トラストGReddy S130Zツインターボに300km/hカーのお手本を見た!【OPTION 1986年10号より】

■不安なく298km/h出る! 最高速仕様130Zのお手本がコレ

OPTION誌の【Test on Road】は、その時話題のチューンドカーや自動車メーカーの試乗インプレッションと、毎月数台テストする注目車のポイントチェックページです。

今回はその中から、1986年10月号に掲載された『トラストGReddy S130Zツインターボ』の谷田部テストを紹介します。テストドライバーはもちろん、Daiちゃん(稲田大二郎)です。

S130Zといえば最高速ランナーの常連中の主役。今現在もマニアが多く、JDMとしてアメリカでも人気に衰えナシ! ではさっそくいってみましょう!

トラストGReddy130Z
トラストGReddy130Z、派手さはないけど見るからに最高速仕様だというオーラがあります。

【Test on Road】GReddy S130Zツインターボ by トラスト

■300km/hカーならLターボ!という見本

重厚なエンジン音とエキゾーストノート。アクセルに反応するトルクフルかつ不気味なパワー。この感触は日産直6のL型以外の何物でもない。

コースインしてストレートを走る。重いステアリングと路面にドッシリ落ち着いたフィーリング。さすが130Zのフェアレディだ。

トラストGReddy130Zバンクの走り
バンクを疾走するトラストGReddy130Zツインターボ。

やはり130Zは最高速チューンとしていまだ健在だ。そして最新のツインターボチューンなら300km/hを狙えるというポテンシャルを備えている。

トラストによるツインターボチューンはさすがにパワフルだ。推定500ps近いらしいが、4000rpmあたりからのターボ加速は強烈。かなりギヤ比が高いので、アッという間に思いもしないスピードに達してしまう。

GReddy130Zのフロント&リヤ
トラストGReddy130Zのフロント&リヤ。

4速7000pmから5速へ。バンクへの侵入では5速5500rpm。130Zはドッシリと安定している。さすがに重いステアリングをインへ。インへ切り込まないとガードレールのほうへ持っていかれそうになる。

バンク出口でちょうど6500rpm。ブースト1.2kg/cm2、強い向かい風ということもあり、アクセルいっぱいでもうのびない。そのまま直線の400m計測ラインを駆け抜ける。

GReddy130Zのサイドビュー
今見ても、いつ見てもフェアレディS130Zはカッコイイ!

297.52km/h。初めての谷田部でポンとマークしてしまうからビックリする。ブースト1.4kg/cm2、OK! というので再トライしようと思ったが、毎度のことで時間が無くなった。

この130Z、足まわりがシッカリ仕上げてあるのか、エアロも大袈裟じゃないが不安な動きはない。L型のターボチューンが300km/h出すパワーを常に秘めている点とボディのポテンシャルを改めて知らされた感じだ。それなりにオーナーは金銭にいとめをつけていないともいう。やはり『最高速には130Z!』という見本だった。

GReddy130Zのコクピット
各種メーター類が並ぶインパネ。中央には追加インジェクターのコントローラーRebicがセットされる。

●[メカニズムチェック!]TD06シングルターボ仕様のお手本

L型インジェクションの最高速車だけに、そのメカニズムは大いに気になる。このGReddy S130Zツインターボは、排気量を3096ccまでアップ。ピストンはFJターボ用でサイズは89φ。それにL20コンロッド、LD28用クランクを使い89.0×83.0mmのボア×ストロークだ。

GReddy S130Zツインターボのエンジンルーム
美しい仕上がりを見せるインジェクション仕様のエンジンルーム。レブリミットは7500rpm!

ヘッド関係は1mm厚のトラスト・メタルガスケットを使用。圧縮比を8.0までダウンさせている。カムは304度のスペシャル。

これにGReddyツインターボキットがボルトオンされる。通常タービンはTD05がラインアップされているが、1ランク上のTD06(17C・8cm2)を使用。トラストRタイプ・ウエイストゲートやステンレス製タコ足が、エンジンルーム内を迫力づけている。冷却系は2枚重ねSPLインタークーラーや、30段式オイルクーラーを装備する。

パワーチェック
ボッシュシャシーダイナモによるパワーチェック。コントロールポイントをグラフの1番下に置いてチェックしたが、それでも振り切ってしまった。その後エンジンダイナモでは462ps/7100rpmをマーク!

ターボチューンの場合、なんたって決め手になるのは燃料系だ。システムはEGIだが、メインインジェクターは320cc/分に交換。追加インジェクターは720cc/分×2本、320cc/分×1本の計3本。そしてRebic(レビック)でコントロールしている。

パワーは最大ブースト1.41kg/cm2時でなんと462ps/7100rpm、52.8kg/6300rpmのブッといトルクを発揮する。

OPTION誌1986年10月号の表紙
OPTION誌1986年10月号の表紙

[OPTION 1986年10月号より]

(Play Back The OPTION by 永光 やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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