「Zoom-Zoom」を追求したモデルが続々デビュー【マツダ100年史・第27回・第7章 その5】

【第27回・2020年7月27日公開】

マツダの本格的な再生の狼煙(のろし)は、2001(平成13)年10月の東京モーターショーで発表された新しいブランドメッセージ「Zoom-Zoom」です。これは、走る歓びを追求したマツダらしいクルマづくりを指します。
翌年2002(平成14)年には「Zoom-Zoom」を象徴する第1弾の「アテンザ」がデビュー。精悍でスポーティなスタイリング、優れたハンドリングと快適な乗り心地の両立などで大ヒットしました。
その後も、「Zoom-Zoom」スピリットのモデルが続々とデビューし本格的な再建に貢献しました。

第7章 バブル絶頂と崩壊、そして「Zoom-Zoom」

その5.「Zoom-Zoom」を追求したモデルが続々デビュー

●本格再建に向けた新ブランド「Zoom-Zoom」

1990年代後半に入り、緊迫した経営危機からは脱出しましたが、まだ本格的な回復とはいえず、さらなる経営改革と強力な商品戦略が求められました。
フォード出身者3人目の社長に就任した38歳のマーク・フィールズも、引き続き本格的な再建を目指して改革を推進しました。
インターネットを使ったマーケティング活動や、乗用車の共通テーマに「デザイン」「パッケージング」「ダイナミック」という3つのDNAを決め、マツダブランドの個性化を進めたのでした。

●「Zoom-Zoom」を体現できる第1弾「アテンザ」登場

2002(平成14)年、新ブランド「Zoom-Zoom」を象徴する新型車の第1弾として、「アテンザ」送り出しました。新しいミッドサイズクラスのグローバルカーとして、プラットフォームからエンジンまでを一新。マツダの商品ラインナップとしては、カペラの後継に相当します。
新開発のMRZエンジンは、アルミ製4気筒DOHC・1998ccの150PSと、2260ccの178PSの2つのエンジンを搭載。新プラットフォームには、フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクのサスペンションを組み合わせ、優れたハンドリングと快適な乗り心地の両立を実現しました。
発売1ヶ月で7,500台を受注して好調なスタートを切り、海外でも「Mazda6」として高い評価を受けました。ヒットモデルとして、マイナーチェンジをしながら2006(平成18)年には生産台数100万台を達成、これは当時のマツダの100万台達成の最短記録になりました。

マツダ アテンザ(2002(平成14)年5月)。
マツダ アテンザ(2002(平成14)年5月)。

●「Zoom-Zoom」スピリットモデル、続々と

「Zoom-Zoom」スプリットの走る歓びを追求したモデルはアテンザの後も続きます。
2002(平成14)年には、バブル崩壊時の救世主となったデミオの2代目が発売。フォードとプラットフォームを共用し、パワートレーンやサスペンション、ブレーキなどすべてを新設計しました。
発売1ヶ月で15,000台と好調な滑り出しを見せ、初代から10年余りで100万台を達成しました。
2003(平成15)年8月、4人続いたフォード出身の外国人社長から井巻久一社長にバトンが渡されました。13代目井巻久一社長は16年ぶりのマツダ生え抜きの社長です。
2003(平成15)年には、ファミリアの後継にあたるコンパクトスポーツ「アクセラ」が発売。フォード・フォーカスとプラットフォームを共通化したため、ファミリアより全幅が拡大されて3ナンバーボディになりました。
「Mazda3」として販売された海外で特に人気が高く、3年3ヶ月で100万台を突破、アテンザの最短記録を更新しました。
さらに、本格的ミニバンに変貌した2代目「プレマシー」、進化した3代目「ロードスター」、スポーツカーの発想を取り入れた3代目「MPV」、新ジャンルのクロスオーバーSUV「CX-7」と、勢いのある人気モデルが次々にデビューしました。

2代目デミオ(2002(平成14)年8月)。
2代目デミオ(2002(平成14)年8月)。
初代アクセラ(2003(平成15)年10月)。
初代アクセラ(2003(平成15)年10月)。
2代目プレマシー(2005(平成17)年2月)。
2代目プレマシー(2005(平成17)年2月)。
3代目ロードスター(2005年8月)。
3代目ロードスター(2005年8月)。
3代目MPV(2006(平成18)年2月)。
3代目MPV(2006(平成18)年2月)。
マツダ CX-7(2006年12月)。
マツダ CX-7(2006年12月)。

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第7章 バブル絶頂と崩壊、そして「Zoom-Zoom」

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この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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