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■人気のカスタムスタイルに特別カラー
近年、輸入バイクでは、人気のストリートカスタムのスタイルをメーカー自らが施した仕様も販売されていますが、イタリアの2輪ブランド「モト・グッツィ」の「V9ボバー」もその1台。
車名についているボバーとは、かつてアメリカで人気だったカスタムスタイルを意味します。しかも、その名前の由来は、とあるヘアスタイルに関係しているのです。
モト・グッツィの日本正規代理店ピアッジオグループジャパンでは、そんなV9ボバーの新型を発表。2021年に100周年を迎えたイタリア最古ブランドを記念したスペシャルな仕様「V9ボバー チェンテナリオ」をお披露目しました。車名の由来から新型の特徴など、このバイクの魅力を紹介しましょう。
●フェンダーを短くしたのが始まり
まずは、ボバーとはなにか。これは、1930〜40年代のアメリカで、若者を中心に流行したバイクのカスタムスタイルのことです。
名前の由来は英語の「Bobbed(ボブド)」。この言葉は、元来、ショートボブなど短いヘアスタイルを意味する言葉なのですが、ボバーがバイクのフェンダーなどを短くするスタイルだったことで使われたようです。
では、なぜフェンダーを短くしたのか? それは当時のレーシングマシンのスタイルから来ています。
アメリカでは、昔からダートトラックレースという平らなダートコースを走るレースが人気ですが、そこに出てくるハーレーダビッドソンやインデアンなどは、フェンダーを短くカットしたり、取り外していました。
ほかにも、とにかく走行に支障がないパーツは全て外し、車体を軽くすることでライバルマシンに勝とうとしたのです。つまり、軽量化チューニングみたいなものですね。
そんなスタイルに憧れた当時の若者たちが、愛車のフェンダーをカットしたり、車体のサイドカバーなどを外したことで、ボバースタイルは生まれました。最近は、こういったスタイルがリバイバルで人気となり、主にストリートカスタムとして世界的に注目を浴びています。
●伝統の縦置きVツインを搭載
そんな人気のカスタムスタイルを、前述の通り、メーカー自らが取り入れたのがモト・グッツィのV9ボバーです。
無駄なパーツを極限までそぎ落としたシンプルなフォルムや極太の前後16インチタイヤなどが、ビンテージな雰囲気とアグレッシブなイメージを演出しています。
その2021年新型では、モト・グッツィ伝統の縦置きV型2気筒エンジンが進化。排気量は850ccで、最高出力65hp、最大トルク73Nmを発揮し、キビキビした走りを実現します。また新型のフレームは、ステアリングヘッド周りを強化する事により、安定性を向上させ精度の高いハンドリングを実現します。
さらに、新デザインのシート、ショートタイプのフロントマッドガード、短くすっきりとしたテール周りのデザインなどの採用で、不要なものを削ぎ落したスポーティなフォルムをアップデートしています。
メーターやLEDヘッドライトのDRL(デイライト)には、モト・グッツィのブランドロゴに入っている鷲、マンデーロイーグルを彷彿とさせるデザインを採用。
加えて、バイクのデータをスマートフォンから確認できる機能、Moto Guzzi MIAマルチメディアシステムをオプションで装着することも可能です。
これを搭載すれば、スピードメーター、タコメーター、瞬間出力、瞬間トルク、瞬間または平均燃費、平均速度、バッテリー電圧、制御の状態、縦加速度、トリップコンピューターなど膨大な情報の中から、7つまで選択してスマートフォンの画面上で確認することができます。
しかも新型は、前述の通り、100周年を記念した特別な仕様です。専用のブラウンシートやマットグレーの燃料タンクにはゴールドのモト・グッツィのイーグルをあしらい、サイドパネルとフロントフェンダーにはマットグリーンのペイントも施しています。
そのカラーは、1950年代にモト・グッツィが製作した500cc・水冷V型8気筒を搭載したレーシングマシン、伝説の「オットーチリンドリ」を彷彿とさせる色調となっています。
価格(税込)は134万2000円。すでに全国のモト・グッツィ正規販売店で受注を開始していて、6月より順次出荷されます。
(文:平塚 直樹/写真:ピアッジオグループジャパン)