絶対に足が着く!?BMW伝統の冒険バイクGSの末弟「G310GS」に新型モデル登場

■40周年記念カラーやLEDヘッドライト新装備

40年以上の歴史を誇る、BMW伝統の長距離ツーリング向けバイクが「GS」シリーズ。1980年に登場した初代モデルR80G/S以来、高いオフロード性能と舗装路での快適性などが根強いファンを生み、ラリー競技マシンのようなスタイルを持つアドベンチャーバイクというジャンルを確立した立役者です。

国内でも、休日のツーリングなどでGSを見かけない日はないといえるほど、今やBMWの代名詞ともいえる人気シリーズのひとつです。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
悪路走行性能も高いG310GS

GSのフラッグシップといえば、1250ccの水平対向エンジンを搭載するR1250GSシリーズ。巨大な車体が生む圧倒的な存在感と、抜群の長距離性能には定評がありますが、一方でシート高が高く、車両重量が重いことが難点。

小柄な体型のライダーでは、市街地などでの足着き性が悪いとか、駐車場などでの取り回しがしづらいと感じる人も多いようです。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
GSのフラッグシップがR1250GSシリーズ

そんな人にも楽に足が着いて、取り回しも比較的しやすい、しかも独特のワイルドなスタイルを継承しているのが「G310GS」です。

長距離ツーリングはもちろん、街乗りでも軽快に走ることが好評のこのモデルに、2021年新型が登場。新型LEDヘッドライトなど、より装備が充実し、40周年カラーも登場した最新型を紹介しましょう。

●排気量313ccの水冷単気筒を搭載

G310GSは、前述のフラッグシップR1250GSシリーズ、排気量550cc直列2気筒エンジンを搭載するF750/850GSシリーズに次ぐシリーズの末弟ともいえるモデルです。

2016年に初登場した同モデルは、シリーズ中で最もコンパクトで堅牢な車体、誰にでも扱いやすい走りなどが特徴です。

新型のエンジンには、先代と同様に排気量313ccの水冷単気筒を搭載。シリンダーを後方に傾けて搭載し、シリンダー・ヘッドを180度回転させ吸気側を前方、排気側を後方に配置することで、燃焼ガスの流路を最適化する設計上の特徴も、先代モデルを継承しています。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
G310GSの特別色、カイヤナイト・ブルー・メタリック/スタイル・ラリー

最高出力は34ps(25kW)/9500rpm、最大トルクは28Nm/7500rpmを発揮します。

また、発進の際に自動的にアイドリング回転数を上昇させ、突然のエンジンストールを防ぐエレクトロニック スロットル グリップも装備し、より繊細なスロットルレスポンスを実現。

これらに加え、新型には夜間の視認性をさらに向上させるフルLEDヘッドライトを採用。道路上での被視認性を高めるLEDフラッシング ターン インディケーターも新装備されています。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
新型G310GSにはLEDヘッドライトを装備

さらに、クラッチレバーとハンドブレーキレバーは4段階調整式に変更され、手の小さい人でも握りやすい位置に調整することが可能となっています。

●軽さと足着き性は抜群

このモデルの魅力は、なんと言ってもその軽さ。車両重量は170kgで、フラッグシップの1250ccマシンでは、たとえばR1250GSアドベンチャーが278〜281kgですから、半分近く軽いのです。しかも、G310GSはシート高が835mm。R1250GSアドベンチャーは仕様によって違いますが850mm〜910mmといずれもかなり高くなっています。

もちろん、これら2モデルは排気量が4倍近く違いますから、パワーは雲泥の差。R1250GSは最高出力136psを誇りますから、長距離ツーリングだけを考えれば高速道路などの巡航速度も高いですし、G310GSよりもストレスなく走れることは間違いないでしょう。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
BMW・R1250GSアドベンチャー

ですが、たとえば街中の渋滞路などで発進と停止を繰り返す場合、1250ccのGSではライダーの体格によっては停止の度に足を着くのが大変ですが、足着き性がいいG310GSなら比較的楽に渋滞路でも走れるため、疲労度はかなり軽減されます。

また、こういったアドベンチャーバイクは悪路での高い走行性能も魅力ですが、たとえば日本のように道幅が細い林道などでは、R1250GSの重い車体や大パワーは、特にダート初心者などでは持てあましてしまう人もいるでしょう。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
G310GSは細い林道などでも比較的走りやすい

その点、G310GSであれば幅が狭い悪路でも、比較的楽にクリアできます。

●立ちゴケすると後が大変な1250ccのGS

実際、筆者もR1250GSの最も車高が高い仕様に乗ったことがありますが、サスペンションが硬めで沈み込まないこともあり、足着き性は最悪。

走っている最中は楽しいのですが、停止時にうっかり路面がやや凹んで低い場所に左足を出した瞬間、地面につま先がきちんと着かず、そのままオットト……ガシャン! いわゆる立ちゴケをしてしまった経験があります。

しかも、200kgを超える車体は起こす際も一苦労で、汗だくになってなんとか起こした苦い記憶があります。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
R1250GSはオフロードでの走破性も高いが、シート高が高いのが難点と感じるライダーも

その点、G310GSなら高速道路での巡航などでは少し遅さを感じるでしょうが、それ以外の道では安心して走れるのが魅力。トータルバランスという意味では、より日本の道にあったモデルといえるでしょう。

しかも、G310GSのボディサイズは、全長2190mm×全幅880mm×全高1250mm。一方のR1250GSアドベンチャーは、全長2190mm×全幅980mm×全高1490〜1530mmですから、全長は同じ。

G310GSの車格は、排気量の差ほどR1250GSに劣らない感じです。

外観の装備も、特徴的なウインドシールド、ハイ フロント フェンダー、印象的なフライライン、短く高いリヤエンドを採用。大排気量モデルR1250GSの主要なデザインエレメントを受け継いでいるため、独特の存在感や雰囲気も味わえます。

●40周年の特別カラーも用意

G310GSに用意された3つのボディカラーも、GSシリーズのイメージを踏襲しています。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
G310GSの40周年記念カラー、コスミック・ブラック

ベースカラーのポーラ・ホワイトは、燃料タンクのサイドパネルがグレーに塗装され、ラリースタイルを表現したカラーです。

また、特別色となるカイヤナイト・ブルー・メタリック/スタイル・ラリーは、フレームもレッドに塗装してレーシーなイメージを演出します。

加えて、GS40周年記念カラーとなるコスミック・ブラックは、1987年〜1996年に登場し、数々のエンデューロレースなどで活躍した伝説のモデルR100GSを彷彿とさせるカラーを採用しています。

BMW伝統の冒険バイクGSの末弟G310GSに新型モデル
G310GSのベースカラー、ポーラ・ホワイト

価格(税込)は、70万9000円〜71万9000円。全国のBMWモトラッド正規ディーラーで4月23日より予約を受付中で、納車は2021年5月下旬頃の予定です。

(文:平塚 直樹/写真:ビー・エム・ダブリュー)

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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