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■ハーフカウル装備の1200cc・3気筒マシン
100年以上の歴史を誇るイギリスの老舗2輪メーカー「トライアンフ・モーターサイクルズ」が、カフェレーサー・スタイルの新型ビッグバイク、「スピードトリプル1200RR」の国内導入を発表しました。
180psの強烈パワーを誇る1200cc・3気筒のネイキッドモデル「スピードトリプル1200RS」をベースとしたこのマシンは、ベース車の野獣的フォルムをレトロかつ流麗なスタイルに変身させた注目モデルです。
独特のハーフフェアリングや丸目1灯LEDヘッドライト、低いセパレートハンドルなどでレーシーかつスタイリッシュなフォルムを実現。
サスペンションなどに最新の電子制御システムも採用することで、ワインディングやサーキット走行などで、よりパーフォーマンスを発揮する仕様に生まれ変わりました。
●英国の気品を感じさせるデザイン
新型のスピードトリプル1200RRは、1200cc・3気筒エンジンを搭載したネイキッドモデルのスピードトリプル1200RSをベースとしています。
RSは、アップハンドルやツリ目風の2灯ヘッドライトなどにより、ワイルドなスタイルを実現した「ストリートファイター」と呼ばれる、近年人気のスタイルを採用したモデルです。
対して、RRは1960年代のレーシングマシンなどをオマージュした「カフェレーサー」のスタイルに、現代的なアレンジを取り入れた「ネオクラシック」と呼ばれるジャンルに属するモデルです。
最も特徴的なのは、やはり外観のフォルムでしょう。独自のデイタイムランニングライトも備えた丸目1灯ヘッドライトを内蔵する流麗なハーフフェアリングは、伝統ある英国の気品を感じさせるデザインを採用します。
また、タンク、フェアリング、コクピットに特別なレベルのディテールを加えるインフィルパネルやサイドパネル、フロントマッドガード(フェンダー)などにはカーボン製も採用。ビンテージなスタイルに今風のレーシーな雰囲気も加味します。
●電子制御サスなどで走りも武装
車体には、鋳造アルミフレームを備えた軽量でコンパクトなシャシーを採用。199kgという超軽量な車両重量により、俊敏な走りに貢献します。
ハンドルバーには、バータイプのRSよりも135mm低く、50mm前方にあるフォーカスクリップオン・タイプを採用。
フットペグ位置も新しく調整されたほか、乗り降りのしやすい830mmのシート高、ナローなタンク、スカルプテッドシートプロファイルなどにより、高い快適性とコントロール性も実現します。
また、オーリンズ製「スマートETC2.0電子制御セミアクティブ・サスペンション」を前後に装着します。
RR用の専用デザインを採用した最新サスペンションユニットは、ライディングスタイル、速度、加速などの情報を継続的に監視し、それに応じてコンプレッション(圧側)とリバウンド(伸び側)ダンピングの両方を自動的に調整する優れもの。
また、ライディング中でも、TFTディスプレイ採用のメーターを介してさまざまな調整が可能です。
加えてフロントブレーキには、軽量なブレンボ製の「Stylema®ツインモノブロックキャリパー」と320mm径「フローティングディスク」を装備。一般道はもちろん、サーキット走行においても強烈かつコントロール性が抜群の制動力を生むシステムを採用します。
●3気筒エンジンは180psの強烈パワー
エンジンには、最高出力180ps/1万750prm、最大トルク125N・m/9000rpmを発揮する1160cc(約1200cc)3気筒を搭載。ベースとなったRSでも、「強烈」だと定評があるパワフルなパワートレインを採用します。
しかも、最先端の「コーナリングABS」と「切替式コーナリング・トラクション・コントロールシステム」も標準装備。これらは、ロール、ピッチ、ヨー、加速率を測定し、傾斜角を計算する慣性測定ユニット(IMU)により制御されます。
このシステムにより、ABSとトラクションコントロールを正確に制御しながら応答を一致させ、選択した特定のライディングモードに応じたスリップ率とトルク制御を最適化することを可能とします。
なお、新型RRでは、5つのライディングモードの選択が可能。「ロード」「レイン」「スポーツ」「ライダー設定」のほか、ABSとトラクションコントロールの介入を最小限に抑えた「トラックモード」を備えています。
●レースで培ったテクノロジーも採用
RRには、トライアンフがエンジン供給をする世界選手権レース「Moto2」で培った技術も投入されています。Moto2は、世界最高峰「MotoGP」の登竜門として知られるシリーズ。
このレースにおける実績や経験を用いて開発されたのが「Triumphシフトアシスト」です。これは、クラッチを操作しなくてもシフトアップやダウンが可能なクイックシフターですが、一般的なシステムとは異なります。
エンジンコントロールユニットに豊富な情報を提供する高度なセンサーを備えることで、シフトアップとシフトダウンの両方を多数のパラメーターに対して完全にマッピングすることができるのです。
たとえば、シフトアップ時には、イグニッション、燃料、スロットルアングルなどの要素を調整して、ギアへの圧力を瞬間的に解放し、ギアをスライドさせる方式を採用。
また、シフトダウン時も、さまざまなパラメーターを監視および調整し、スロットルブリップを正確に制御して、スムーズなシフトを調整します。
これら制御は、単に点火をカットする従来のクイックシフターよりもはるかに洗練されているのが魅力。まさに、Moto2マシンにも採用されている最新システムなのです。
●国内発売日や価格は?
ほかにも、RRには、「フルキーレスシステム(キーレスイグニッション、ステアリングロック、フューエルフィラーキャップを統合)」、完全に調整可能な「クルーズコントロール」など、走行を強化する数々のテクノロジーを搭載しています。
これにより、普段使いから長距離ツーリングまで、幅広いレンジでの高い実用性や快適性も誇ります。
価格(税込)は、ボディカラーにより異なり、「クリスタルホワイト×ストームグレー」が228万5000円、「レッドホッパー×ストームグレー」が231万7500円です。
純正アクセサリーも30種類以上と豊富で、本体および純正アクセサリーには、2年間の走行距離無制限保証も付帯。1万マイル(1万6000km)もしくは12ヵ月(いずれか早い方)という長いサービスインターバルも魅力です。
なお、国内発売は2022年1月から開始予定です。
(文:平塚 直樹/写真:トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン)