ヤマハ発動機の社内副業制度は、挑戦する社員に新たな成長する機会を与える

■部署の異動なく、労働時間の一部に充てられる副業制度

ヤマハ発動機には、「社内副業制度」があるそうです。

毎年、さまざまなプロジェクトの要員を全社から募集する制度。自ら成長しようとする社員に、挑戦の機会を与えることを目的に導入されています。今回の「社内副業制度」は、従業員の自己価値向上の支援、部門を超えたつながりの強化、さらにはチャレンジする風土の醸成などを目的とした人事制度となっています。

ヤマハ発動機
社内副業制度を使い毎週4時間、人事戦略部でデータ分析の副業に取り組む中村さん(右)

具体的には、社内の各部門が業務テーマを掲げて人材を募り、これに応募した社員が社内審査を通過すれば、労働時間の一部を充てるかたちで、部署の異動なく新たな仕事にチャレンジすることができる利点があります。

今回のヤマハ発動機のニュースレターは、「社内副業制度」を利用している声が紹介されています。

PF電技電子システム開発部の中村和樹さんは、所属部門で電動モビリティのソフトウェア開発を担当されているそうです。「社内副業は、新鮮な刺激や気づきも多いですし、自分なりに精一杯取り組めている手応えがあります。また、副業を通じて得られる新たな知識、柔軟な発想力は、本業でも活きてくると感じています」と手応えを語っています。

中村さんは、2022年1月から開始された同制度を利用して、現在、人事戦略部で職場改善のためのデータ分析などの業務にも従事しているそうです。さらに中村さんは、「私の場合、毎週4時間が目安。本業に近い電動系の副業募集もありましたが、正解、不正解が明確な技術と違い、確かな答えのない領域にも興味を抱き、あえて人事の仕事に応募しました」と畑違いともいえる領域に手をあげたそう。

ヤマハ発動機には、社内副業制度と同様の目的を持つ人事制度として、「セルフ・バリュー・チャレンジ(SVC/1998年開始)」があります。どちらも自己価値を高めていくことを目的としたもの。

企画担当者は、「SVCは異動を伴うことからチャレンジには大きな決断も必要です。新たなチャレンジに、より柔軟に取り組める機会も提供したい」と、新制度が開始された背景を説明しています。

ヤマハ発動機
副業を受け入れる側も「理系のアプローチが非常に新鮮」とメリットを実感している

一方で、迎え入れる職場のメリットも小さくありません。

「人事は基本的に文系出身者が多い職場」と話すのは、人事戦略部で社内副業メンバーとチームを組む佐原康介さん。「私たちが疑いを持たずに受け入れてきた一般論について、中村さんは理系のアプローチで本当にそうですか?と疑問を呈してきます。また、事業の視点を入れて分析をかけていきたいという私たちの課題にも貢献してくれる人材です」とその利点をあげています。

現在、社内副業制度を使って、他部門の業務を兼務している社員は25人いるとのこと。

「自らのユーザー視点を製品の企画、開発に活かしたい」「グローバル化のさらなる進展に貢献したい」など動機はさまざまです。中村和樹さんは、「ソフトウェアを書くという技能で、ある程度の貢献はできるだろうと考えていました。でも、それを実感してもらうには、さらに勉強が必要。新たな知識や技術の習得に向けた動機づけにもなります」と同制度による自身の成長に手応えを得ているようです。

塚田勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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