■牽引車両と非牽引車両から撮影されたデータを統合し、1つの映像に加工
フランスに本拠を構えるメガサプライヤーのヴァレオは、アウディA8にLiDAR(ライダー)の「SCALA2」を納入するなど、最先端の技術で知られています。
その事業領域は広く、空調システムやコンプレッサー、フロントエンドモジュール、ラジエータ、内装部品、センサー、運転および駐車支援システム、ライトなど多岐にわたっています。
2020年4月28日にヴァレオは、車両により牽引されているトレーラー/トレーラーハウスを視覚的に透明にすることで後方確認が可能な世界初のシステム、「ヴァレオXtraVueトレーラー」が2020年PACEアワードを受賞したとアナウンスしました。
「PACEアワード」は、アメリカの自動車専門媒体である『Automotive News』が主催するもので、自動車業界の革新的な技術に贈られる賞。
以前お伝えしたように、ヴァレオ(ジャパン)は「CEATEC JAPAN 2018」において「ヴァレオ XtraVue」を公開しています。自車のディスプレイに先行車両のさらに前方が透けて見えるという技術です。牽引車両と被牽される車両(非牽引車両)を視覚的に透明にすることでドライバーが車両周辺を視認できるようになります。
●キャンピングトレーラーなど、牽引時の後方視界を見える化する技術
「ヴァレオXtraVueトレーラー」は、2019年の「CES」で初披露された技術。どういった仕掛けかというと、牽引車両と非牽引車両から撮影されたデータを統合し1つの映像にします。そのイメージをディスプレイに映し出すことで、後方確認ができる技術です。
これにより後退時や車線変更時などもより安全にできるようになり、実用化(市販化)されれば働くクルマも含めて多くのニーズがありそう。
なお、透けて見える技術は自動車メーカーでは、ランドローバーが2014年に「トランスペアレント・ボンネット・テクノロジー」を発表。2代目のレンジローバー・イヴォークでフロント下180度の視角を確保する「ClearSightグラウンドビュー」を世界で初採用しています。
ヴァレオに話を戻すと、同社は今まで多くのPACEアワードを受賞してきました。2005年の車線逸脱警告システムである「LaneVue」をはじめ、2006年にマイクロハイブリッドシステム(12Vベルト駆動式スタータージェネレータの「iStARS」)の「StARS」、2007年には死角検知センサーの「マルチ・ビーム・レーダー(MBR)」、2008年に駐車支援システム「Park4U」、2012年には、ブレードで払拭する前に内部に設けられた通水路を通ってウォッシャー液をブレードの穴から直接噴射ワイパーシステムである「AquaBlade」で受賞。
さらに、2013年には水冷インタークーラー内蔵の「エアインテークモジュール」、2014年に駐車支援用の超音波センサーとリヤカメラからなる「バックオーバープロテクションシステム」、2015年にダイオードの代わりに金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを使う「高効率オルタネーター」で同賞を受賞。
2016年には省燃費性能とドライバビリティを兼ね備えた「電動スーパーチャージャー」と「水冷コンデンサー」、2018年にはアウディA8にも搭載された第1世代の「SCALAレーザースキャナー」が同賞を受賞しています。
(塚田勝弘)