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■クルマに関係する税金は非常に多い。税負担を見直す必要があるのでは?
毎年5月は自動車税の納付時期となっています。クルマを保有する人にとって、一年に一度の大きな税負担のタイミングです。
この他にも、「クルマを買う」「持っている」「使う」というそれぞれのタイミングで、様々な税金を支払っていることをご存知でしょうか。
今回はクルマにかかる税金を紹介していくとともに、近年変わりつつあるクルマを取り巻く税金の動きを解説していきます。
●クルマにかかる税金はこんなに多い
クルマは買うときにも、持っているときにも、そして使うときにも、常に税金と隣り合わせになっているものです。
その税金は国に納める国税だけでなく、地方公共団体に納める地方税もあり、自動車ユーザーは常にさまざまな税負担を強いられています。
まずクルマを購入する際にかかっているのが、「自動車税種別割(旧・自動車税)」「軽自動車税種別割(旧・軽自動車税)」「環境性能割(旧自動車取得税)」「自動車重量税」「消費税」の4つです。
クルマを購入する際に取り交わす注文書には、これらの税が明記されています。諸経費という名前でひとくくりにされることもありますが、これらの税金を払わなければクルマを購入することはできません。
次にクルマを保有している際にかかっているのが、一年に一度払う「自動車税種別割(軽自動車税種別割)」、車検時に負担する「自動車重量税」になります。
さらに、クルマを利用する際に必要な燃料にも税金がかかっています。
ガソリン車であれば「揮発油税」と「地方揮発油税(旧・地方道路税)」、ディーゼル車であれば「軽油引取税」、LPG車であれば「石油ガス税」がかかっており、加えてすべての燃料に「消費税」が付加されています。
●令和元年10月に変わった自動車関連税
2019年10月に、クルマに関係する税金が大きく変わりました。
まずは、自動車税の減税と名称変更です。自動車税は正式には自動車税種別割という名称に変わり、2019年10月以降に購入する新規登録車(新車)から、自動車税種別割の税額が変更されています。
排気量ごとに決められた税額を支払っている自動車税ですが、全排気量で自動車税が引き下げられるのは、1950年の制度開始以降初めてのことになります。
最も引き下げ額が大きいのは、排気量1000㏄以下のクルマで、2万9500円から2万5000円へ4500円の引き下げとなっています。
1000㏄超1500㏄以下では3万4500円から3万500円へ、1500㏄超2000㏄以下では3万9500円から3万6000円へ、2000㏄超2500㏄以下では4万5000円から4万3500円へ、自動車税種別割が変わり、2500㏄を超えるクラスでは、従来までの税額からそれぞれ1000円の引き下げが行われています。
ただし適用されるのは2019年10月以降に新車購入したクルマに限られるため、それ以前に購入されたクルマを保有している場合や、2019年10月以降でも中古車を購入した場合には、そのクルマの初年度登録が2019年10月以前であれば、新しい税額は適用されません。
また、初年度登録から13年を超えたクルマに課される自動車税種別割の増税措置は継続して行われています。
次に、自動車取得税が廃止され環境性能割が導入されました。これまで車両本体金額50万円を超えるクルマには一律で、普通自動車であれば取得価格の3%、軽自動車であれば同じく2%の税率がかけられていましたが、燃費基準の達成度合いによって税率を変動させる仕組みに変わりました。
(編集部注:「取得価格」とは課税標準額とオプション価格の合計。「課税標準額」は一般に車両価格の90%。)
変動の割合は0%(非課税)から3%までです。名称は変わりましたが、実質的な自動車取得税のような仕組みは変わっていません。
また、これまで通り自動車重量税と自動車取得税の軽減措置であるエコカー減税は、2023年4月30日まで延長して適用されています。いっぽう自動車税種別割に対しての軽減措置であるグリーン化特例は、エンジン車に対する割引が終了し、電気自動車にのみ、2023年3月31日まで適用されています。
●ガソリン価格は半分が税金?
近年、大きく値上がりしているガソリンにも大きな税金がかけられています。ガソリンには揮発油税(地方揮発油税)、軽油には軽油引取税がかけられていて、そこに消費税10%もかけられています。
例えばガソリン価格が1L当たり160円の場合、その内訳は揮発油税(地方揮発油税)が53.8円、石油税が2.8円、ガソリン正味の価格は87.4円。さらに消費税がガソリン本体価格と揮発油税、石油税の合計に対して16円課税され、ガソリンは160円で売られているというわけです。
通常、消費税はモノの本体の価格に対してかけられるものですが、ガソリンについては本体価格に加えて、揮発油税と石油税の税金に対しても10%の税率がかけられており、Tax on Tax(二重課税)になっているのではないかという問題も提起されています。
また、2018年に突如議論され始めたのが走行税の導入です。現在ではまだ検討中となっており、税制大綱にも具体的には盛り込まれていません。
これは、クルマが走った距離に対して課税をするという考え方で、ガソリン税の代わりになるものと言われています。
実際に、電気自動車や燃料電池自動車ではガソリンを使わないために、保有ユーザーのガソリン税の負担はなくなります。つまりEVやFCVが増えてくるとガソリンの使用料が減り、税収が少なくなることから、どのクルマでも一律に走った距離に対して課税をしようと考えているのが走行税です。
EVやFCVの普及が進んでいくと、現実味を帯びて導入される可能性のある新たなクルマに関する税金が検討されているということは、理解しておくべきでしょう。
●まとめ
自動車税種別割、自動車重量税、消費税のように項目が明記されていて、税金を払っているなという認識の強いものから、価格の中に組み込まれていて、表面的には見えなくなっている揮発油税のようなものまで、クルマにかかる税金は非常に多くの種類があります。
自動車税を支払う、この5月、クルマの税金について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
(文:佐々木 亘)
※この記事は2022年5月3日に再編集しました。
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