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●乗り味はスポーティだけど、オシャレアイテムとしてピッタリのプジョー208
続いてはプジョー208。今回試乗したのはアリュールというグレードで、新車価格は約260万円。ポロRラインより約50万円安いし、国産車とそれほど価格差はない。しかも先進の運転支援システムが標準装備なので、輸入車だけでなく、国産のコンパクトカーを考えている人もターゲットとなるはずだ。
もう、プジョー208は外観、内装ともにデザインが秀逸。全長約4.1mというコンパクトなボディだけど、存在感は抜群だしオシャレ。小さくても街に埋没することなく主張できる。この208は特に女性にオススメだと思う。それはオシャレで他人との差別化ができるから。もちろん男性でも良いけれど、表参道のコインパーキングに停めて、どんな人が降りてくるのだろうとワクワクできる。そういうクルマだよ。
ベンチマークであるポロとはそういった部分では大きな違いがあり、個性が際立っているよね。コンパクトカーはそういう冒険ができるのも楽しい。
インテリアもカーボン調のパネルやピアノブラックの使い方が上手。こういう部分も女性のセンスをくすぐるよね。さすがフランスのクルマという感じ。シートの座り心地やステアリングの握り具合もいい全く違和感を感じない。
やっぱりクルマって乗って座って動かして違和感を感じないというのがオレはまず大事だと思うな。自分のフィーリングに合わないものを動かすというのはストレスを感じるし、愛することはできないよね。だから愛車にはならないということ。
プジョー独自のiコクピットは最初は違和感を感じるけれど、すぐに慣れるね。ずっとステアリングの隙間からインパネを覗いてきた俺には若干違和感は残ったけれど、若者ならばそれほど感じないと思う。ただし、メーターのバイザーの上部が盛り上がっているのが気になる。せっかく良好な視界を演出しているのに、これはそれを遮断するので、ココは改善してもらいたい。あと、メーターパネルを囲むシルバーの加飾も太陽が当たると反射するので、改善ポイントだね。それ以外はホントオシャレに仕上がっている。
プジョー208に搭載されているパワートレインは1.2L直列3気筒ターボ+8速AT。ヤリスも3気筒になったから注目だよ。この1.2Lターボはスゴイ軽快でなおかつスポーティ。
スポーツカーというレベルではないけれど、スポーティな印象を受ける。加速も鋭いとは言えないけれども1.2Lでこれくらいスムーズに加速してくれれば合格と言える。ストレスを感じないし、スゥッと吹き上がっていくので、運転していると1.5Lくらいあるかなと感じる。1.2Lという小排気量とターボの組み合わせが良いんだね。3気筒エンジンで良く言われる振動とか音だとか気にならない。上手く作っているよ。
でも足がちょっとドタバタしている。フラットな路面ならば乗り心地は良いけれど、ちょっとしたつなぎ目とかギャップがあるところはダイレクトに拾う。これをスポーティな味付けとも言えるけれど、ちょっと粗さも感じる。特に初期入力がダイレクトに来るから。もう少しギャップの入力とかは品良くしてもらいたいな。そうじゃないとドライバーは楽しいけれど、リアに乗っている人はツライとい思うから。
プジョーの乗り味で良く「ネコ足」という言葉が使われるけれども、今日乗った印象だと、オレは新型208はネコ足ではないと思う。ネコ足というのはしなやかさが特徴で、もっと入力をいなして、乗り心地の良さとハンドリングの良さを両立させたものを言うと思うんだ。
現状は無理にスポーツ感を出しているような感じだよね。俺が思うターゲットを女性に向けているのだとしたら、もう少ししなやかな足回りにしないとだめじゃない?と思うよね。ターゲットは男性もですといっても乗り心地はもっとマイルドにしたほうがいいよね。
だけどそんなに気になるほど足回りは硬いわけではない。思ったより、見た目より硬いなという感じ。装着しているタイヤも16インチだから、もう少し穏やかな乗り味でもイイと思うけど。ギリギリのところを攻めていると思う。
260万円でこれだけオシャレなクルマが手に入るならば、価値はある。このスタイリングで目を引くし、インテリアに座った時にキレイでオシャレなクルマだなと思うから価格は適正だと思うし、こちらも外してないと思う。そしてナビ付けて300万円それは仕方ないなという感じ。
ヤリスやフィットの最上級クラスが250万円。+50万円で輸入車を選ぶステータスはどう思うか。そこは輸入車に乗っているステータスはあるよね。国産じゃイヤだなという人はいるし、50万円でオーナーシップ(満足感)を得られるのであれば高くないと考える人はいるから。要するに、国産車より+50万円のこのプジョー208をどのように着こなすか。それが大事だと思うんだ。
VWポロとプジョー208を乗り比べてみたけど、デザイン性も乗り味も全く異なるクルマだった。確かに乗り味はポロのほうが入力が抑えられていて、シットリとしているけれども、208のスポーティ感を演出した乗り味も悪くない。それくらい個性が違っていて、それぞれ際立ったものを持っているというわけ。逆にいうと比較したからこそ、違いが見えるということもあるんだ。
そしてもう一つ、プジョー208のような魅力あるクルマが200万円台で販売されていたら、国産コンパクトがウカウカしていられないと思う。せっかく良いクルマなのだから、プジョーには販売ネットワークの強化をお願いしたい。それはもっと見て、触って、乗ってもらえる機会を増やせば大きなチャンスがあると思う。
(コメント:土屋圭市、まとめ・スチール撮影:萩原文博)