■「Toyota Technical Center Shimoyama」内にレクサスの新たな事業拠点を開設
急速に電動化が進んでいる自動車業界。どうやってEVの電気を発電するのか、多くのCO2を排出する大容量バッテリーをどう生産するのかなど、「EV=エコ」と単純にはいかないものの、各国、地域での電動化の流れは今後加速するのは間違いなさそうです。
レクサスも例に漏れず、EV、プラグインハイブリッド、ハイブリッドなどの電動化車を含む約20車種の新型や改良モデルを投入すると表明しています。今後のブランド変革に向けた取り組みについて「LEXUS CONCEPT REVEAL SHOW」において明らかにしています。
レクサスは、2005年にRX400hを発売して以降、高級車マーケットにおいて、お家芸であるハイブリッドを擁して電動化を推進してきましたが、テスラやアウディ、ポルシェなど、ラグジュアリーブランドのEV、PHVなどの品揃えは年々急速に増えています。
レクサスは、今回発表されたEVコンセプトカーの「LF-Z Electrified」に、2025年までに実現を見据えた走り、デザインや技術を搭載したとしています。バッテリーやモーターの最適配置による慣性諸元の向上、四輪駆動力制御技術「DIRECT4」などの採用がそれで、高度かつ自由度の高い運動性能は、従来のクルマとは一線を画したものになるそう。さらに、先進的なインフォテイメント機能なども搭載されます。
既述のように「CASE」の中でも「電動化」はここ数年、急速に拡大しています。レクサスも2025年までに世界各国や地域のニーズに応じて「適時、適材、適所」の考え方のもとで、10以上のEV、プラグインハイブリッド、ハイブリッドなどの電動車を含む、約20車種の新型や改良モデルを投入するとしています。
この声明に含まれていませんが、燃料電池車のFCVも「レクサス」ブランドには不可欠になるでしょう。
レクサスは、基幹モデルと位置づけているセダンやSUVのラインナップの拡充だけでなく、スポーツモデルや新しいショーファーモデル、これまでにない新ジャンルのモデルなどの可能性も追求するとしています。
高級ブランドが生き残るためには「CASE」時代でもさらなる付加価値は必須になるはずで、レクサスの取り組みに注目。具体的には、2025年には全車種に電動車を設定。電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上回ることを目指すとしています。
さらに、2050年には、全モデルラインアップにおける材料製造、部品製造、車両製造、物流、走行、廃棄・リサイクルの各段階を含めたライフサイクル全体(ライフサイクルアセスメント)でのカーボンニュートラルを目指したクルマづくりに挑戦すると表明しています。
こうした目標を達成すべく、レクサスは2024年3月に「Toyota Technical Center Shimoyama(以下TTCS)」に新たな事業拠点を開設すると明らかにしました。この新拠点には、「レクサス」ブランドの開発、デザイン、生産技術、企画に携わるメンバーが一堂に会するそうです。「CASE」というキーワードに代表されるように、100年に一度の大変革期において、「もっといいクルマづくり」を推進。
そして、世界中での様々なテスト走行に加えて、各地での多種多様な厳しい走行環境を再現した下山のテストコースで、クルマを「走らせては直す」ことを幾度となく繰り返し、クルマを鍛え、クルマをつくる人も鍛えるとしています。
新事業所には、開発の中心となるLEXUS棟と、サプライヤーなどの社外ビジネスパートナーと共創を図るためのメッセ棟が開設されるそうです。LEXUS棟1階のガレージエリアは、ニュルブルクリンクのピットのように、あらゆる機能のメンバーが強い意志を持ってプロジェクトごとに集まり、現場でのリアルなクルマづくりと最先端のデジタル機器を融合させ、アジャイル開発を推進するとしています。
(塚田勝弘)