■想定するクラスやボディサイズもなく、インテリアから開発を開始
新しい価値を提案する、というマツダの挑戦で始まったというMX-30。
マツダ初の女性主査である竹内都美子氏、チーフデザイナーの松田陽一氏に少しだけ話を聞く機会がありました。この2人は、二人三脚でMX-30を作り上げた同士といえるそうです。
竹内主査は、最近では2011年にデミオの性能開発を担当し、2015年からMX-30の主査を務められています。また、松田陽一氏は、最近では2011年のマイナーチェンジ版CX-9、2012年のCX-3の2車をチーフデザイナーとして手掛けられました。
MX-30は、クラスやボディサイズも決められていないゼロからのスタートで企画され、それこそ「タイヤは3輪でもいい」というくらい全くの白紙。つまり、フルモデルチェンジや新規のブランニューモデルのような普通の新型車作りにはあまり例がないような出発点だったのがMX-30です。
そうなると「コンセプトカー」を作るような流れにも思えます。竹内主査に「プレッシャーがなかったか?」伺ったところ、市販化できるかゴーサインが出るかが最もプレッシャーだったとのことで、競合車、ベンチマークを設定してクルマを作るという手法は採らなかったそう。
じつはMX-30は、同じプラットフォームを使うCX-30よりも先に開発がスタート。まずは世界を回ってみようというところから、日本や欧州などを巡ったといいます。
世界中を回る中で訪ねる対象としたのはマツダのオーナーやユーザーではなく、自分の生活を大切にしているような人達で、そうしたライフスタイルを送る人たちのインテリアや生活を見て、いま求められているクルマとは? という答えを模索したようです。実際に訪れたのは、一例として、クリエーターなどまだ大きな成功を収めてはいないけれど、一歩を踏み出しているような人だったとしています。
開発に際し、サイズの制約がない中で出発したというMX-30は、全長4395×全幅1790×全高1550mmに収まっています。この点については、全長と全幅は最後まで制約がなく、日本向けの全高は最終的に1550mmに収められたとのことです(欧州値は1550mmを超えていますが、これは足まわりの違いによるもの)。