ルーキーテスト合格のその日にコースレコードを上回る。BMW Team Studie × CSLのアウグスト・ファルフスとは何者?【SUPER GT2022】

■世界戦のチャンピオンでもルーキーテストを受けなくてはいけないSUPER GT

BMW Team Studie × CSLの第2ドライバーとして登録されているアウグスト・ファルフス選手。

アウグスト・ファルフス選手
アウグスト・ファルフス選手

ドイツツーリングカー選手権DTMや世界ツーリングカー選手権WTCCなどでBMWのワークスドライバーとして活躍し、近年では2018年にマカオグランプリのFIA GT3ワールドカップにBMW M6 GT3で優勝、2020年のインターコンチネンタルGTチャレンジでもBMW M6 GT3でチャンピオンになるなど華々しい経歴の持ち主です。

日本でも2014、2016、2017年のSUPER GT鈴鹿1000kmレースでBMW Team Studieの第3ドライバーとして参戦、また2019年のSUZUKA10HではBMW Team Schnitzerとして参戦しています。

Studie BMW M4
Studie BMW M4

そんなアウグスト・ファルフス選手は、SUPER GTにシーズンエントリーをするのは今シーズンが初めて。また、SUPER GTで走るのも5年ぶり。

SUPER GTの規定では「2シーズン以上スーパーGTレース競技会に参加していないGT300クラスのドライバー」はルーキーテストを受けなくてはいけません。

ちなみに、GT500クラスのドライバーはメーカーが技量などを保証しての参戦となるため、ルーキーテストは行われません。

Studie BMW M4
Studie BMW M4

ルーキーテストの内容は、「連続した12周をスピンやコースアウトなくレーシングスピードで安定して走行する」ということ。このレーシングスピードで安定して走行するという部分は、規定のラップタイム以上で走る必要があるということになります。その上で、マナーや熟練度を見て主催者のGTアソシエーションが総合的に判断します。

アウグスト・ファルフス選手
アウグスト・ファルフス選手

海外でどれだけ優秀な成績を収めていても、GT300に参戦するドライバーはルーキーテストを受けなくてはいけません。そのルーキーテストの機会も、コロナ禍以前は公式テストの日に限られていましたが、コロナ禍の現状では外国人選手の入国に様々な制限がかかることもあって、予選日のフリー走行でもルーキーテストを行うとされています。

そのため開幕戦岡山まで来日できなかったアウグスト・ファルフス選手は、4月16日の予選前のフリー走行でルーキーテストを受け、見事に合格をしました。

●荒選手がQ1突破。そしてQ2でレコードブレイクをしたアウグスト・ファルフス選手

ルーキーテスト合格で午後の予選に参加することができるようになったアウグスト・ファルフス選手は、Q2を担当することとなります。

アウグスト・ファルフス選手
アウグスト・ファルフス選手

ルーキーテストを兼ねた16日午前中のフリー走行では「SUPER GTはタイヤがグリップしすぎる」と漏らしていたアウグスト・ファルフス選手。

確かに、アウグスト・ファルフス選手がこれまで戦ってきたレースは、ほとんどがワンメイクによるコントロールタイヤ制でしたので、タイヤがグリップしすぎるという状況は無かったようです。

その上、日本のサーキットはヨーロッパのサーキットに比べて路面の舗装がグリップしやすいようにできているので、より一層のグリップ感を感じているようです。

Studie BMW M4
Studie BMW M4

そんな中で予選が始まると、Q1を担当した荒聖治選手が1分25秒338でQ1を突破します。

Studie BMW M4
Studie BMW M4

そして注目のアウグスト・ファルフス選手のQ2。

ラスト2分で各チームがタイムアタックする中、アウグスト・ファルフス選手は1分24秒762で、2019年にARTA NSX GT3が出したコースレコードの1分24秒889を上回るレコードブレイクで予選7番手となります。

アウグスト・ファルフス選手
アウグスト・ファルフス選手

17日の決勝レースも、巧みなブロックで終盤まで5番手をキープしてポイント獲得か? と思わせる展開を見せていたアウグスト・ファルフス選手。他車の追突によりリタイヤとなってしまったのは残念でしたが、恐るべきポテンシャルを開幕から見せてくれたことには変わりありません。

5月3(火)、4日(水)の第2戦富士では450kmのレースとなるため、近藤翼選手を含めて3人体制のドライバーラインナップとなります。そんな富士でもアウグスト・ファルフス選手の走りはきっと光ることでしょう。

(写真、文:松永 和浩

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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