クルマは感染リスクが下がる!? 全国アンケートで考察する「コロナ収束後のクルマの未来」

■クルマを「安全な移動手段」と思うようになった人が80%

新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言は関東圏を除く地域では徐々に解除の方向に向かっています(5月20日現在)。一方で感染第2波などの危険性があることから、まだまだ安心できない状況であることも確かです。

そんな状況の中、トヨタ自動車100%出資の広告会社デルフィスは、全国の18歳から69歳の男女を対象にした「コロナ禍における『移動』『クルマ』に関する意識調査」の結果を5月19日に発表しました。

コロナ禍を機に、クルマが安全な移動手段であるといった意識や、購入したくなったという人が多いことが分かりました。

新型コロナウイルス
コロナ収束後に、クルマが安全な移動手段として再認識される未来は来る!?

●クルマを買いたい人が中止・延期より多い

この調査は、政府が緊急事態宣言延長を発表した5月4日をはさむ、GW期間前半(4/28,29)とGW終了後(5/11,12)の2回に渡って実施されたものです。第1回目は1000人、第2回目には600人にアンケートを行っています。

それによると、まず「コロナ禍の影響によるクルマの購入意識の変化」については、

・「クルマを購入したくなった人」が18%
・「購入を中止または延期した人」は11%

という結果に。

新型コロナウイルス
クルマの購入意向は中止・延期より高い結果に(出展:デルフィス)

家計などの見通しが立ちづらい状況ですので、購入予定があっても「クルマを買う」という高額消費をためらう人がいるというのは当然です。ところが、意外にもクルマを買いたくなった人が、中止または延期した人と比べて+7pt多いということが分かりました。

●生活に必要な移動が安全にできる

次に「コロナ禍の影響によるクルマに対する認識」について。調査によると、

・「クルマは生活に必要な移動を安全に行うことが出来る」が80%
・「クルマは感染リスクを下げることができる」が77%

という結果になりました。

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クルマは安全な移動手段といった認識も高い(出展:デルフィス)

これにより、感染リスク防止の観点から、クルマが安全な移動手段として認識されていることが分かります。たしかに、バスや電車といった多くの人たちを一度に運ぶ公共交通機関に比べれば、一般のクルマは1人でも移動できるため、比較的安全であると言えますよね。

調査を行ったデルフィスでは、「クルマの購入ニーズの高まりの背景には、このようなクルマに対する安全価値の高まりがある」と推測しています。

●運転の頻度は一都三県で増加

「コロナ禍の影響によるクルマを運転する頻度の変化」については、「増えた」もしくは「やや増えた人」が全国では16%なのに対し「特定警戒8都道府県」については22%で、より増加傾向が高い結果になりました。

特に、感染者が多い1都3県(埼玉・千葉・東京・神奈川)が26%、東京都単体でも26%と全体と比べて増加が顕著となっています。

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クルマ=安全という認識が多いためか、感染者が多い一都三県では特に運転の頻度が増えている(出展:デルフィス)

●コロナ収束後にドライブをしたい人も約半数

調査では、ほかにも「コロナ禍収束後にやりたいこと」についてもアンケートを取っています。結果は、

・「気軽に外食を楽しみたい」が64%
・「国内旅行・温泉に行きたい」62%
・「有人と直接会って話をしたい」47%
・「ドライブ・レジャーを楽しみたい」42%

などが多い傾向に。出かけることに対するニーズが多いことが分かります。

また、「クルマに対する意識や行動に変化があったか」というアンケートでは、

「気分転換にクルマでドライブしたい」人が61%

いることも分かり、これにより、クルマは安全面だけでなく、リフレッシュの面でもニーズが高いことが浮き彫りになりました。

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ドライブは気分転換できるという意識を持つ人も多い(出展:デルフィス)

●クルマは屋外でのプライベート空間

調査を行ったデルフィスによると、これら結果によりクルマには「移動手段×プライベート空間という、二面を兼ね備えた価値があることを再発見した」といいます。

より具体的には、クルマには「今後も3密を避けた移動が推奨される中で、元来持っている、一人や大切な家族と過ごせる『プライベート空間』という価値がより一層求められるようになってくる」と考察。

また、今後コロナが収束に向かった段階でも、「新しい日常」に向けた人々の活動にとって、クルマは「プライベート性を保った移動手段として力強い味方になり得る」としています。

そして、その例として「電車やバスなどの公共交通機関に、クルマ移動を組み合わせることで、Social Distancing(ソーシャル・ディスタンス)に配慮した新たな社会のあり方に貢献できる」といったことを挙げています。

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コロナ禍の影響で、クルマへの人々の認識が変わり、新たなニーズが生まれる?(画像:写真AC)

いずれにしろこの調査結果が、今回のコロナ禍によってクルマに「新しいニーズが生まれる可能性がある」ことを示唆しているのは確かのようです。

近年、販売台数が減少傾向である一方、カーシェアなど新たなビジネスが生まれ「所有から共有」に変わりつつあるクルマの価値。コロナ収束後の社会がどうなるのかはまだ未知数ですが、人々が「安全」に移動するニーズが高まることは間違いないでしょう。

そういった未来に、クルマが本来持っている「プライベート性」などの特性や自動運転などの新技術を活かすことで、社会生活や経済の復興、人々の安全に貢献できる移動手段として、「新たな価値」を創造する未来を期待します。

(文:平塚直樹 写真:トヨタ自動車)

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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