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■お値段1000万円超? 日産を代表する1990年代の名車
タレントのヒロミさんが、自身のYouTubeチャンネル「Hiromi factory チャンネル」で、日産「R32型スカイラインGT-R」を購入する動画が話題になっています。
スカイラインGT-Rといえば、1969年の初代モデル以来、日産が誇るスポーツカーの代名詞。なかでも1989年に登場したR32型は、数々のレースで活躍したこともあり、その高性能ぶりが今でも語り継がれる名車中の名車です。
動画でヒロミさんが「お宝」と表現するほど今ではかなり貴重なモデルなのですが、実際にどんなクルマだったのでしょうか?
●世界中で人気の「第2世代GT-R」
スカイラインGT-Rは、日産のセダンモデルである「スカイライン」をベースにしたスポーツモデルです。前述の通り、初代モデルは1969年に登場した「スカイライン2000GT-R」。3代目スカイライン、通称「ハコスカ」をベースに、レース出場を前提に開発された2.0L・直列6気筒エンジン(S20型)を搭載したモデルで、実際に数々のレースで輝かしい戦績を残しました。
ヒロミさんが購入したR32型スカイラインGT-Rは、これも前述の通り、1989年に登場。GT-Rとしては3代目で、2代目モデルから約16年ぶりの復活を遂げた「GT-R」だったことで、当時大きな話題を呼びました。
ちなみに、このR32型から後継の4代目R33型、5代目R34型までを「第2世代GT-R」と呼び、今でも国内はもちろん、世界中で多くのファンから支持を受けています。
●当時の最新技術を数多く搭載
8代目スカイラインをベースとしたR32型スカイラインGT-Rの大きな特徴は、まずエンジン。GT-R用に専用設計された2.6L・直列6気筒DOHC ツインターボエンジン「RB26DETT型」は、当時の国産車で最強だった最高出力280psを誇りました。
駆動方式には、電子制御トルクスプリット4WDシステム「アテーサE-TS」を採用。当時の最新技術を投入したこのシステムは、FRベースながら路面状況に応じた高度な電子制御により、前後輪に自在に駆動力を配分する機能を持ちます。
新開発の4輪マルチリンク方式サスペンションとのマッチングにより、セダン派生型のスポーツカーとしては世界トップクラスの運動性能を誇っていました。
こうした当時最新の装備により、R32型スカイラインGT-Rは、レースでも大活躍します。
特に、全日本ツーリングカー選手権(JTC)のグループAクラスで活躍した「スカイラインGT-RグループAカルソニック」では、チューンされ550psを発揮するエンジン性能や、「日本一速い男」と呼ばれた「星野一義」さんなど、当時のトップドライバーたちの活躍により連戦連勝。
1990年〜1993年の4シーズンで、29戦29勝0敗というパーフェクトウインを達成します。
●有名GT-Rチューナーがレストア
このように、R32型スカイラインGT-Rは、当時を知るファンを中心に、「伝説の名車」として語り継がれているクルマです。今でも、レストアしながら大切に乗っている愛好家も多く、日産では「NISMOヘリテージパーツ」というサービスを実施し、このR32型をはじめ、第2世代GT-Rの復刻パーツも販売しています。
クルマ好きのヒロミさんが、テレビ番組の収録で見て即購入を決めたり、動画のタイトルに「お宝」と付けていることもうなずけます。
なお、ヒロミさんが購入した車体の年式は、動画中で「25〜26年くらい前」といっていることから、おそらく生産終了となった1994年頃のものだと思われます。
しかも、エンジンのレストアなどは、GT-Rチューナーとして世界的に有名な「世界一のスピード違反男」、スモーキー永田率いる「トップシークレット」が手掛けているそうですから、かなり快調のようですね。
動画では、ヒロミさんが試乗するシーンもありますが、排気音はもちろん、アクセルオフ時にターボの過給圧を開放するブローオフバルブ音などが大迫力で、ちょっと感動モノです。
ほかにも、レカロ製バケットシートやMOMO製ステアリングなど、数々のレーシーなパーツも備えていますから、スポーツカー好きにはたまらないでしょうね。
●今や高級スーパーカー並みの価格
動画でヒロミさんは、車体の購入価格について言及していませんが、R32型スカイラインGT-Rの中古車は、現在かなり価格が高騰しているようです。
インターネットの中古車サイトなどによれば、中古車価格相場は408万円〜3500万円程度。車体の状態が良ければ、高級スーパーカー並みの値段が付く個体もあるようです。
実際に、筆者が以前取材した車両でも、ガレージで大切に保管されていた走行距離わずか1800kmの32型スカイラインGT-Rには、2200万円もの価格が付いていました。
こうした相場や程度のよさを見ると、ヒロミさんが購入した車両は、きっと「いいお値段」だったことが伺えます。ひょっとしたら1000万円超え? も十分ありえますね。
(文:平塚直樹)