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●車中泊用のベッドは自作できる
車中泊を自宅でのガレージで楽しむことができます。自宅にいながらも旅行気分を味わえるので、ちょっとした息抜きにもなるでしょう。
ただ、車中泊をする上で「自分の車はフルフラットにならないから車中泊に向かない」とあきらめてしまう方もいるかもしれませんが、ベッドを自作すればそうした問題も解決できます。
以前、マツダの初代アテンザスポーツに寝床を作ったことがあります。
今回はその時の様子をご紹介します。車によって状況は異なりますが、大まかには同じ方法で、それぞれの車に合ったベッドを作ることができるはずです。
■実際にベッドを自作した車はマツダの初代アテンザスポーツ
初代アテンザスポーツは、全長約4.7m、全幅約1.8mのハッチバックタイプの車です。この車は後部座席を前方に倒すことはできるものの、傾斜ができてしまう点が車中泊をする上で少々不向きなポイントでした。
そこで快適な車中泊を実現するために、傾斜を解消して地面と水平になるベッドを数年前に自作しました。その完成した状態のベッドがこちら。
ベッドを支える土台が片側にしかついていないことがわかるかと思います。写真の右側、土台がついている方がベッドの後ろ側になります。
簡素な作りですが、これまで500回以上このベッドで車中泊をしてきて、一度も破損していない上、実用性においても不満は感じていません。
■車中泊用ベッドDIYの手順
それでは、先ほど紹介したベッドを製作した手順を解説します。
手順1:設置するベッドのサイズを決める
まず、四角いベッドを作るためには、適切な四角形のサイズを知る必要があります。そのためには、最初にラゲッジスペース(荷物を収納するスペース)の奥行きと横幅をメジャーで測り、どのくらいのサイズのベッドを置けるのかを調べます。
手順2:ベッドの土台を設置する場所と土台の高さを決める
ベッドの土台を設置する場所を決め、次にどのくらいの高さの土台であればベッドが水平になるかを調べます。
上記画像のように、倒した後部座席の背もたれから土台までの場所に「イレクターパイプ」というパイプを置きます。その状態でイレクターパイプに水準器(水平を確認する器具)を取り付け、水平が出る高さまでイレクターパイプをゆっくり上げていきます。
そして水平となった状態でイレクターパイプの高さを維持し、土台を設置する場所からイレクターパイプまでの高さをメジャーで測定。
手順3:イレクターパイプをカットしてベッドの形を作る
導き出した四角形のサイズをもとに、ベッドのフレームを作ります。イレクターパイプにジョイント(つなぎ目)を接続すると数cm長くなるので、その点を考慮してカットします。
カットしたイレクターパイプをジョイントで接続してフレームが完成したら、この状態ですのこが載ることを確認します。フレームの横幅が広すぎてすのこが乗らない場合は、すのこが載る幅になるまでイレクターパイプを切って調整します。
すのこを並べることができたら、フレームの接続部分をすべてビニールテープで固定します。
手順4:ベッドの土台を作る
ベッドの土台は、ラゲッジスペース後ろ側の、右端から左端まで橋渡しする形のものを作ります。
土台の足は二股にしているので、すでにメジャーで測定しておいた高さに一発で合わせるのは困難です。そのため、最初は足を長めに切っておいて、ベッドが水平になっているかを確かめながら微調整することをおすすめします。
フレームと土台の両方が完成したら車に設置してみます。そしてフレームを乗せた状態で水平になること、車のラゲッジスペースに問題なく設置できることを確認したら、土台の接続部をすべてビニールテープで固定します。
手順5:追加の補強をおこなう
ここまででベッドの大体の骨組みは完成しています。しかしこの状態では強度に不安があり、とくにベッドの真ん中あたりはイレクターパイプが通っていないので、体重をかけるとすのこを踏み抜いてしまう可能性があります。
そこでイレクターパイプや補強用のパーツを追加して補強します。
手順6:フレームと土台を車に設置して実際に寝てみる
この段階でベッドはほぼ完成しています。いよいよフレームと土台を車に設置して、すのこを並べてその上に寝てみます。
そこでサイズがあっていないようならイレクターパイプをカットして調整します。問題ないようなら、いったんベッドを取り出して、ビニールテープで固定している部分をイレクターパイプ専用接着剤でしっかり接着しなおします。
これで完成です。見た目は頼りなさそうに見えるかもしれませんが、イレクターパイプはかなり強靭なので折れてしまうことはめったにありません。
■天井までの高さを稼げるのがこのベッドの良いところ
今回DIYの手順を解説したベッドは、後ろ側にのみ土台を設けているのが最大の特徴。この構造がもたらす大きなメリットは、ベッドから天井までの高さを最大限活かすことができるという点と、どの車にも応用できる点です。
普通のセダンやハッチバックの車ではなかなか水平なベッドを導入するのが難しいですが、この方法であれば簡単に快適な車中泊ができるスペースを作ることができます。
ご覧になってわかるとおり、かなりシンプルで荒削りなベッドですが、これを改良してより完成度の高いベッドを作り上げるのもいいでしょう。
(斎藤純平)
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