第6戦オートポリス・GT500、予選上位のホンダ勢が沈む中、優勝したのはホンダ勢のARTA NSX-GT!【SUPER GT 2021】

■1回目のSC明けにトップのRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがアクシデント!

10月23日(土)-24日(日)に大分県オートポリスで開催された2021 AUTOBACS SUPER GT第6戦『AUTOPOLIS GT 300km RACE』。昨年はコロナ禍の影響で開催されなかったため、2年ぶりのオートポリス戦となります。10月24日(日)はその決勝が行われました。

スタートの様子
スタートの様子

この日のオートポリスは決勝レーススタート時の気温が13度で路面温度21度と、かなりの冷え込みを見せています。前日の予選から気温はほぼ変わらないものの、路面温度は24度から3度も下がっているために、予選タイヤをスタート時に使用しなくてはいけないという規定の中で、どのように前半戦を戦っていくのか注目されます。

そして13時30分、フォーメーションラップの後に切られたスタートで、予選トップの16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが好スタートとなるかに見えましたが、第一ヘアピンの日立ASTEMOコーナーで14号車 ENEOS X PRIME GR Supraに先行を許してしまいます。

そのENEOS X PRIME GR Supraは、前戦SUGOからエンジンを載せ替えたことによりペナルティストップ5秒が当初より義務付けられており、それを消化するためにピットイン。再びトップはRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTとなり、2番手に64号車 Modulo NSX-GT、3番手にARTA NSX-GTというホンダ勢がトップを占めるという展開になります。

アクシデントに見舞われたRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT
アクシデントに見舞われたRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

その後、9周目にGT300マシンのアクシデントのためにフルコースイエロー(FCY)からのセーフティカー(SC)導入となります。SCは16周目に解除、レース再開となりますが、トップのRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが18周目に差し掛かった途端に右リアタイヤが脱落!

肩を落とすRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの大湯選手
肩を落とすRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの大湯選手

Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTはすぐさまコース外に退避しましたが、同じ周にGT300マシンのアクシデントがあり、ここで再びSCが導入されます。

23周目にSCが解除となると、ドライバー交代が可能となる周回数となっていたために、4番手の39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraや9番手の1号車 STANLEY NSX-GTがピットイン。そして、トップのModulo NSX-GTがピットインしトップのままコースに戻りますが、タイヤが十分に温まらないところでARTA NSX-GT、DENSO KOBELCO SARD GR Supra、STANLEY NSX-GTに続けざまに抜かれてしまいます。

しかし、周回を重ねタイヤが温まりグリップが出たModulo NSX-GTは、DENSO KOBELCO SARD GR SupraとSTANLEY NSX-GTの2台を抜き、さらにトップのARTA NSX-GTを抜きにかかります。

ARTA NSX-GT
ARTA NSX-GT

この2台、ARTA NSX-GTはベテラン野尻智紀選手、Modulo NSX-GTは若手の大津弘樹選手で、ともに前週に開催されたスーパーフォーミュラ第6戦もてぎでは同じチームから出場し、野尻選手はシリーズチャンピオンを決め、大津選手はポールからの優勝という大活躍を見せました。

その2人がライバルとしてトップを争う意地のぶつかり合いが数周続いていきます。そして、その2台のHonda NSX-GTのペースはかなり速く、3番手以降に大きな差をつけていきました。

●後半のトップ死守でARTA NSX-GTが今季初優勝

中盤の師弟対決と言ってもいい、NSX-GT同士のトップ争いも長くは続きませんでした。35周目までにModulo NSX-GTのペースは落ち始めARTA NSX-GTとの差は開く一方となります。

ZENT CERUMO GR Supra
ZENT CERUMO GR Supra

そんな中、50周目あたりから3位争いの集団がModulo NSX-GTに追いつき、また10位スタートな上に、エンジン交換による5秒のペナルティストップも消化した38号車 ZENT CERUMO GR Supraがこの集団に追いついてきます。そして、壮絶な5台による2位争いが繰り広げられることになります。

その2位争いでもペースが上がらないModulo NSX-GTは後退し、一気に追い上げてきたZENT CERUMO GR Supraは2位に浮上していきます。

DENSO KOBELCO SARD GR Supra
DENSO KOBELCO SARD GR Supra

ZENT CERUMO GR Supraが来るまでは3位まで浮上し、そこからModulo NSX-GTを抜いて2位となった39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraも、ZENT CERUMO GR Supraの勢いには勝てずに後退していきます。

ARTA NSX-GT
ARTA NSX-GT

そして迎えた65周にトップでチェッカーを受けたのは、後続に28秒もの大差で独走となったARTA NSX-GT!

優勝を喜び合うARTA NSX-GTのドライバー
優勝を喜び合うARTA NSX-GTのドライバー

ARTA NSX-GTは今季初優勝。前戦SUGOではピットのミスで大きなペナルティを食らったものの、このオートポリスでは見事な優勝を飾ることになりました。

ZENT CERUMO GR Supra
ZENT CERUMO GR Supra

2位はNo.38 ZENT CERUMO GR Supra。

MOTUL AUTECH GT-R
MOTUL AUTECH GT-R

3位にはNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが入ります。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

またSTANLEY NSX-GTは6位でポイントを獲得し、シリーズランキングのトップ(山本尚貴選手)と2位(牧野任祐選手)を守っています。

次戦の第7戦もてぎではサクセスウェイト相当分が半分というハーフウェイトとなるため、戦い方が大きく変わることが予想されます。

GT500の表彰式
GT500の表彰式

レースの内容次第では、早ければ次戦でチャンピオンが決定する可能性も出てきたSUPER GTのGT500クラス。その第7戦もてぎは11月6日(土)-7日(日)に開催となります。

(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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