ボッシュの横滑り防止装置「ESC」が量産開始から25周年。安全性を向上させた歴史を振り返る

■ボッシュ、デンソーが牽引してきた「横滑り防止装置」が果たしてきた役割とは?

ドイツのボッシュは、横滑り防止装置(ESC/Electronic Stability Control)の量産から25周年を迎えたとアナウンスしました。

横滑り防止装置は、自動車メーカーや供給するサプライヤーによって呼び名が異なり、ESCをはじめ、ESP(Electronic Stability Program)、DSC(Dynamic Stability Control)、VDC(Vehicle Dynamics Control)、VSA(Vehicle Stability Assist)、VSC(Vehicle Stability Control)など数多くあります。

ボッシュ 横滑り防止装置
Sクラスに搭載されたESCのテスト

25年前となる1995年、ボッシュと当時のダイムラー・ベンツは「ESC」をW124型Sクラスに初めて搭載。W124は、ボディの大型化などで世界的に不人気とされていますが、複層の二重ガラスなどにより高い静粛性が追求された意欲作でもありました。

一方、日本車では、1971年のトヨタ・クラウンにリヤブレーキを制御する2輪ESCが用意されています。ただし、こちらは現在のABSの役割を担う装備(電動ABS)で、4輪ABSは1983年に初めてクラウンに採用され、この4輪ABSをベースに開発されたのが車両安定制御システム(VDIM)。

クラウンなどトヨタのABS、VDIM、VSC(ESC)に携わってきたのはデンソーです。1995年にはクラウン・マジェスタの「i-Four」にVSCが採用されています。

トヨタ クラウン
写真は、1995年の10代目クラウン

ボッシュでは、W124型SクラスにESCが搭載されて以降、車両の操縦安定性向上に寄与し、同社によるとEU(欧州連合)だけでも過去25年間に15,000人以上の命を救い、50万件近くの人身事故を未然に防いできたとしています。

ESCは、ボルボが特許を無償公開した3点式シートベルトやエアバッグと共に、人命を救う最も重要な車両装備の1つと位置づけています。

■初代Aクラスの横転事故以降、増えていったESCの採用

ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのハラルド・クローガー氏は、

「ESCの開発は、交通事故死亡者をゼロにするという我々の“ビジョン・ゼロ”に向けた節目でした。ESCは、私たちが目指す“Invented for life”を体現した製品といえます。ESCの基本的な技術は、1995年以来のものですが時代遅れではありません。当社は、ESCを継続的に進化・改良させ、現在までに2億5,000万台以上を生産しています。現在の車両はESCなしには考えられず、全世界の新車のうち2017年では64%、現在では82%がESCを装備しています」

とコメントしています。

ボッシュ ESC
濡れた路面や凍結路での安定性に大きく寄与する横滑り防止装置

ボッシュでは、車両の安定性を高めるための取り組みを1980年代に開始。ボッシュとダイムラー・ベンツは、別々に車両安定デバイスの開発を進めていたそう。1992年から量産開始までは、両社の専門家が集い、プロジェクトとして共同で取り組んできたそうです。

そして、スウェーデンの自動車雑誌による1997年のAクラスを使った「エルクテスト」が、ESCの進化・普及にひと役買ったことになります。同テストをきっかけに、メルセデス・ベンツが各モデルにESCを標準化し、その後、多くの自動車メーカーが採用。

なお、エルクテストは、現在でも自動車メーカーの開発で難しい課題のひとつとして知られています。

ESCは、世界各国・地域で義務化が進んでいます。EUでは、2011年11月以降に認可された乗用車と商用車が義務化の対象になり、2014年11月以降は新規登録されたすべての乗用車と商用車が対象になっています。

ほかにも、アルゼンチン、 オーストラリア、 ブラジル、 カナダ、 中国、 エクアドル、 イスラエル、 日本、 マレーシア、 ニュージーランド、ロシア、韓国、トルコ、および米国でも、ESCの装備義務化が法制化されるか、自主的な努力義務とされています。

なお、日本では国土交通省による「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」において「横滑り防止装置およびブレーキアシストシステムの義務化」で同装備の義務化が明確化。

新型生産車のうち登録車についは、2012年10月1日以降、軽自動車は2014年10月1日以降、新たに型式指定を受けるモデルから義務化されています。継続生産車は、登録車が2014年10月1日以降、軽自動車は2018年2月24日以降、義務化されています。

(塚田勝弘)

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