目次
■自転車整備は終わった、次はオートバイ!
東京五輪の主要競技会場を抱える江東区で、自動二輪車を自転車駐輪場に受け入れることが決まりました。オートバイは2007年に初めて駐車場法の対象となったため、自動二輪の駐車場整備はかなり遅れています。
そんな中で江東区は条例を改正。4月1日から施行され、区内3ヵ所の自転車置き場で定期利用と一時利用が始まります。
江東区は臨海埋立部に豊洲新市場(東京都中央卸売市場)や五輪競技会場の有明アーバンスポーツパークを抱える注目エリアです。新型コロナ感染拡大で東京都からの転出が続く中でも、2021年1月1日現在も対前年比で人口が増加する53万人の成長する特別区。
「かつての江東区は都内でも最多の放置自転車があり、駐輪場を整備してきました。その効果で10年前には1万3000台あった放置自転車が、現在では744台まで減少しました。
一方、原付バイクを超える大型バイクの置き場所についても需要が高まっていました。地域や議会の整備要望が上がり、国の整備促進の通知もあったことから条例を改正しました」(江東区交通対策課)。
国土交通省都市局街路交通施設課は、全国の地方自治体の駐車施策担当者に対して毎年、50cc以上のオートバイの駐車場整備を呼びかけています。1985年に制定された江東区の自転車条例の対象は自転車と排気量50ccのオートバイに限られていましたが、自動二輪車の駐輪場への受け入れが進むことになりました。
「原付2種(~125cc)のスクーターなどであれば原付1種(~50cc以下)とほとんど大きさが変わらない。駐輪場の駐車スペースの条件にあう車両、まずは原付2種になると思いますが受け入れることになりました。それ以上の自動二輪車についても駐車整備を視野に入れています」(同前)。
江東区には駐輪場が50ヵ所。そのうち17ヵ所で50ccバイクの利用が可能になります。条例制定から36年が経過し、この17ヵ所の中の3ヵ所でスタートします。
●ユーザーの声で議員を動かす
自転車法は「駐車対策の総合的推進に関する全般的な施策が有効かつ適切に実施されるよう必要な配慮をしなければならない」と、国と地方自治体に迫りますが、その対象は自転車と排気量50ccまでのバイクだけ。警察の取り締まりで放置車両を排除、利用者を減少させる、という悪循環になっています。
江東区が条例改正し、自動二輪車を整備対象に含めた背景には、地元ユーザーの声を代表したオートバイショップ団体の働きかけと、その声を受け止めた公明党区議の議会での活動がありました。
乗用車の駐車場は商業施設などの建物所有者に駐車場設置が義務づけられています。そのため自治体が駐車場整備をする必要がほとんどありません。しかし、オートバイは乗用車と同じように警察の放置駐車取り締まりの対象ですが、乗用車の駐車場のように設置の義務化がほとんど進んでいません。乗用車とバイクの駐車環境には、もともと大きな違いがあります。
たとえば、江東区は23区ある特別区の中で12番目に自動二輪の駐車場整備に取り組むことを決めましたが、同じ特別区でも文京区と墨田区は50ccバイクでも、駐輪場の受け入れを認めていません。オートバイの駐車対策は、いまだ発展途上です。
●区内3ヵ所の場所と申込方法
条例改正で区内の駐輪場への受け入れが決まったのは、次の3ヵ所です。
・亀戸駅北口第三(亀戸1-41-2) 20台
・南砂町駅西口(南砂3-14-1) 7台
・新木場駅南(新木場1-5) 45台
亀戸と南砂は定期利用で月3000円、新木場駅は時間貸で200円/24時間です。利用は4月1日から。定期利用の申し込みは3月25日10時から開始します。
(文・写真:中島 みなみ)