■最高速度70km/hに達するEVジュニアカー(子ども向け車両?)
ブガッティの500台限定版が生産に入っています。2019年のジュネーブ国際モーターショーで、ブガッティは110周年を記念して、初代ブガッティ・ベイビーを現代流に復刻させたモデル(ブガッティ・ベイビーⅡ)を発表しました。
デザインとテストが終了し、この子ども向け? ジュニアカーは生産に入り、まもなく納車が始まるそう。リトル・カー・カンパニーとのパートナーシップにより開発されたブガッティ・ベイビーⅡは、実際に乗ったことのある人たちから「ベイビー(カー)というよりも、手に負えないティーンエイジャー(カー)」と評されているそうです。大人も十分に乗れるサイズ。
昨年のジュネーブショーからわずか3週間で500台が完売になったそうですが、最近の世界的な情勢変化(新型コロナウイルス?)により、ごく少数の車両が用意され、先着順でオーダーを受け付けているそう。
「ブガッティ・ベイビーⅡ」は、オリジナルへの正真正銘のオマージュで、初代は1926年、ブガッティ・タイプ35をスケールダウンして製作されています。
創業者エットーレ・ブガッティは、当初、末っ子のローランドの4歳の誕生日用として、1台限りのプレゼントの予定にしていたようですが、顧客の反応がとても良かったため、初代ベイビーは生産され1927年から1936年の間に販売しています。
世界中のブガッティファンに大切にされ、今日では初代ベイビーなしではコレクションは完成しないそう。しかし、その数は約500台しか生産されていないため、世界の多くの熱烈なファンの手には渡っていないはず。
●最新のEVモデルでもあるブガッティ・ベイビーⅡ
初代ブガッティ・ベイビーは、1920年代にエットーレ・ブガッティを一躍有名にした50%スケールの車両。今回のブガッティ・ベイビーIIは、75%のスケールで、14歳以上を対象にデザインされています。
ブガッティ・ベイビーⅡは、3タイプ設定されています。コンポジットボディに1.4kWhのバッテリーを積んだベースモデルをはじめ、カーボンファイバー製ボディに2.8kWhのバッテリーが搭載され、兄貴分の「Chiron1(シロン1)」と同様にスピードキーを含むアングレーデッドパワートレインを搭載した「ヴィテッセ」モデル。
そして、コレクターをターゲットにした「ピュールサン」は、ヴィテッセと同じパワートレインを搭載しながら、手作業で成形された美しいアルミニウム製ボディを採用。オリジナルの「ブガッティ・タイプ35」と同じ伝統的なコーチング技術を使い、アルミボディに200時間以上のクラフトマンシップが投入されています。
ベイビーⅡはパフォーマンスも向上しています。後輪駆動でありながら、リミテッドスリップディファレンシャル、高性能油圧ブレーキ、選択可能なドライビングモードを全車に採用。ベースモデルには、20km/h、出力1kW(1.35ps)に制限される「ノービス」と、45km/h、出力4kW(5.43ps)に制限される「エキスパート」の2モードを用意。
ヴィテッセとプルサンのバージョンは、最大10kW(13.5PS)のパワーを発生し、総重量はわずか230kgとなった「ヴィテッセ」と「ピュールサン」は、発進時からリヤのミシュランタイヤをスピンさせ、最高速度70km/hに達すするそう。ドライバーの体重にもよりますが、0-60km/h加速はわずか6秒。
航続距離は、リチウムイオンバッテリーと回生ブレーキの組み合わせにより、電費に気を使えば、ベースモデルは1充電あたり25kmの航続距離を達成することが可能だそう。「ヴィテッセ」と「ピュア・サン」は、50km以上の走行距離を達成。さらに、交換可能なバッテリーパックが用意され、簡単に交換できます。
内装は、ガッティ・タイプ35の計器類が忠実に再現され、現代的にアレンジ。燃料圧力計はバッテリーゲージに変わり、ブガッティ・ヴェイロンにちなんでオイルゲージはパワーゲージになっています。
有名な4本スポークステアリングホイールのスケールレプリカは、コックピットへのアクセスを容易にするためにクイックリリース式を採用。調節可能なペダルは、アルミビレットから削り出され、ブガッティの有名な「EB」ロゴが足元を主張。
さらに、アルミ製のダッシュボードが採用され、オリジナルのタイプ35と同様に正確に再現され、カスタムされた「EB」スイッチでLEDヘッドライトを操作します。またフロントノーズには、ブガッティの有名な「マカロン」バッジが飾られています。
ベースモデルは30,000ユーロ(約371万円)〜、「ヴィテッセ」は43,500ユーロ(約538万円)〜、コレクション性の高い「ピュールサン」は58,500ユーロ(約723万円)〜。
庶民にはとても手が出せないスーパー・ジュニアカー? が存在する欧州、いや世界の自動車マニアの世界は奥深いものがあります。
(塚田勝弘)