構造変更とは?通常の車検に通らない改造には構造変更届けが必要【自動車用語辞典:保安基準編】

■構造変更したクルマで公道を走行するには、構造変更検査で保安基準に適合するのが条件

●構造変更届けが必要なのは、大幅なサイズ変更、乗員定数の変更、エンジン換装や排気量アップなど

クルマ好きの人にとって、ドレスアップや性能向上のために自分好みのクルマに改造することは、大きな楽しみのひとつです。改造の基本は保安基準を守ることですが、通常の保安基準に適合しない比較的大規模な改造の場合は、構造変更の申請が必要です。

構造変更の必要性や手続きの方法について、解説していきます。

●構造変更とは

ドレスアップや改造の際に、保安基準に適合した部品や用品などを正しく装着して保安基準に適合すれば、公道を走行できます。

通常の車検には通らないようなクルマの改造については、構造変更、正式には「構造変更検査」が必要です。比較的大規模な改造は、クルマの各部に大きな影響を及ぼし、故障や事故を招く可能性が高いので、構造変更検査によって保安基準に適合できるかどうかを再確認します。

構造変更検査が必要な主な改造項目は、以下の通りです。

・大幅なサイズの変更で下記の許容範囲を超えている場合

軽自動車と小型自動車の場合 長さ:±30mm、幅:±20mm、長さ:±40mm、車両重量:±50kg

普通乗用車の場合      長さ:±30mm、幅:±20mm、長さ:±40mm、車両重量:±100kg

・乗員定員の変更
  例:荷物が多く載せられるように8人乗りのリアシートを撤去

・リフトアップして車高が上がった場合

・はみ出したタイヤを隠すために、オーバーフェンダーを装着

・車検証に記載のクルマの形状変更
  例:キャンピングカーへ変更、オープンカーに変更など車検証のクルマの形状を変更

・エンジンの換装やボアアップによる排気量の増大

●改造できる部品

改造できる部品は指定されており、これらの部品以外の改造は違法です。以下は、指定部品の一部です。

・車体関係
エアスポイラー、エアダム、デフレクター、サンルーフ、ヘッドランプ、ヘッドランプカバーなど

・車内
オーディオ、カーナビ、無線機、空気清浄機など

・操作、走行関連
変速レバー、シフトノブ、パワステ、タイヤ/ホイール、サスペンション、コイルスプリングなど

・排気系
マフラーカッター、排気管

●構造変更の手続き

運輸支局(軽自動車は、軽自動車検査協会)に、車検証や改造した部品の車検対応証明書などの書類とともに構造変更届を提出します。

書類審査に合格すると、約1週間~10日後にクルマを車検場に持ち込み、車検と同様な検査を実施します。厳しい検査によって保安基準に適合していることが認められれば、「公認車検車」として車検証の形式欄に「改」の文字が付記されて、構造変更は完了です。

検査を伴わない比較的軽微な改造であれば、構造変更でなく「記載変更」で済む場合があります。サイズや重量の変化が許容範囲内で、該当部品を恒久的に取りつけていないことなどが条件です。

さらに、キャンピングカーや福祉車両などのように「改造変更車両」として新規に登録し直す方法もあります。この改造には非常に厳しい審査があり、コスト的にも大きな負担がかかります。

通常は、個人レベルの対応でなく、改造専門業者がビジネスとして実施する改造です。


自分で好きなようにカスタマイズしたクルマで公道を走行するためには、構造変更検査を受けて保安基準に適合しなければいけません。

通常、ディーラーや整備工場では、カスタマイズした構造変更の手続きは引き受けてくれないので、自分で行うか専門業者に依頼するしかありません。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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