目次
■構造変更(大幅なサイズ変更、エンジン換装など)した場合は構造変更届けが必要
●保安基準に適合しない改造やドレスアップは不正改造
道路運送車両法の保安基準に適合しない不正改造車は、当然公道を走行できません。安全性能や環境性能などが不適合なので、公道を走行すると取り締まりの対象になります。
さまざまな不正改造の事例を上げて、解説していきます。
●保安基準
保安基準は、道路運送車両法で定められた技術基準で、安全確保と公害防止などの観点から、自動車の設計製造のための各種の要件を規定しています。
燃料の規格からクルマの大きさや重量などの基本構成、パワートレインや足回り、内装・外装部品、灯火・警告音の構成、走行性能や排出ガス、騒音特性など、クルマに関わるすべての技術基準を規定しています。
また車検の検査基準であり、リコールの判断基準のひとつでもあります。
●整備不良
自主的な改造とは異なり、車両の整備ができていないために保安基準不適合となるのが、整備不良です。整備不良には、ブレーキやステアリングの「制動装備等の違反」と、ブレーキランプやウィンカーの「尾灯等の違反」があります。
検挙された場合の罰則は、制動装置などの整備不良については違反2点で罰金9,000円、尾灯などは違反1点で7,000円の罰金です。
●不正改造
クルマのチューニングや改造のために、保安基準に不適合な部品の交換などを行うのが不正改造です。当然車検も通らないので、公道を走行すると警察に検挙されます。
検挙された場合は、15日以内に修正するように改善命令を言い渡され、整備命令標章のシールがフロントガラスに貼られます。
不正改造の指摘事項を修正したら、運輸支局でクルマを提示してチェックを受けます。問題なければ、シールを剥がしてもらい改善終了です。
減点などのペナルティはありませんが、15日を過ぎても修正しなければ、ナンバープレートや車検証が没収されて使用停止命令や50万円以下の罰金が課せられます。
●改造によるサイズと重量変更の許容範囲
・軽自動車と小型自動車の場合 長さ:±30mm、幅:±20mm、長さ:±40mm、車両重量:±50kg
・普通乗用車の場合 長さ:±30mm、幅:±20mm、長さ:±40mm、車両重量:±100kg
●不正改造例
・エアロパーツ
最低地上高90mm以上が確保できてない、フロントまたはリアが車体の最先端より飛び出している場合、またリアウィングの両端が車体の外側から165mmより外側に取り付けられている、バンパー最下部より低い位置に半径5mm未満の鋭利な角が存在する場合は、不正改造です。
・マフラー
マフラー除去は違法、加工等の改造は車外騒音規制不適合の可能性があります。また触媒の除去も違法、触媒変更時は改めて排ガス規制に適合する必要があります。
・ヘッドランプ
ヘッドランプなど灯火には光色の規定があり、勝手に色を変更できません。また、対向車や歩行者の眩しさを抑制するため、光軸などを適正に調整する必要があります。
・フォグランプ
装着義務はありませんが、光色や数に加えて装着位置に厳しい規定があります。
・タイヤとホイール
ドレスアップの王道ですが、安全に直結するので慎重な検討が必要です。特にフェンダーや足回りとの接触やはみ出し量には、注意が必要です。
・ウィンドウフィルム
フロントガラスおよび運転席、助手席のサイドガラスに、可視光の透過率が悪い(70%以下)フィルムを貼付するのは違法です。着色フィルムは、夜間の視界確保が悪く大変危険です。
・大幅なサイズ変更や乗員定数の変更、エンジン換装、排気量アップなどの構造変更
構造変更届けを提出して、保安基準に適合する必要があります。
その他、ミラーや警告音、サスペンションなどの改造についても、厳しく規制されています。
保安基準は、ユーザーが安心してクルマを乗り続けるための最低限必要な技術基準です。
クルマの改造は、クルマ好きの人にとっては大きな楽しみのひとつですが、保安基準に適合しないと不正改造車となり、車検も通らず公道も走れません。
本章では、保安基準と不正改造について詳細に解説します。
(Mr.ソラン)
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