集しました。
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