17年ぶりのフルモデルチェンジとなる「YZ125」など、モトクロス競技用「YZシリーズ」の2022年式9モデルがヤマハから登場

■「YZ450F」「YZ250F」「YZ250」「YZ85」「YZ85LW」をマイナーチェンジ

ヤマハ発動機は、モトクロス競技用「YZシリーズ」の2022年モデル(9機種)を10月28日から順次発売します。

今回、17年ぶりのフルモデルチェンジになる「YZ125」は軽量化が徹底され、軽量でパワフルなエンジンを搭載。レースで勝つためのパワーアップが図られた新エンジンは、シリンダーボディ、シリンダーヘッド、ピストン、ピストンピン、コンロッドからクランクケース、チャンバーなど、エンジンの機能パーツを刷新。シリンダーポートは、ポートタイミングや形状も最適化されています。

ヤマハ YZ125
ヤマハの「YZ125」の外観デザイン

さらに、新チャンバーの排気脈動効果が加わり、パワーフィールや加速感が向上し、出力も大幅にアップ。加えて、排気のタイミングを制御し、全域でスムーズなトルクを引き出す「YPVS(ヤマハパワーバルブシステム)」もスペックが刷新されて積まれています。 また、吸気方法をサイドカバー後方から直線的に外気を導入する後方ストレート吸気とすることにより、高回転域での伸び感、優れたオーバーレブ特性も感じられるそう。

ほかにも、新キャブレターや「3Dマップ制御CDIユニット」搭載のスロットルポジションセンサーの採用により、良好なドライバビリティが得られるそうで、戦闘力向上に寄与。加えて、カーボン製リードバルブ「V-FORCE4」の採用、クランク室の最適設定によるパワーバンドの拡大、ハイパワーに呼応して歯幅を広げたトランスミッションギヤなどにより、多様なモトクロスコース状況に適応できるとしています。

扱いやすさに寄与する軽量、コンパクトな車体も美点です。軽やかな操縦性、旋回性で定評のある「YZ125」専用アルミフレームは、新エンジンに合わせて新しい懸架ブラケットが採用され、バランスが調整されています。リヤフレームは、強度と剛性バランスはそのままに、新気の吸気ダクト機能を持たせたシート懸架構造に変更。さらに、性能アップが図られた新エンジンに対応すべく、ブレーキも前後とも刷新され、優れた制動力を発揮するとしています。

「4ストロークYZ」と同様のKYB製の前後サスペンションは、ショック吸収性はもちろん、旋回性、トラクションに貢献し、とくにフロントは、極低速での作動時から減衰力を発揮。前後ピッチが少なく、しっとり落ち着いた減衰特性をもたらすそう。

シートは極力フラットな座面形状になり、タンクやシュラウド、サイドカバーの形状もライダーが動きやすい面構成にすることで、加速から制動、旋回時などの多様なシーンでのポジションとアクション自由度が広がっています。「YZ125」の外観は、「YZのスピード感を表現する水平基調」、「軽快感の視覚化」、「進化した走行性能の視覚化」をキーワードに掲げ、ライダーの思うまましなやかに躍動する美しいデザインと、技術進化によるパフォーマンス表現の融合を目指した意匠になっています。

ヤマハ YZ450F
「YZ450F」のスタイリング

「YZ450F/YZ250F」には、軽量リヤホイールハブ&リヤ3クロススポークなどが採用され、良好な乗車感、軽快なハンドリングを実現しているそう。

アルミ鋳造のリヤホイールハブは、コンピューター支援設計により必要な強度を確保しながら、左右のフランジ部を含め全体を薄肉化。2021年モデル比で約65g軽量化、ハブ単体では28gの軽量化を果たしています。また、リヤスポークの編み方は、2021年モデルの2クロススポークから3クロススポークに変更。

スポークのたわみを効果的に活かすことで、衝撃吸収感とトラクション感が向上したそう。加えて、軽量リヤハブとの相乗効果により、優れた乗車感、接地感、軽い操舵感などに貢献します。

ヤマハ YZ250
「YZ250」のスタイリング

「YZ250F」は、リヤにワイドリム、110㎜幅タイヤが新たに装着され、加速時、コーナリング時に優れたトラクションとショック吸収性をもたらすとしています。

リヤのスプロケットは、シャープな走りと機能美を兼ね備える形状に一新されています。トポロジー解析(位相最適化)により、強度と軽量化を両立。ローター、アクスル部ともに強度を高めつつ、2021年モデル比で39gのダイエットに成功しています。

ドライブチェーンは、コンマ数ミリ単位でアウタープレートが薄肉化され、2021年モデルから73g軽量化。アウタープレートもt2.0からt1.8に、ピン長は17.60mmから16.90mmに、アウターピンは5.23パイから5.08パイに変更され、軽量化により駆動力のロスを削減しています。

ヤマハ YZ250F
「YZ250F」の外観デザイン

こうした、リヤホイールまわりの軽量化とのバランスを図るため、前後サスペンションのセッティングも変更。コーナー進入、脱出におけるトラクションの安定化に寄与しているそうです。

■「YZ250F」、「YZ125」には「Monster Energy Yamaha Racing Edition」も設定

「YZ250」のトピックスは、3つ。2022年モデルの「YZ125」と同様に、サイドカバー後方から直線的に外気を導入する後方ストレート吸気が採用され、高回転域での伸び感、優れたオーバーレブ特性を実現します。前後サスペンションセッティングの見直しも盛り込まれています。4ストロークのYZ同様の構造であるKYB製前後サスペンションは、減衰力特性を向上。

ヤマハ YZ250F
「YZ250F Monster Energy Yamaha Racing Edition」のスタイリング

ショック吸収性はもちろん、旋回性、トラクションが高められています。フロントサスペンションは、極低速での作動時から減衰力を発揮し、軽量ボディを活かしたセッティングもあって、前後ピッチが少なく、しっとり落ち着いた減衰特性をもたらすそう。

制動力の向上も図られています。フロントのピストンが大径化されると共に、ローターはパッドとの接触面を従来比で約30%拡大。ブレーキレバーは、操作性も配慮され、ストロークを従来比で5mm増加し、優れた制動力と、良好な操作感をもたらすそうです。リヤは、ディスク形状が刷新され、制動力を維持したまま軽量化されています。

ヤマハ YZ85LW
「YZ85LW」は「ディープパープリッシュブルーソリッドE」を採用

「YZ85/YZ85LW」も2022年型の「YZ125」と同様に、サイドカバー後方から直線的に外気を導入する後方ストレート吸気を搭載。高回転域でのパワーフィーリングが向上し、ストレートでの走破感、シフトを維持したままでの爽快なトラクション感、加速感などに寄与します。

シートは、ヒップポジションが上がり、タンクキャップ位置を前側に移動。スリムでフィット感があるフラットな面構成になっています。また、シートの取り付けを座面後方部のボルト1本留め式とし、整備性の向上も図られています。シュラウド、サイドカバーも一新され、スリムで滑らかな面にすることで、ライダーの自由でスムーズな体重移動をサポート。

そのシュラウドは、左右同一幅のスリムなデザインになり、シュラウドのスリム化と冷却性能を両立。ほかにも、軽量アルミ製リヤフレーム(着脱式)、剛性バランスの最適化が図られたリヤアーム、リザーブタンク一体型マスターシリンダー(リヤ)などが用意されています。

ヤマハ YZ85
ヤマハ「YZ85」のスタイリング

価格は、「ディープパープリッシュブルーソリッドE」の「YZ450F」が107万8000円。「ヤマハブラック」をまとう「YZ250F Monster Energy Yamaha Racing Edition」が92万4000円。「ディープパープリッシュブルーソリッドE」の「YZ250F」が91万3000円。「ディープパープリッシュブルーソリッドE」の「YZ250」が78万1000円。

「ヤマハブラック」の「YZ125 Monster Energy Yamaha Racing Edition」が74万8000円。「ディープパープリッシュブルーソリッドE」の「YZ125」が73万7000円。以上が2021年10月28日発売です。

また、「YZ85LW」は「ディープパープリッシュブルーソリッドE」で、価格は57万2000円。「YZ85」は「ディープパープリッシュブルーソリッドE」で、価格は56万1000円。以上2モデルは、11月30日発売。10月28日発売の「YZ65」も「ディープパープリッシュブルーソリッドE」になり、価格は49万5000円です。

ヤマハ YZ125
「YZ125 Monster Energy Yamaha Racing Edition」のデザイン

なお、上記モデルすべてが年内の生産計画を上回る予約が集まり、現在、予約を一時停止中です。予約を再開する場合は、改めてヤマハ発動機の公式ウェブサイト上で告知されます。

塚田勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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