日産・ジュークの後継? 日本発売が秒読みとウワサの「キックス」の顔が変わった

●マイナーチェンジで新顔に。日本以外ではじめてe-POWERも搭載

5月15日、ワールドプレミアとしてタイで発表された「新型キックス」。いやいや、キックスって2016年から発売されているクルマだし、どうして今さらワールドプレミアなのさ?と思ったら、大幅にマイナーチェンジされた新型でした。

ちなみにキックスは全長4.3m級のコンパクトクロスオーバーSUVですね。

スタイリングはパッと見てわかるくらい大変身。Vモーショングリルがひとまわりどころかふたまわりも大きくなり(なんだかセレナみたい!)、ヘッドライトは細目になり、もちろんバンパー形状も変わってます。

顔つきが変わった新型キックス

そしてもうひとつの注目はパワートレイン。これまで販売されていたキックスは、1.6Lもしくは1.5Lのガソリンエンジンを積んでいました。

しかしタイで発表された新型キックスは、なんと「e-POWER(イーパワー)」を搭載。ご存知の通りe-POWERは位置づけ的にはハイブリッド(e-POWERとは日産独自の呼び名)であり、エンジンを発電のためだけに使い、駆動力はモーターで発生するメカニズムです。

ガソリンを入れれば走るので電気自動車と違って充電の心配がいらず、いっぽうでモーターによる電気自動車と同様のスムーズな加速を実現するバランスに優れたパワートレインといっていいでしょう。

パワートレインはe-POWER

キックスe-POWERは、日本で販売している「ノートe-POWER」や「セレナe-POWER」と同じく、1.2Lエンジンに「EM57型」モーターの組み合わせ。

最高出力は129psで、ノートe-POWERの109psよりアップされていますね(セレナの136psより控えめですが)。ちなみに最大トルクは260Nmですから、加速はかなり力強いことでしょう。

エンジンは発電専用で排気量1.2L

興味深いのは、e-POWERの海外展開。実は日本向け以外でe-POWERが搭載されるのはこのキックスe-POWERがはじめてなのです。今回のキックスの発表は、e-POWERの世界戦略に向けた最初の一歩と言っていいでしょう。

現状のe-POWERのシステムは構造上高速走行における燃費が伸びない(とはいえ絶対的に悪いというほどではない)ので、欧州やアメリカには不向きと言われています(そう遠くないうちに欧州へ投入すると予告されているe-POWERはそれを解消した新タイプ)。だから当初、日産は「e-POWERは国内専用」と表明していました。

しかしタイでは、日本と同じく日常的な高速巡行が少なく、そこを重視しなくてもいいと判断したのでしょうね。だから従来通りのe-POWER投入となったのでしょう。

タイ仕様は右ハンドルです。ウインカーレバーも右

また、タイでのキックスe-POWERの発売にあたり、日産はe-POWERをタイで製造する準備を整えました。今後、e-POWERはタイから近隣の東南アジア諸国へも輸出されるに違いありません。

ところでこの新型キックス。そう遠くないうちに日本へも導入されると言われています。しかも、日本仕様はタイで生産して日本へ輸出される輸入車になるという情報が有力です。

つまり日本仕様は、今回タイで発表された新型キックスにかなり近いタイプと考えるのが自然でしょうね。

タイで発売された新型キックス

ちなみにキックスは、南米、北米、中国、そしてアジアと幅広く販売される世界戦略車。

なのにその新型のワールドプレミアとして選ばれた場所がタイというのはどうしてなのでしょうか。やっぱり日本以外で初のe-POWER(しかも現地生産!)というのがホットトピックだから?

(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
続きを見る
閉じる