400万円台の価格帯は魅力的。ルノー・アルカナをクリッカー編集部員が仕事そっちのけで街乗り試乗レビュー

■日本のハイブリッドとは違うヨーロッパのフルハイブリッドに驚き

●競争率8倍超のアルカナ試乗会に編集部員が偶然当たった!

アルカナ先行展示・試乗会
代官山T-SITEに展示されたルノー・アルカナ

魅力的な装備と価格で登場したルノーのクーペSUVアルカナ。皆さんはもうチェックしましたか? YouTubeのクルマ系チャンネルに動画も上がっていますが、再生数もうなぎ上り。世間の興味の高さをうかがわせます。

アルカナ先行展示・試乗会
通りすがりの人も立ち止まってチェック

そのアルカナ、ディーラーでの展示会などはもう少し先になりそうですが、一足先に全国4都市(東京・大阪・福岡・名古屋。※すでに申し込みは締め切っています)で先行展示・試乗会を実施中。実は筆者もアルカナが気になっていたので、イチクルマ好きとして東京での試乗会に応募してみたところ(コネなど一切ありません!)、なんと8倍超という難関を乗り越え運よく当選!

そこで今回は、アルカナ・ファンを代表してその模様をお伝えしましょう。

●街乗りで使いやすそう!

アルカナ先行展示・試乗会
試乗に使われた3台

時は4月23日(土)、会場となったのは東京・渋谷区にある代官山T-SITE。待ちきれず、試乗時間の1時間も前に現地に着くと(笑)、多くの輸入車がひしめく駐車場の一角で、黒いアルカナが存在を主張しています。日本のアルカナは全4色なのですが、今日はこの黒(ノワールメタルM)が展示車、残る3色(ブランペルレM/ブルーザンジバルM/オランジュバレンシアM)が試乗車として運用されるようです。

アルカナ先行展示・試乗会
代官山の風景にもマッチしてます

実物を一目見て直感したのは、「こりゃ街乗りで使いやすそうだ」ということ。アルカナのサイズは全長4570×全幅1820mmで、マツダのCX-5(全長4575×全幅1845mm)とほぼ同じなのですが、全高が1580mmに抑えられているため(CX-5は1690mm)、上屋のマスが小さく、実に扱いやすい印象を受けるのです。

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ラゲッジ容量はこの状態で480L

車高の低さは、もちろんクーペSUVとしての流麗さにも役立っています。なだらかな弧を描くルーフラインは、やっぱりかっこいい。踏ん張ったリアフェンダーや厚みのあるリアフェイスと相まって、力強さと精悍さが共存するたたずまいとなっています。

展示車をのぞいている人に声をかけて話を聞いてみたのですが、やはりこのクーペのシルエットは魅力的ということでした。

●走る気にさせるインテリア

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R.S.ライン仕様のインテリアはスポーティ

試乗時刻となったので、受け付けを済ませて試乗車に向かいます。筆者が乗るのは「ブランペルレM」という、うっすら青みがかった白いボディ。個人的に一番気になる車体色です。

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ロングホイールベースの恩恵でリアシートの広さも合格点
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黒を基調に赤いステッチの差し色がアクセントになった室内

ドアを開けると、車内はスポーティな雰囲気がぷんぷん。それもそのはず、日本仕様はルノーのファイティングスピリットの象徴でもあるR.S.ライン仕様となっており、赤を差し色としたブラックトーンでまとめられているのです。ただシートに座ってみると無骨な印象はなく、座面の硬さや着座位置などは日常のドライブにフィットしたものだと感じました。SUVの「ちょっと高めの視点」って、都市部でのドライブにほんとありがたいですよね。

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リアシートの頭上空間もまるで問題なし

クーペシルエットと引き換えに、リアシートのヘッドルームが犠牲になっていないかをチェックしたのですが、杞憂でした。普通に座って、頭上にはこぶし二つ分程度の余裕。いっぽう足元は広大というほどではありませんが、2720mmというホイールベースが奏功して合格点。ファミリーでロングドライブに出かけても、不満が出ることはないでしょう。

●日本車とはまるで違う画期的フルハイブリッドシステム

アルカナ先行展示・試乗会
ブランペルレMのモデルに乗って張り切る筆者

いよいよスタートボタンを押してスタートです。ここまでスタイルの話ばかりしてきましたが、アルカナのもうひとつのトピックが、日本初のフルハイブリッド輸入車だということ。ルノーは提携関係にある日産の「e-POWER」などに頼らず、あえて独自の「E-TECHハイブリッド」を開発したのです。

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ルノー渾身のE-TECHハイブリッド。右のインバータの下にメインモーターとSMGが隠れてます

その独自っぷりがまたすごい。ヨーロッパでは高速クルージングが当たり前ですから、ルノーはその領域でハイブリッドユニットの効率が低下することを問題視したのでしょう。1.6L自然吸気エンジンとメインモーターの間を高効率で知られるドグクラッチで繋ぎ、その回転同調をSMG(スターターモータージェネレーター)で行うという、画期的な仕組みを生み出したのです。

●ドグクラッチ+モーターの原理は難しくても凄さは分かる!

アルカナ先行展示・試乗会
想像以上のモーターの活躍ぶりに感動する筆者

その複雑な動作原理は筆者にはにわかに理解できませんでしたが、走り出したらそのすごさはビンビン伝わってきました。

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ホイールサイズは7J-18。ここにも赤の差し色が配されてます

まず発進は100%モーター。早朝の自宅出発などではありがたい仕様です。そのままスルスルと加速してもエンジンはかからず、50km/h程度まではモーターが、静かに、分厚いトルクをこんこんと生み出し続けます。今回はわりと混雑した市街地の走行でしたが、「他車の車線変更で思わずブレーキ>再加速」といった状況でもモーターが瞬時に駆動力を伝えるため、クルマの動きがギクシャクしません。ギアを「B」に入れておけばワンペダルによる加減速も可能ですから(停止までは介入せず)、電動車独特のらくちんドライブも可能です。

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フロントバンパーの端っこに開いたダクト。タイヤハウスにエアを流し空気抵抗を抑えます

ドグクラッチと聞くと、レーシングカーのような「荒っぽさ」を連想する人もいるかもしれませんが、その存在はまるで分らず。エンジン側に4段、モーター側に2段あるトランスミッションと見事に連携して、無段階変速かのようにアルカナを走らせます。

乗り味のよさにも驚きました。アルカナのプラットフォームは日産ノートと同じ「CMF-B」ですが、車体のしっかり感は予想以上。操舵系もガッシリ固定されている感覚で、ステアリングを切るのが楽しくなります。サスペンションはダンパーの微小応答性が秀逸で、路面のザラザラをうまく消してくれる感じ。それでいてムダな動きはせず、ニュルでタイムアタックに挑むルノーの血統を感じさせました。

●改めて400万円で買えるクーペSUVにうっとり

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市街地でも扱いやすいボディサイズです

ここまでは「ECO」モードで走ってきたので、センターコンソールにあるスイッチで、マルチセンス(走行モードや照明のカスタマイズ機能)を「SPORT」に切り替えてみました。モーターの制御が変わり、エンジンの介入が積極的になります。とはいえ市街地の流れに乗って走るうえではあまり出番はなく、筆者はECOモードでも十分快適でした。ちなみにこのE-TECHハイブリッドはエネルギー回生能力も優れていて、その効率は90%にもなるのだとか。それでいてブレーキのタッチはナチュラルで、物理ブレーキとの協調制御がうまくできている印象でした。

ルノーの最新モデルだけに、アルカナは最新の運転支援システムも備えているのですが、市街地ドライブゆえ今回はその機能を試すまでには至りませんでした。フルハイブリッドだけに燃費も気になるのですが、これらはロングドライブに恵まれた際のお楽しみとしておきましょう。

アルカナ先行展示・試乗会
カッコいいスタイルにハイブリッドがついて429万円は破格!

わずか30分程度の試乗でしたが、うれしい気付きや発見がいくつもあり、筆者はアルカナにいっそう惚れ込みました。ハイブリッド機構に違和感を覚えるようなことは一切なく、むしろあらゆる場面で走りやすさに貢献してくれるのです。それでいて400万円台、しかもクールなクーペSUVというのは非常に魅力的で、検討に値する1台だと思いました。残念ながら4都市の先行展示・試乗会は締め切ってしまいましたが、5月には全国ディーラーでの試乗も始まるはず。一度ステアリングを握ってみることをオススメします!

●ルノー・アルカナ R.S. LINE E-TECH ハイブリッド主要諸元

アルカナ先行展示・試乗会
ルノー・アルカナ

全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
ホイールベース:2720mm
トレッド(前/後):1550/1560mm
最低地上高:200mm
車両重量:1470kg
最小回転半径:5.5m
定員:5名
エンジンタイプ:自然吸気4気筒DOHC16バルブ
排気量:1597cc
最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3600rpm
メインモーター:交流同期型
最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200-1677rpm
サブモーター(HSG):交流同期型
最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm
最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200-1677rpm
電力用主電池:リチウムイオン電池(1.2kWh)
燃料タンク:50L(無鉛プレミアム)
駆動方式:前輪駆動(FF)
トランスミッション:電子制御ドグクラッチマルチモードAT
懸架方式(前/後):マクファーソンストラット/トーションビーム
タイヤ(前後とも):215/55R18
価格:429万円(税込)

(文と写真:角田 伸幸

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この記事の著者

角田伸幸

角田伸幸 近影
1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っているクルマの名前が全部言える子供」として育つ。上京して社会人になるもクルマ以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。