約5分で快適! 炎天下に駐車後、すぐに車内を冷やす「エアコン」の正しい使い方

■JAFが実証した速攻の車内冷却テクニック

今年の夏も猛暑が続いています。特に、炎天下の野外に駐車した後だと、車内の温度は50℃を超えてしまうことも度々。そんな時、エアコンを使っても「なかなか車内の温度が下がらない!」と困っている人も多いのではないでしょうか。

夏にすぐ車内を冷やすエアコンの正しい使い方
車内をすぐに快適にする夏の正しいエアコン使用法とは?

実は、夏場に約5分で車内の温度を快適にできるエアコンの使い方があります。ここでは、ロードサービスを手掛けるJAFの実験をもとに、速攻の車内冷却テクニックを紹介します。

●「エアコン+走行」が最も早く冷える

JAFでは、2016年に同じミニバン5台を用意し、車内温度が55℃になったタイミングで、それぞれ違う方法で温度低下に挑戦するという実験を行いました。

実験は以下の5パターンです。

1,ドア開閉
エアコンは使わず、助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉して車内の熱気を逃し、温度変化を測定

2,冷却スプレー
エアコンは使わず、冷却スプレーをシートに10秒ほど吹きかけ、3分間の温度変化を測定

3,エアコン(外気導入)
窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を外気導入にし温度はLo(最低)に設定、10分間の温度変化を測定

4,エアコン(内気循環)
窓は開けず、車のエアコン(オート)を内気循環にし、温度はLo(最低)に設定、10分間の温度変化を測定

5,エアコン+走行
窓を全開にし、車のエアコン(オート)を外気導入にし、温度はLo(最低)に設定して走行。2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして3分間走行し、温度変化を測定

夏にすぐ車内を冷やすエアコンの正しい使い方
温度をLo(最低)に設定し、窓を開け外気導入→窓を閉め内気導入の順で実験

この結果、最も早く車内温度を下げることができたのは、5の「エアコン+走行」でした。5分後に28.0℃まで温度が下がったのに対し、3の「エアコン(外気導入)」は10分後に29.5℃、4の「エアコン(内気循環)」は10分後に27.5℃となりました。

夏にすぐ車内を冷やすエアコンの正しい使い方
JAFの実験結果(出展:JAF)

なお、エアコンを使わない「ドア開閉」は47.5℃、「冷却スプレー」は3分後に50.1℃で、エアコンほど温度を下げることはできなかったようです。

●燃費や排ガス問題にもメリット

以上の結果から、JAFでは最も早く温度を下げることができるのは「5,エアコン+走行」で、

1,窓を全開にしてエアコンを「外気導入」にして走り出す
2,車内の熱気を出したら窓を閉め、エアコンを「内気循環」にして冷やす

ことが最も効率的な方法だとしています。まずは窓を開けエアコンの外気導入で車内の暑い熱を逃がした後、窓を閉めて内気循環でエアコンの冷気を車内に循環させることで、短い時間で車内の温度を快適にできるということですね。

夏にすぐ車内を冷やすエアコンの正しい使い方
最初は窓を開けて走行することも大切

また、JAFでは、この方法は「短時間で温度を大きく下げられるので、燃料の消費や排ガスも抑えられ、環境面でもメリットが多い」といいます。

確かに、エアコンを「強」にして長時間使うと燃費が悪くなりますし、エアコンを車内温度が下がるまで停車状態のアイドリングのままで使うのは、排ガスの問題があります。その点、走りながら冷やす方が地球にもお財布にも優しいということですね。

●内気循環と外気導入は使い分ける

ただし、エアコンを内気循環にしたままだと、車内の二酸化炭素濃度が高くなり、疲労感の増加や注意力の低下、眠くなったり頭痛がする場合もあるというデータもあります。

夏にすぐ車内を冷やすエアコンの正しい使い方
クルマに水をかけるのはあまり効果がなかったという

車内が冷えたら外気導入へ切り替え、渋滞路やトンネルなど車内に排ガスを入れたくない時はまた内気循環にするなど、適度に切り替える方がいいようです。

ちなみに、JAFではクルマのボディに水をかける実験も行っています。結果は、バケツ(8L)で3杯分の水をかけたものの、車内温度は0.9℃しか下がらず、効果はなかったそうです。

また、実験2のように冷却スプレーを使った場合、車内は火気厳禁だといいます。理由は、冷却スプレーの多くは可燃性のガスが使われいて、服などに残ったガスに引火する危険性があるためです。

そのため、冷却スプレーを使った後、車内の換気を十分にしないまま使用後にタバコに火をつけようとしてやけどを負うといった事故も起きているそうです。

ともあれ、実験からも明かなように、「エアコン+走行」が最も早くて効果的、しかも安全な車内の冷やし方のようですね。

(文:平塚直樹

 

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【関連リンク】

JAF公式ホームページ「夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?(JAFユーザーテスト)」
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/lowering

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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