■外径を変えずにホイールサイズをアップさせるのがインチアップ
クルマのドレスアップ記事などを読んでいると「インチアップ」という言葉がよく出てきますが、インチアップとはいったいどんなことなのでしょう。そしてインチアップするとどんな効果が得られるのでしょうか?
最近ネットやテレビで「ギガが足りない」とか「ギガが余る」という言葉を聞くことがあります。このときの「ギガ」は通信容量を示す「ギガバイト」のことを示しています。日本語での会話ではときどきこうした使い方をすることがあり、それがワケのわからない事態を引き起こすことがあります。インチアップのインチとはホイールの直径のことを示しています。まあ「ギガ」は接頭辞で「インチ」は単位なので、ギガよりはマシといえばマシです。
ホイールを交換してドレスアップしようとしたとき、ホイールの直径を大きくすることでかっこよさをアップしようというのが「インチアップ」の基本的な考え方です。大きくするのはあくまでもホイールの外径で、タイヤの外径ではありません。ホイールを大きくする代わりにタイヤの扁平率(ハイト=サイドウォールの高さ)を下げて、タイヤの外径は同様に保とうというわけです。
●フェンダーなどとの接触や空気圧低下に注意
インチアップの例をあげてみましょう。たとえばタイヤサイズを「195/65R15」から「215/50R17」に変えるケース。タイヤの偏平率を65%から50%へと下げる(=薄くする)ことで、タイヤの内径(=ホイールサイズ)が15インチから17インチへとアップするわけです。
外径はほぼ変化がないので、外径が影響してボディへの接触することはあまり考えられませんが、気を付けたいのは、タイヤの幅が広くなってフェンダーやダンパーと接触しやすくなること。こういった場合は、ホイールのオフセットを変えたり、スペーサーを追加したりするのですが、不安がある場合は、経験豊富なショップに作業を依頼したほうがいいでしょう。
注意点は他にもあります。インチアップを行ってタイヤのハイトが低くなると、段差乗り越え時などにタイヤが変形してホイールに当たることが考えられるので、運転の際の気配りが必要です。またタイヤの中に入る空気の絶対量も減るので、ちょっとした空気漏れが大幅な空気圧低下につながることも・・。空気圧管理をこまめに行うことが大切になります。
タイヤのハイトが小さくなるとタイヤの変形する量が少なくなるので、乗り心地が硬くなることが一般的です。コーナリング中のタイヤの変形量も減るのでコーナリングが安定し、コーナリング性能が高くなる……という気もしますが、タイヤのハイトが低いとコーナリング性能が向上するとは限りません。F1のタイヤはかなり大きめのハイトのタイヤでありながら、高い性能を実現しています。
また、インチアップ時により開口部の大きいホイールをチョイスすると、ホイール内部の空間が拡大し、ノーマルのブレーキキャリパーやブレーキディスクが貧弱に見えてしまう場合もあります。内部が見えにくいデザインのホイールを選ぶことでカバーしましょう。
(文・諸星陽一)
※この記事は2022年4月1日に再編集しました。
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