■カートリッジを交換すればタイヤの性能も変更可能
グッドイヤーには最先端の研究を担当する部門があり、信じられないようなコンセプトタイヤを作り出しています。
今までも、球形でAIを搭載したタイヤや発電するタイヤ、路面をモニタリングして変形するタイヤなど、さまざまなモデルが登場してきました。
そうしたなか2020年3月に発表されたのが自己再生を可能にしたタイヤ「reCharge(リチャージ)」です。
当たり前のことですが、タイヤは使えば減ります。そしてタイヤが減ったらタイヤショップやカー用品店でタイヤを交換するというのが一連のタイヤのライフサイクルです。
日本のように雪の降る地域では、冬にはスタッドレスタイヤなどに交換することが一般的です。
しかし「reCharge(リチャージ)」はそうした手間が不要です。
「reCharge(リチャージ)」では、タイヤが減ってきたらホイールの中心からカプセルを投入することでタイヤが再生されます。
投入するカプセルのなかには液体のコンパウンドが含有され、そのコンパウンドがタイヤに行き渡ってトレッドを再生するというわけです。
カプセルに入っている液体コンパウンドは、蜘蛛の糸から発想を得た強固なもので耐久性が非常に高く、また生分解が可能なもので環境への配慮もなされています。
コンパウンドの成分はドライバーの運転スタイルなどをAIが判断し、ドライバーごとにカスタマイズされた調合が行われます。当然、路面状況によるタイヤの変更も可能で、カートリッジさえ持っていれば、突然の降雪にも対応します。
軽量なエアレス・フレームがトレッドを支えるトール・アンド・ナロー形状となる構造をタイヤの本体に採用することで、メンテナンスフリーを実現するとともにパンクの不安からも解消されます。
今すぐに実現可能な技術ではありませんが、こうした最先端の開発を怠らずに行うことで、革新的な製品が生まれることがある、だからグッドイヤーはこうした開発を続けるのだといいます。
(文/諸星陽一)