「軽自動車」「小型自動車」「普通乗用車」の違いって何? 意外と知らないクルマの種類

■3ナンバーや5ナンバーの明確な違いはどこにある?クルマの種類は意外なところで決まっています

ひと括りにクルマといっても、日本国内を走る自動車には様々な種類があります。よく見るところでは、白いナンバープレートと黄色いナンバープレートの違いですが、こうした区分の他にも、自動車には様々な区分が存在するのです。

今回はクルマの「種類」にスポットを当て、その見分け方や区分けのルールを紹介していきます。

●まずは車検証を見てみよう

車検証
車にとってのたくさんの情報書かれている車検証。皆さんの愛車は、小型・普通・軽自動車のどれですか

あまり開くことのないクルマの車検証ですが、クルマの種類や区分を知るときに、車検証に書かれている情報は非常に重要です。ご自身の所有するクルマがどのような種類や区分に属するのか、いま一度確認してみましょう。

まず、使用区分を押さえておきます。一般的にマイカーとして使われているクルマは「乗用」で、配送などに使われるクルマを「貨物」と分けています。これは、クルマに乗せるものが何かで種類を変えているのです。

人を乗せれば「乗用車」、モノを乗せることが多いのであれば「貨物車」となり、「乗用車」と「貨物車」ではクルマにかかる税負担等が変わってきます。

さらに自動車は、「普通自動車」「小型自動車」「軽自動車」という大きく3つの種類に分けられます。「普通自動車」と「小型自動車」は登録車とも呼ばれ、「軽自動車」は届出車という別名も持つのです。黄色いナンバーの軽自動車は、取り扱い上、クルマよりもバイクに近い存在となります。

●ボディやエンジンの大きさで、しっかりと区分けされるクルマたち

それでは、小型・普通・軽自動車が、それぞれどのように区分けされているのかを見ていきましょう。

3ナンバー
品川の後ろにあるのが3ナンバーや5ナンバーという区分けを示す数字です

・小型自動車

「小型自動車」は、ナンバープレートの分類番号(地域名の右側の数字)が「5」もしくは「7」で始まるクルマ(乗用車)、あるいは「4」もしくは「6」で始まるクルマ(貨物車)です。自動車の大きさが、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下で、総排気量が2,000㏄以下のクルマが「小型自動車」に区分されます。この規格を一つでもオーバーすると、小型自動車になることはできません。

・普通自動車

「普通自動車」は、ナンバープレートの分類番号が「3」で始まるクルマ(乗用車)、あるいは「1」で始まるクルマ(貨物車)、「2」で始まるクルマ(バス)です。自動車の大きさが、前述の小型乗用車の規格をひとつでも上回ると、普通自動車として分類されます。

軽ナンバー
黄色いナンバーの軽自動車は、届出車といって、後ろのナンバーに封印がありません

・軽自動車

「軽自動車」は、ナンバープレートの色が黄色の乗用車・貨物車です。自動車の大きさが全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、総排気量が660㏄以下のクルマが、「軽自動車」に分類されます。「小型乗用車」同様に、規格をひとつでもオーバーすると「軽自動車」になることはできません。

●3ナンバーだから税金が高い、5ナンバーだから安いは間違い

自動車ユーザーからよく出る話のひとつとして「3ナンバーのクルマは税金が高い」というものがあります。この話、正しいようで、よく考えると間違いということもあるのです。

先に説明した通り、普通・小型・軽の区分はボディサイズで変わってきます。しかし自動車税はエンジン排気量で区分され、税額が決まるものです。一概に、3ナンバーだから自動車税が高いとはいい切れない現状があります。

カローラ
5ナンバーセダンの代表格だったカローラも、全幅の拡大で今や3ナンバー車となりました(写真:トヨタ自動車)

1990年代前半までの国産車では、3ナンバー車に対して、明確に2000㏄を超える大きなエンジンを載せる風潮がありました。こうした流れが、3ナンバー車=大排気量で自動車税が高いクルマというイメージを付けました。が、現在では総排気量ではなく、ボディサイズだけが5ナンバー規格を超えてしまっているクルマが多く、3ナンバー・5ナンバーという種別で、自動車税を単純に語ることはできません。

たとえば、国民車ともいえるトヨタカローラの現行型は、ボディサイズが全長4,495mm×全幅1,745mm×全高1435mm、総排気量はガソリンターボで1,200㏄、ハイブリッドで1,800㏄です。カローラは5ナンバーセダンのイメージが強いですが、現行型は全幅だけが小型自動車枠を超えているため、3ナンバー車となるのです。

このように全幅1.7m以下の規格を超えてしまい、小型自動車になれなかった元・小型自動車たちは数多く存在します。

「軽自動車」に「小型自動車」「普通自動車」の違いは、クルマの大きさが関係していることを知っておき、税制とは少し切り離して考えるほうが良いでしょう。古くから用いられてきたこの規格ですが、時代の流れを反映できずに、現代の自動車文化には合わなくなってきているのかもしれません。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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