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■秋の降雨を前に、クルマのガラス処理の話再び…
9月も下旬となり、夏の名残りなんとなく過ぎ去り、10月へと進むにつれてまた多くなってくるのが雨。梅雨時季の頃、フロント&リヤガラスのはっ水処理のお話をしましたが、今回は、あるガラスの処理を行ったお話。
●はっ水処理は勧めないけど、クリアにする処理は勧めたいサイドガラスの表面処理
筆者は今年(2021年)の梅雨の頃に、ガラスの撥水処理について解説しました。が、このとき筆者は、「フロントガラスとリヤガラス以外、つまりワイパーのあるガラス以外は撥水処理をしないしおすすめもしない」と書きました。それは撥水処理をしたために、小さく弾かれた粒の雨水が、くもりガラスと同じ効果を生み、光が乱反射してかえって視界を遮るからです。
ただし、そのためか、サイドガラスに雨水が落ちた道すじそのままのまだらや縦スジ模様が乾燥後に生まれ、洗車後にガラスクリーナーでいくらこすっても取れなくなりました。そして雨の日ははっ水処理をした場合とは違う姿で光の乱反射を起こすようになってしまったのです。
「どのみちワイパーもないことだし、雨の日に多少不便するくらいだから、ま、いっか!」と思っていたのですが、その模様がだんだんひどくなり、雨の日のサイド確認が苦痛になってきました。
特に夜間の右左折時などはひどいもので、この雨すじ模様に街灯や看板照明、信号の光が乱反射し、横断歩道の人など、目を凝らさなければ見落としそうになるくらいサイド視界が悪化していました。要するに、シャレにならなくなってきたのです。
どんな具合か。雨の日を再現するため、霧吹きの水でドアガラスとドアミラー面ををぬらしてみました。このようになっているひと、多いんじゃないでしょうか。ドアミラーの鏡面も模様が生じているため、ガラス、ミラー面の乱れ模様というダブルパンチでサイド&後方視界が悪化しています。
筆者のクルマのドアミラーには熱線が仕込んであるのですが、このスイッチを入れて鏡面の水滴を消したところで(15分以上時間がかかる!)、その手前のドアガラスのまだら模様が邪魔をして何の意味もない! その点からもフェンダーミラーのほうがいいと思っているのですが(その理由はいずれ。)、さすがにこうなったら何か手を打たなければと、ケミカル剤を導入しました。
ガラスに見えるこの模様、原因は想像ついているのですが、油膜とオゾンスポットが混在したものでしょう。まずは段階を踏んで油膜取り剤・プロスタッフの「キイロビン」を購入し、ガラスをみがくことにしました。
ひとつ注意したいのは、自分のクルマのガラスに、メーカー生産段階ですでに何らかの処理がされていないかを確認してください。筆者が以前乗っていた2000年型のU14ブルーバードは、運転席ドアのみ撥水処理済みガラスが使われていました。油膜取りもうろこ取りも、液剤に含まれているコンパウンド(みがき粉)で削り落とすもの。頑固なうろこを落とすコンパウンドのほうが強力だという違いなだけで、ガラス表面の生成物を液剤成分に含まれている硬い何かで削るという点では同じです。撥水皮膜をもガリガリ削ぎ落とすことになるので注意しましょう。
で、今乗っている旧ジムニーシエラ。クルマを買った販社に確認をしたところ、撥水処理はされていませんでした。しかも「え、キイロビン? だったらそのひとランク上の製品のほうが効きますよ」といわれたので、当初の予定から200円ほど高い「キイロビンGOLD」に変更。
●作業手順
購入した「キイロビンGOLD」のパッケージには「ガラスに最上級の透明感を」とあります。「ガラス系名のパウダーと酸化セリウムを融合させる事で、油膜・被膜に対してなじみが良くなり、『取れ始め~終わり』までが格段に早くなりました。従来品の約半分の時間で作業が完了します。また、ガラス表面の目に見えない微細な傷を取り除く事で透明感が増し、使えば使うほどガラスが美しくなっていきます」とも。
「時間が半分」は在来品を使ったことがないのでわかりませんが、しかし、ここに書いてあることが本当なら、ガラスを新品に変えたのと同じくらい輝きが増すことになるわけです。他にも「作業スピード2倍アップ!」「磨けば磨くほどクリアに!」「下地作りにも使える!」など、ゾクゾクするフレーズが並んでいます。
ではでは、作業に入っていきましょう。パッケージにある「使用方法」に即して次の手順で進めていきました。
今回は、ひとまず運転席ガラスのみ。フロント、リヤを除く他の3枚ガラスは、今回の効果次第で次回の洗車時に本格的に行うことにします。
1. ガラスをぬれタオルで拭く。
2. 少しだけ水でぬらした添付のスポンジに、液剤を「径2cm」ほど垂らし、15cm2四方ずつこする。
3. 白い部分を水で洗い流し、きれいなぬれタオルで拭き取る。
作業はたった3ステップだけです。
1.で気をつけなければならないのは、忘れがちな、ガラス閉時に窓枠内に隠れている部分も拭き取ることです。これは普段の洗車時でもそうなのですが、見えている部分だけを拭き取るのではなく、少し窓を下げて現れた部分(ガラス上辺)もきちんと拭き取るようにしましょう。上げても下げても隠れっぱなしの部分は必ずあるので、ガラスを途中まで下げたとき、汚れた部分と綺麗な部分の違いはことのほか大きいものです。
ガラスを綺麗にしたら、いよいよ液剤でこする作業です。この製品の場合の作業のポイントは2.のこする作業で、説明書にあるとおり、液が弾かなくなるまでこすることです。
なるほど。多少横着気味にこすっても効果は出るだろうと思ったのですが、ちょっとやそっとでは水弾きは消えず、同じ場所をスポンジで6~7往復させることでやっと水弾きが消えて、水に混じった白い液剤の膜がガラスを覆うようになりました。
このような作業時、「四角い部屋を丸く掃く」という言葉がありますが、きれいな仕上がりのために、きちんとガラスの隅の隅まで拭いてあげましょう。といっても、ごく順当な力でこすり続ければいいだけなので、何も力作業というわけではありません。
筆者は、ケミカル剤関連の作業は、「値段が安いものよりは、いくらか高いもの、そして施工作業が面倒なものほど効果が高く、持続期間も長い」と思っているので、この作業は何の苦でもありませんでした。このガラス1枚を磨くのに要した時間は5~6分。その後の効果を思えば面倒なうちに入りません。
もうひとつ思ったのは、説明書には「四方向にみがく」とあっても、実際の模様は縦方向がメインなので、横方向にみがくとき、「縦の流れを断ち切ってやる!」というイメージでやると簡単にきれいになるということでした。
磨きに磨き、ガラス全面が白くなるようにしたら、このようになりました。
この後は、液剤を落とさなければなりません。さあ、どうなるでしょうか。
●はたしてその効果は?
おーっ! こんなにクリアに!
目を近づけてみると、厳密にはクリアになっていません。ダラダラとした縦スジは消えているのですが、まだところどころにまだらのうろこが…。しかし、これはうろこ除去剤ではなく、油膜落としなのでこれでいいのです。というよりも、油膜落としなのに、油膜落とし用のコンパウンドで、「ところどころ」にしか残らない程度までうろこを落としてくれたのです。
新車購入時ほどのガラスにしたい場合は、あらためてうろこ除去剤の購入が必要になるでしょうが、ひとまずはこれで充分じゃないでしょうか。
では、拭き上げたガラス、作業中に乾いてしまったドアミラーを再び水で濡らして雨の日を再現し、クルマの中からドアミラーを見てみましょう。
ガラス面に水がなじみ、ドアミラーがクリアに見えます。そしてミラーにもまだらが生じてミラー面内の視界がクリアでなかったことがクリアになっています。
外からの見映えはさきにお見せしたとおり。
施工前後の写真で、ひとまず目に邪魔な模様落としの効果はおわかりいただけたと思います。
ただ、その効果を本当に実感できるかどうかがわかるのは、本当に雨が降ったとき、特に夜間走行のときです。夜の運転時で、ガラスの乱れた雨滴模様と光の乱反射というダブルパンチ、ドアミラーによる後方視界確保ならミラー面の雨滴が加わった三重苦なのですが、ひとまず運転席ドアガラスだけクリアになりましたから、次回の雨の日、特に夜の雨が楽しみです!
ガラスの油膜やうろこ模様にお悩みの方、一度お試しください!
(文・写真:山口 尚志)