ボルボC40 Rechargeの流麗で個性的なデザインは、単なるクーペ化ではない新しいスタイルを取り入れること【クルマはデザインだ!】

■ボルボ初の電気自動車SUVのスタイル魅力をさぐる

C40・メイン
クーペ化のキーポイントは「滑らかさ」か?

ボルボ国内初のEVである「C40 Recharge」は、流行のSUVクーペスタイルでの登場となりました。

「より低く、洗練された」と謳われるスタイルの魅力はどこにあるのか? あらためてそのデザインに注目してみました(※写真は海外仕様)。

●シャープさから滑らかさへの移行?

「40」という数字が示すとおり、スタイリングの上で「C40 Recharge」は「XC40」のクーペ版であり、これはアウディのQシリーズSportbackやBMWの「X4」「X6」などと同じ発想です。

それって、単にSUVの屋根を低くしただけの流行モノでしょ?と思われそうですが、そう簡単な話ではありません。その点、C40 Rechargeは非常によく練られたデザインで、ポイントはどうやら「滑らかさ」にあるようです。

C40・フロント
エンブレムも含めてシンプル化されたフロントフェイス

フロントのボディ同色グリルは最近のEVでよく見られる手法ですが、もともと凹面だったところへ、逆に厚みを持たせたパネルで立体感を持たせています。ここに載るエンブレムのグラフィックを、一部シンプルな表現に変えているのが芸の細かいところ。

また、バンパー部を見ると、XC40ではSUVらしく左右を大きく開口していましたが、C40 Rechargeではここを平滑化した上でフォグランプを埋め込んでいます。

結果、フロントビュー全体が非常に「滑らかな」イメージに変化しています。

C40・サイドフル
アーチ形のルーフと後ろに延びたベルトライン

クーペ化として見所の多いサイドビューですが、ここではルーフの形状が肝です。一部ライバルのように単にボディ後半を下げるのではなく、C40 Rechargeではルーフ全体が「滑らかに」アーチ形を描いていて、クーペ化にありがちな「取って付けた感」がまったくありません。

ベルトラインは、XC40よりも後ろに延長された上でキックアップ。これにより長くなったサイドウインドウの形状には落ち着き感が出ました。ちなみに、キックアップしたベルトラインはそのままリアスポイラーにつながります。

C40・サイド
ドア下のラインも「滑らかな」表情に変化

一方、ドア下のキャラクターラインにも手が入れられています。XC40では直線的で彫りの深い表現でしたが、ここもまた「滑らかな」柔らかい凹面に変更されました。当然ですが、従来の形状ではアーチ形のルーフと相性が悪いのです。

●イメージを一新したリアビュー

C40・リアランプ
縦から横にイメージを変えたリアパネル

また、リアでは縦から横への移行が見られます。まず、ランプ形状がXC40の縦形から大きく外側にラウンドした横形イメージとなりました。さらに、このランプに沿ってV字の深い溝が水平に設けられ、リアパネルを上下に分割したように見えます。こうして、リアビュー全体が横基調のワイドイメージに変化しました。

サイズとしてはXC40に対して15mm長く、5mm低くなっていますが(全幅は同一)、実車を見るとこの数字以上に大きな変化を感じます。それは単に各部分の話ではなく、ボディ全体がシャープさから「滑らかさ」に変化したからだと思われます。

C40・リア
非常にバランスのいいリアビュー

新世代のボルボは、非常にシンプルで高い品位を感じさせるデザインが大きな特徴です。

これまでのシリーズに加え、C40 Rechargeのような、いわば変化球についても、単に部分的な変更に止まらず、トータルで新しいデザインテーマを与えているところが「らしい」ところです。

(すぎもと たかよし)

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この記事の著者

すぎもと たかよし

すぎもと たかよし 近影
東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、クルマも最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。