前方監視義務不要で初めて自動運転になる!自動運転レベル1~5の定義を理解しよう【清水和夫の新クルマ用語解説】

■道交法も自動運転へ向けて法改正が始まった!

●前方監視をしなくてはいけないか、しなくてもいいか…の違いがレベルを大きく分ける

現実化に向け、走り出した自動運転。インフラや法律の整備を含めて、まだまだ課題は多いものの、そう遠くない未来に社会システムのひとつとして組み込まれるヴィジョンが見えてきました。そこで原点に立ちかえって、自動運転の枠組みについて、レベル0〜5の定義と、自動運転の現在地を、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが解説してくれました。

自動運転、いよいよ2020年を迎えようとしています。法律的には道路交通法と保安基準が、例えば『オーナーカーレベル3』高速道路に限ってレベル3を認める、というような法改正がすでに行われています。

清水和夫さん
解釈がまちまちとなってしまっている自動運転レベルを理解しましょう!

そこに向けて今、自動車の細かい技術の基準、ディテールを詰めているところなんです。2020~2021年ごろに、世界のいくつかの自動車メーカーが我先に!とレベル3を発表してくるのではないかと思います。

●レベルの違いを勘違いの無いよう理解しよう!

問題なのは、このレベルの話。元々、自動運転の定義があやふやなときにアメリカの自動車技術学会=SAE(Society of Automobile Engineers)が『レベル0、1、2、3、4、5』の6段階に定義したのが現在、世界的に使われている自動運転のレベルです。

勘違いしてはいけないのは、これは『自動化のレベリング』であって、『クルマのレベリング』とは違うということです。

分かりやすく言うと、レベル3の初期段階『レベル3.1』と、レベル2の非常に高度な『レベル2.9』を比べた時に、必ずしもレベル3のほうが偉い、優れている…というわけではないのです。自動化技術が進んだ程度を『レベルで表している』ということなのです。

自動運転レベル0~2
自動運転の定義、レベル0~2。

★レベル0=自動化が無い状態。何もない状態。人間が全部運転しなければいけない。
しかし、オートマチックトランスミッションは変速を自動になっていますが、これは自動とはカウントしないので、レベル0。

★レベル1=例えば前後方向、加速とブレーキに自動化技術が入るとレベル1。

★レベル2=レベル1にハンドル操作、車線維持、車線を逸脱したら元に戻してくれる。あるいは自動的に車線変更=自動操舵、これが入ってくるとレベル2に入ってきます。

自動運転レベル3~5
自動運転の定義、レベル3~5。

レベル1、2までは前後左右のシステムが自動で動かす領域なのですが、まだここの段階ではドライバーは前をしっかり見て安全運転の責任を持っていますから、本当の自動運転とはまだ言いにくいところがあります。

●『自動化が部分的』なのと『自動運転車』とは違う!

官民ITS構想ロードマップ(※ITS=Intelligent Transport Systems)、日本政府が掲げた公式なレベリングの内容を見ると、レベル2のところに「部分自動運転…」のような書き方をされていますが、『自動化が部分的』だということであって『自動運転車』とは違うのです。ここが凄くややこしいところですね。

前方監視=アイズオン
前方監視=アイズオンからアイズオフになって初めて、自動運転になると解釈しています。

私の解釈では、ドライバーが安全運転の責任、前を見ること=アイズオン、前方監視義務から解放されて、初めて『自動運転』と言えるのではないかな?と思っていますから、そこでひとつの線引きを私自身はしています。

どんなに高度なステアリングシステム、ブレーキ&加速システムがあっても、「ドライバーはしっかり前を見ていなさい!」というような状態では自動運転とは言いにくい…と理解しています。

最近、ハンズオフ(ドライバーがステアリングから手を放してもいい)のクルマが出てきましたが、このハンズオフは「手を放してもいいけど目は前を見ていないといけない」ので、これは『レベル2』の段階であって、私は自動運転とは言いたくない、と解釈しています。

自動運転へ向けて
あらゆるレーダーなどで周囲を監視。

●『自動運転』はレベル3以上

問題はレベル3になったとき。ある一定の条件が整うと自動で走っていける。その時初めて、ドライバーは前方監視義務から解放されます。例えばスマートフォンを見たり、備え付けのテレビを見たりなど、レベル3を満たす機能がある範囲の中では前方から目を離してもいい…ということが、道路交通法上も許されるように改訂しました。

しかし、この「ある条件」というのがクセモノ。システムが「これ以上自動で走れないよ!」というような状態になったとき、システムが運転をドライバーに戻すんです。テイクオーバーリクエストで「ドライバーさん運転を代わってください!」というようにシステムから人間のほうに運転を戻されるのですが、戻された瞬間に『レベル2』になるわけです。

システムからドライバーへ
システムからドライバーへ戻す過程が一番難しいトコロ。

この「戻す過程」が難しいのです。その間に事故が起きたときに、「いったいどっちの責任になるのか?」と。運転をドライバーに戻しても、ドライバーが応じてくれない時があります。悪意を持ってわざと応じない場合と、うっかり寝てしまったとき、いろんなパターンがあるので、この『レベル3』に関していえば…。

例えば『ドライバーモニタリングシステム』、赤外線やカメラを使ってドライバーの状態を常にモニターし、安全にドライバーに運転を引き継ぎできるかどうか?まで判断をして、「今ドライバーが寝てしまっているから引き継ぎできないよね!」となったら、『Minimum Risk Maneuver』といって、最低限の安全をそこに1コ担保しておかなければいけない。

清水和夫さん
自動運転社会へ向けて様々な講演会、講習会、また官民へのアドバイザーとしてもご活躍の国際モータージャーナリスト・清水和夫さんです。

ということで、ドライバーが運転に応じない場合は、システムの判断で自動的に高速道路上に停めてしまう…というところまで、細かく安全をセーフティネットを入れながらレベル3に行こうというのが、今の現在地です。

(解説:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX)

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【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net

国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEngines
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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