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■ガソリン車以外の注目度はハイブリッド車が1位
近年、地球温暖化対策などにより「クルマの電動化」が注目され、各自動車メーカーからハイブリッド車やBEV(エンジンを使わない電気自動車)などが続々とラインアップされてきています。
一方で、一般ユーザーは、こういったガソリン車以外のクルマ、特に今後の普及が見込まれるBEVについて、どんな意識を持っているのでしょうか?
時間貸し駐車場のタイムズなどを運営するパーク24では、同社のドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」の会員6816名を対象に、電気自動車に関するアンケート調査を実施。
その結果、半数以上がガソリン車以外の購入を検討したことがあり、そのうち71%がハイブリッド車に注目していることが分かりました。また、BEVの購入については、価格を気にしている人が最も多いことも判明しています。
●ガソリン車以外を検討したことがある人は55%
今回の調査は2021年2月15日〜2021年2月21日の期間中、インターネットにより行われたものです。また、パーク24では同様の調査を2015年から実施、今回は7回目の調査となります。
アンケートでは、まず「クルマを保有しているか」を質問。その結果、「持っている」が58%、「持っていない」が48%となっています。
また、クルマを「持っている」人のなかで、保有するクルマの車種を聞いたところ、「レギュラーガソリン車」が72%で最多、次いで「ハイブリッド車」17%、「ハイオクガソリン車」15%となっています。
さらに、調査では「ガソリン車以外のクルマの購入を検討したことがありますか?」といった質問も実施。その結果、「検討したことがある」と答えた人が55%と半数以上を占めました。
ちなみに、検討したことがあると答えた人をクルマ保有・非保有別で分けて見ると、保有者の中でガソリン車以外を検討したことが「ある」と回答した人が61%、非保有者に比べ14ポイント高い結果となっています。
●価格、充電場所、航続距離が検討要因
アンケートでは、ガソリン車以外の購入を検討したことがある人に、そのクルマの種類も質問。
その結果は「ハイブリッド車」71%がダントツの1位。次いで「電気自動車」31%、「ディーゼル車」25%となっています。
なお、ここでいう電気自動車は、エンジンを使わずモーターのみで走るBEVを指しています(以下同)。
また、この結果をクルマ保有・非保有別で見た場合、「ハイブリッド車」・「電気自動車」・「水素自動車」のいずれも、クルマの保有者よりも非保有者の方が検討した割合が高い結果が出ています。
ガソリン車以外の購入を検討したことがある人の割合はクルマ保有者の方が高いものの、非保有で検討したことがある人は、幅広い車種を検討する傾向にあるようです。
調査では、「電気自動車がどのようになったら購入を検討しますか」といった質問も行いました。その結果、「価格が手ごろになったら」が34%で最も多く、「充電ステーションが増えたら」19%、「航続距離に不安がなくなったら」12%、「好きな車種があったら」11%などが続きます。また、「検討する予定がない」と回答した人は18%でした。
なお、この結果を年代別に見てみると、「航続距離に不安がなくなったら」と回答した人は年代が上がるにつれて割合が高くなる傾向があり、60代以上が16%なのに対し、20代以下は9%と7ポイントの差がありました。
一方で、「好きな車種があったら」と答えた人は、若い年代ほど割合が高く、20代以下が17%で最多となりました。
また、30代以下は「好きな車種があったら」が「航続距離に不安がなくなったら」を上回っており、航続距離よりも車種を重視している傾向があるようです。
さらに、「価格が手ごろになったら」電気自動車の購入を検討すると回答した人に、購入を視野に入れる車体価格も質問。
その結果は、「200万円以下」が28%で最多、以下「150万円以下」22%、「300万円以下」16%、「250万円以下」15%と続きます。
パーク24では、この結果について「国内で販売されている電気自動車の車体金額は400万円前後となっており、国や自治体は補助金の交付や税優遇制度等を設けているものの、購入を検討できる価格とは差があるようです」と分析しています。
●購入時に求める1充電あたりの走行距離は?
調査の質問では、「航続距離に不安がなくなったら」と回答した人に、購入時に求める1充電あたりの走行距離も聞いています。結果は、「501km以上」が41%で最も多く、次いで、「401〜500km」23%、「301〜400km」16%、「201〜300km」16%となっています。
これについても、パーク24では、「アンケート実施時に発売されている国産の電気自動車のカタログ記載の航続距離は164km〜570km(JC08モード)となっていますが、より長距離を走行できるクルマが求められていることがわかりました」と言明。
ちなみに、同社によると、今回の調査を行った2021年2月時点で、販売されている電気自動車の航続距離は以下の通りです。
【日産】リーフ:400km、リーフe+:570km
【三菱】 i-MiEV:164km
【ホンダ】Honda e:308km、Honda e Advance:274km
【マツダ】MX-30EV:281km
ほかにも、アンケートでは、「充電ステーションが増えて欲しい」と答えた人に、増えたらいいと思う場所も調査。
1位「ガソリンスタンド」64%、2位「コンビニエンスストア」63%が、3位以下に20ポイント以上の差をつけて圧倒的多数となりました。
なお、3位以下は「時間貸駐車場(コインパーキング)」41%、「サービスエリア、パーキングエリア」「商業施設」40%などが入りました。
パーク24は、これを「ガソリンスタンドは燃料補給する場所としてすでに認知していること、コンビニエンスストアは店舗数が多く身近な存在であることが要因」だとしています。
●普及に必要なこととは?
パーク24が行った電気自動車に関する調査は、前述の通り今回で7回目。
同社によると、電気自動車の購入を検討する際に重視することトップ3は、過去6回のアンケート結果と同じで、「価格」「充電ステーション数」「航続距離」であるといいます。
さらに、「本アンケートを初めて実施した2015年当時、電気自動車の1充電あたりの航続距離は180km〜220km(JC08モード)でしたが、現在では500km以上走行できる車種も販売されています。また、公共用の充電器は2015年の約1万2千台から、2019年には3万台に増えています(出典:経済産業省『第2回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会』)とコメントしています。
ただ、一方で、今回の調査で電気自動車を保有している人は「わずか1%」だったということにも言及。「普及までにはまだ時間がかかりそう」だとしています。
また、普及については「実際に電気自動車を利用して走行距離や充電設備の数を体感しなければ、電気自動車に対する不安を払拭することは難しい面もあるかもしれません」とし、同社でもカーシェアリングサービスの「タイムズカー」で、全国に100台の電気自動車を導入していることなどを紹介しています。
電気自動車については、たとえば、2021年4月にホンダが「2040年までに新車販売をすべて電気自動車やFCV(水素で走る燃料電池車)とし、ハイブリッド車を含むガソリンを使って走るクルマを撤廃する」といった内容の発表しています。また、政府では2020年12月に「2030年半ばまでにガソリン車販売禁止」の方針を出すなど、電気自動車がガソリン車に代わる次世代自動車として普及が進めらているのは確かです。
ですが、今回のアンケート調査でも判明した通り、ユーザーにとっては価格はもちろん、日常の足やドライブなどで使い勝手がよくなって欲しいのが本音だと思います。
普及に向けては、ぜひこういった様々な課題をクリアしてもらいたいですね。
(文:平塚直樹 *写真はイメージです)