■マンションなどの立体駐車場に対応した絶妙のボディサイズ
人気のSUVに乗りたいけれども、マンションの駐車場事情により選べる車種が少ない!という人は多いでしょう。筆者もその一人です。
特に全幅1800mm、全高1550mmというサイズ制限がある駐車場になると、SUVで選べるのは、国産車では日産ノートオーテッククロスオーバー、ホンダフィットクロスター、スバルXV、マツダCX-3、CX-30、MX-30、そしてトヨタC-HRの2WD車。
輸入車では愛車であるプジョー2008、アウディQ2、DS3クロスバックぐらいです。
その立体駐車場に対応した都市型SUVであるアウディQ2がマイナーチェンジを行い、その改良後のモデルに試乗することができました。
アウディQ2は2017年に日本導入開始以降、4年連続でアウディSUVのQモデルの中で販売台数No.1に輝いているコアモデルです。今回のマイナーチェンジの内容として、まず内外装のブラッシュアップを行っています。
外観デザインではQモデルのアイコンである8角形のシングルフレームの位置は従来よりもわずかに下げられています。さらにフロントセクションの幅の広さが強調され、LEDヘッドライトとともにシャープさが増しています。
ボンネット先端には往年のアウディスポーツクワトロのイメージを受け継ぐ3分割スリットを設置。
さらに開口部が拡大したフロントバンパー、5角形のモチーフを取り入れた力強い印象のリアバンパー。そして新デザインのリアディフューザーを採用し、これまで以上にスポーティで存在感のあるデザインとなっています。
ボディカラーは今回試乗したアップルグリーンを含む新色を5色設定しました。
インテリアでは、エアベントやシフトレバーのデザインを変更し、さらにダイヤモンドペオンとフィニッシュシルバーグレーのデコラティブパネルを採用しています。メーターパネル内には12.3インチの液晶ディズプレイのアウディバーチャルコクピットを採用。
MMIナビゲーションシステムやアウディコネクト、アウディスマートフォンインターフェイスなど利便性の高いインフォテイメントシステムを搭載しています。
運転支援システムは、従来のアダプティブクルーズコントロール、アクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシストを統合したアダプティブクルーズアシスト、サイドアシスト、プレセンスベーシック、ハイビームアシストをセーフティパッケージとして設定しています。
搭載するエンジンは、マイナーチェンジ前はSQ2に搭載される最高出力300psを発生する2L直列4気筒ターボをはじめ、35TDIには最高出力150psを発生する2L直列4気筒ディーゼルターボ。
35TFSIには最高出力150psを発生する1.4L直列4気筒ガソリンターボ。そして30TFSIには最高出力116psを発生する1L直列3気筒ガソリンターボエンジンが搭載されていました。
マイナーチェンジ後の35TFSIには、最高出力150ps、最大トルク250Nmを発生する新開発の1.5L直列4気筒ガソリンターボエンジン+7速Sトロニックというパワートレインを搭載。この1.5Lエンジンは気筒休止システムを搭載し、エンジン負荷が低い時には2気筒となるシリンダーオンデマンドを採用。駆動方式は2WD(FF)のみで、燃費性能はWLTCモードで15.8km/Lを実現しています。
グレード構成は車両本体価格394万円のアドバンスと430万円のSラインの2グレードで、アドバンスはアンダーガードがシルバー。そしてサイドシルやブレードはマンハッタングレーメタリックに塗装されています。
一方のSラインではアンダーガードとサイドシルはボディ同色で、ブレードのコントラストペイントはセレナイトシルバー。そしてSルーフラインが装備されます。
今回試乗したのは、Q2 35TFSIアドバンスです。オプション装備はボディカラーのアップルグリーンメタリック(7万円)、ナビゲーションパッケージ(29万円)、コンビニエンス&アシスタンスパッケージ(21万円)の合計57万円のオプション装備が装着されています。
Q2 35TFSIアドバンスのボディサイズは、全長4200mm×全幅1795mm×全高1530mm。最低地上高は210mmと、都会派SUVの中では高めのロードクリアランスを確保しています。
駆動方式は2WD(FF)のみですが、トランク容量は5人乗車時で405Lを確保。左右分割可倒式のリアシートを倒せば、フラットな床の大容量な空間が実現します。
これまでQ2は1L車からハイパワー車のSQ2まで乗る機会がありました。確かに最高出力300psを発生するSQ2の高い走行性能は魅力ですが、車両本体価格600万円とコンパクトSUVでは性能も破格ですが、価格も破格です。
その一方で、1Lターボエンジンは、ややエンジンの振動や騒音が大きめで質感の高さという点でマイナス材料となっていました。
しかし今回のマイナーチェンジで登場した新開発の1.5Lガソリンエンジンは、静粛性も高くしかも軽快なフットワークが特徴。まさに都会派SUVのQ2にベストマッチしたパワートレインです。
車両本体価格は高いですが、自分の1.2Lターボエンジンを搭載したプジョー2008よりも加速フィールそして静粛性、しなやかな乗り味すべて上回っています。
インテリアは非常にコンサバなデザインですが、初めて乗った人でも迷わず操作できるようにエアコンの操作パネルが独立しているところは高いホスピタリティを感じます。
今後パワートレインはどういう展開となるのかわからないですが、多くの人はこの1.5Lエンジン搭載車で満足できると思います。輸入車の都会派SUVに本命モデルが登場と言ったところでしょう。
(文・写真:萩原 文博)