システム出力は374ps! BMWの水素燃料電池車「iX5ハイドロジェン」がIAA Mobility 2021で公開

■圧力700barの2つの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製水素タンクを搭載

BMWは、ミュンヘンで9月7日〜12日に開催される「IAA Mobility 2021(ミュンヘンモーターショー2021)」において「BMW iX5 Hydrogen(ハイドロジェン)」を初公開します。水素燃料電池ドライブトレインは、「BMW i」ブランドの新しい要素として、持続可能なドライビングプレジャーを提供する最新世代のFCV。

BMW iX5ハイドロジェン
FCVの「BMW iX5ハイドロジェン」が公開される

高性能な燃料電池と最適化されたパワーバッテリーというパッケージを採用。2022年にテスト用モデルなどを開発するとしています。

コンセプトカー「BMW i Hydrogen NEXT」の発表から2年後に発表される「BMW iX5ハイドロジェン」は、FCドライブトレインが搭載されたSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)。

BMW iX5ハイドロジェン
「BMW iX5ハイドロジェン」のリヤビュー

来場者はメイン会場と市内中心部のほかの展示会場を結ぶブルー・レーンを走行しながら、いくつかの車両を体験することができるそう。

ベースはBMW X5で、2022年末からデモンストレーションとテストのために少量生産され、テストされます。BMW iブランドは、将来的にはBMW i3、BMW iX3、BMW iX、BMW i4などのバッテリーモデルに加えて、FCVも加わることになります。

水素は再生可能エネルギーで生産され、必要なインフラが整えば、充電設備を用意できない顧客や、頻繁に長距離を運転するドライバーなどのニーズに応えることができます。

BMW iX5ハイドロジェン
BMW iX5ハイドロジェンのインテリア

また、個性的なエクステリアとインテリアを備えています。キドニーグリル内側のエッジングをはじめ、22インチのアルミホイールのインサート、リヤエプロン外側のアタッチメントなどがすべて「BMW iブルー」で統一されています。エントリーシルやインパネのカバートリムには、「Hydrogen Fuel Cell」のバッジが付けられています。

フロントの冷却用の開口部を覆うメッシュインサート、リヤエプロンとディフューザーにも独自のデザインが施されています。キドニーグリルを覆うオーナメントグリル、下側と外側の2つのエアインレット、リヤエンドトリム下側には、3Dプリントを使ってプロトタイプと標準部品を製造しているそう。これにより、複雑な形状を持つ部品をスピーディかつ柔軟に製造することが可能になります。

足元にも注目です。天然ゴムとレーヨンが採用された「サステイナブル・プロダクション・タイヤ」が装着されています。原材料は、独立した組織の基準に準拠して採取されたものだそう。BMWは、認証された天然ゴムと木材由来の素材であるレーヨンのみが使われたピレリ製のタイヤを量産車に採用した、世界で初めての自動車メーカーでもあります。

BMW iX5ハイドロジェン
燃料電池技術と第5世代の「BMW eDrive」を組み合わせている

「BMW iX5ハイドロジェン」には、燃料電池技術と第5世代の「BMW eDrive」が組み合わされています。燃料電池で電気に変換することで最大125kW/170hpを実現し、排出されるのはもちろん水だけ。この駆動力により、長距離でも常に高い速度を維持することができます。

モーターは、BMW iXにも採用されている第5世代のBMW eDriveから開発されています。コースティング(惰性走行時)や制動時には発電機として機能し、駆動バッテリーにエネルギーを供給します。このパワーバッテリーに蓄えられたエネルギーは、とくにスポーティな走行時にも利用され、275kW/374psのシステム出力を達成し、BMWらしい走りが提供されます。

BMW iX5ハイドロジェン
「BMW iブルー」の加飾が随所に施されている

水素は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の2つの700bar(70MPa)のタンクに貯蔵され、合計で最大約6kgの水素を貯蔵できます。なお、水素タンクへの充填時間は3〜4分。現時点では、航続距離は明らかにされていません。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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