鉄道の最上級シート「グランクラス」には自動車の技術が生きている?

■地上を走るファーストクラス

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JR東日本E5系のグランクラス。JR北海道H5系は兄弟車で、帯の色やロゴ、内装のカラーが一部異なります

JR東日本で、誰もが乗車できる座席の最上級クラスがグランクラスです。

航空機国内線のファーストクラスを意識して開発され、東北・北海道新幹線用のJR東日本E5系・JR北海道H5系の10号車と、上越・北陸新幹線用のJR東日本E7系・JR西日本W7系の12号車に連結されています。

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JR東日本E7系のグランクラス。JR西日本W7系は双子車で、内外装は同一の仕様となっています

グランクラスのシートはレザー貼り。幅は525mmとグリーン車の475mmよりも拡大されています。シートの間隔は1300mmで、グリーン車の1160mmよりも140mm長くなり、足元がとても広くなりました。

1人掛け席と2人掛け席の1+2列で配置として、定員は僅か18名でプレミアム感が高くなっています。

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E5系グランクラスのシート。リクライニング角度は45度で、国内トップクラスの居住性を誇ります

最大45度まで電動でリクライニングし、レッグレストと可動式枕を装備。肘掛けにはリクライニング角度の調節やアテンダントの呼び出しができるパネルスイッチが設置されています。

肘掛けには大型インアームテーブルとカクテルテーブル、コンセントを設置。そのほかアーム形読書灯を備えています。

2人席の中央にはパーティションを設置してプライバシーを確保。また、バックシェル構造を採用しているので、リクライニングさせても後席に影響を与えません。

そんなグランクラスですが、E5系・H5系用はレカロ製、E7系・W7系用はレクサスのシートを手がけているトヨタ紡織製です。同じグランクラスのシートですが、レカロ製とトヨタ紡織製では細部に違いがあります。ここではその違いを見てきたいと思います。

●レカロシートはシンプルなデザイン

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E5系・H5系のグランクラス。カーペットのカラーはE5系が赤系(写真)で、H5系が紫系となっています

E5系・H5系のグランクラスのカラースキームは明るい印象。シート生地のデザインはプレーンかつシンプルで、欧州車を連想させます。

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E5系・H5系(写真)用シートは電動レッグレストに電動伸縮式のフットレストを内蔵しています

電動リクライニングシートはレッグレストに伸縮式のフットレストを内蔵しています。リクライニングとアテンダントコールボタンのパネルは、1人用が左手側、2人用は外側に設置。パネルのデザインもシンプルです。

ダイニングテーブル・カクテルテーブルは1人席の右手側、2人席の内側に設置。ダイニングテーブルは折り畳み式で横に展開します。また、前後にスライドさせることができます。カクテルテーブルは座席側に展開してスペースを倍にすることができます。

読書灯はフレキシブルアームタイプで、好きなポジションにすることができます。本体を回転させてオンオフする構造なので、慣れが必要かもしれません。

E5系・H5系用のグランクラスシートは虚飾を排した合理主義的なイメージで、いかにもレカロらしい印象を受けます。

●トヨタスピリッツが息づくトヨタ紡織シート

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落ちついた印象のE7系グランクラス。W7系も同一のデザイン・カラースキームとなっています

E7系・W7系の内装は全く同一で、E5系・H5系のような違いはありません。カラースキームはブラウンと赤系で落ち着いた雰囲気を演出。シート背もたれの生地には網目模様がデザインされていて、日本車を連想させます。

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E7系用シートは背もたれの生地のデザインが日本車的。肘掛け全体も生地で覆われています

シート本体だけでなく、肘掛けまで生地で覆われていて、心地いい囲まれ感があります。レッグレストにはフットレストを内蔵しておらず、高級ミニバンのオットマンを連想させます。

操作パネルは全席右手側に統一。リクライニングの個別操作ボタンと一斉操作ボタンの配置を便利にしたほか、読書灯のスイッチが追加されました。

ダイニングテーブルは右手側・カクテルテーブルは左手側に場所を統一。ダイニングテーブルは折り畳み式ですが、前に展開するのが珍しい点です。もちろん前後にスライドさせることもできます。カクテルテーブルは座席側に展開してスペースを倍にすることができますが、コンセントの位置と違うので、スマホの充電の際はコードの長さに注意。

読書灯は右手側に統一。関節が付いたアームタイプで、ポジションの調整が可能です。前述したとおりスイッチが肘掛けのパネルに付いたので、操作がわかりやすくなっています。

E7系・W7系用のグランクラスシートは、トヨタ車に感じられる、かゆいところに手が届く使いやすい仕様となっています。グランクラスを利用する人の年齢層は高いので、こちらの方が歓迎されるかもしれません。

●割安なアテンダントサービスなしも設定

最上級シートのグランクラスは、当然ながら料金も最上級です。グランクラスを利用する場合、普通車指定席料金から530円引いた金額に、距離に応じたグランクラス料金を加えます。

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グランクラスのロゴ

アテンダントによる軽食・フリードリンクサービスも含まれているグランクラスA料金は6540〜11840円です。

また、アテンダントサービスなしで、シートのみを利用するグランクラスB料金の列車も多く設定されていて、こちらの料金は4450〜9750円となっています。

なお、JR東日本区間とJR北海道区間・JR西日本区間を跨がって乗車する場合は、それぞれの区間のグランクラスA料金から1050円を引いた金額を合算します。

鉄道版ファーストクラスと言うだけに料金は決して安くはありませんが、欧州の高級車やレクサスを買うことを考えればお得かもしれません。

ぬまっち

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛)

ぬまっち(松沼 猛) 近影
1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。