200万円台で手に入る個性派コンパクトプジョー208は国産コンパクトカーもウカウカできない実力車【ドリキンの新車比較試乗】

●「ベンチマーク」のポロと「ニューカマー」のプジョー208を試乗

全長4m程度のコンパクトカー。いわゆるBセグメントと呼ばれるカテゴリーは、国産車ではトヨタヤリス、ホンダフィットが凌ぎを削っています。輸入車ではVWポロを中心に、アウディA1、シトロエンC3、ミニなど個性一杯のクルマが激しい販売競争を繰り広げています。

プジョー208外観02
欧州Bセグメントのライバル車をドリキンに比較試乗してもらった。

そして2020年新型プジョー208が登場し、さらにマーケットは盛り上がりを見せています。そこで今回は、欧州BセグメントのベンチマークであるVWポロと新型プジョー208をドリキン・土屋圭市が試乗し、それぞれの個性について語ってもらいました。

試乗したクルマのスペックです。

【VWポロ TSI R-Line(7DCT)車両本体価格310万9000円】

ポロ外観02
ポロのフロントスタイル。
ポロ外観03
ポロのリアスタイル。

全長4075mm×1750mm×1450mm、ホイールベース2550mm、車両重量1210kg、エンジン種類 直列4気筒ターボ、総排気量1497cc、最高出力150ps/5000~6000rpm、最大トルク250Nm/1500~3500rpm、使用燃料ハイオクガソリン、JC08モード燃費17.8km/L、サスペンション F:マクファーソンストラット式R:トレーリングアーム式、最小回転半径5.1m

【プジョー208アリュール (8AT)車両本体価格259万9000円】

プジョー208外観04
208のフロントスタイル。
プジョー208外観05
208のリアスタイル。

全長4095mm×1745mm×1445mm、ホイールベース2540mm、車両重量1160kg、エンジン種類 直列3気筒ターボ、総排気量1199cc、最高出力100ps/5500rpm、最大トルク205Nm/1750rpm、使用燃料ハイオクガソリン、JC08モード燃費19.5km/L、WLTCモード燃費17.0km/L、サスペンション F:マクファーソンストラット式R:トーションビーム式、最小回転半径5.4m

●ベンチマークであるポロの底上げによってカテゴリーのレベルがさらに上がった

俺がコンパクトカーに求めるものはまず扱いやすさ。大きさもそうだし、取り回し。クルマの四方やタイヤの位置がわかりやすいことだと思う。それは、コンパクトカーはビギナーが選ぶクルマだから。運転していて不安要素が小さいもしくは感じないことが大切だと思うんだ。

そしてこのクラスは国産車でもヤリス、フィット、ノート、マツダ2、スイフトと強豪がひしめき合っているけれども、輸入車も同じだよ。VWポロをベンチマークにミニ、シトロエンC3そして、今回試乗するプジョー208とまた役者が揃っている。これだけ個性的など選ぶ方も迷ってしまうよね。そこで今回はベンチマークのポロとニューカマーのプジョー208を試乗してそれぞれの個性を紹介したい。

ポロ外観01
ポロは路面からの入力を上手にいなしてくれるので乗り心地が良い。
VWポロ内装08
ポロをドライブするドリキン。

まずは、ベンチマークであるVWポロから。やはりベンチマークと言われるクルマが良ければ良いほどライバルたちはそのクルマにない魅力を出そうとがんばろうとする。

ポロのデザインは外装も内装も手堅い。このデザインを嫌いという人を少なくしようとしているのを感じる。つまり真面目なドイツ人が作ったんだなという「質実剛健」「理路整然」という四字熟語がピッタリ。

これは国産車にも言えることだね。特に室内は使い勝手重視のレイアウトに仕立てられている。遊び心は微塵もない。でもポロはこれで良いと思う。それはベンチマークだから。

VWポロ内装03
液晶パネルを多用していて、使い勝手は抜群。
VWポロ内装04
ステアリングに運転支援システムのスイッチがあり、操作しやすい。

ポロの3本スポークのステアリングは良いね。あとステアリングの太さ、大きさなんか落ち着くね。まるで故郷に帰ってきた感じに似ている。

その印象の良いステアリングのフィーリングは全く違和感がない。切ってからの反応も速いし、街乗りやライトなワインディングでは切った分だけしっかりと曲がる。アンダーステアーなんて微塵も感じない。

VWは上級モデルでもコンパクトカーであっても「絶対リアは出しません」という味付けになっている。これは一貫しているよ。これはVWの考える安全哲学だと思うし、すべてのモデルで一貫しているのは自分たちのポジションをわかっているということ。だからベンチマークとして成り立つと思うんだ。ちょっと悪くいえば、面白味に欠けるとも言えるけれども、それが嫌な人は別のクルマを選べば良い。

でも限界性能は相当高いから一般の人であれば、十分楽しめるクルマだ。

ポロ外観04
Rラインは17インチホイールを採用する。
VWポロ内装05
大人が3人乗ってもスムーズに加速する1.5Lターボエンジン。

このRラインに搭載されているパワートレインは1.5L直列4気筒ターボ+7速DSG。大人3人が乗車して、ストレスなく加速してくれるのだから十分満足できる。一般道であれば、アクセルを一生懸命踏まなくても十分に法定速度まで達してしまう。

特筆すべきは、質感の高い足回り。路面に凹凸があっても、シットリとしていて初期入力をしっかりと抑えていて高級車のよう。たとえば、1Gかかったところからの初期入力の質感が高い。ポロは17インチのタイヤを装着しているのだけれど、きっとテストしてみて16インチより17インチのほうが質感や乗り心地もいいし、ハンドリング性能も良いという結果になったんじゃないか。これは外してないし、真面目な人がVWを選ぶという理由だよ。

VWポロ内装06
ポロのフロントシート。
VWポロ内装07
ポロのリアシート。

ポロの性能は、やっぱり国産車ではちょっと物足りないという人に受け入れられる。それは全然レベルが違うから。一般的にコンパクトカーで350万円は高いと感じるはず。でも国産車とは全く走りの質感は違っていて、路面のつなぎ目を乗り越えた時など優しく吸収してくれる。

そしてシートの作りも良い。だからポロなばら500km位走っても疲れないだろうと期待できる。それくらい乗ると価格差なりの価値はしっかりと感じられる。ただココが素晴らしー!と感動するポイントはないんだけど、本当に嫌われる要素を排除しているクルマに仕立てられている。

VWポロ内装01
5人乗車時のラゲージ容量は351Lを確保する。
VWポロ内装02
後席を全て倒すと最大で1125Lまで拡大する。

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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