トヨタモビリティ東京が新型コロナウィルス感染者移送車両2台を江戸川区に提供

■シエンタベースのJPN TAXI(ジャパンタクシー)の特徴とは?

日本のタクシーは、これまで主役を張っていたクラウンコンフォートなどから、シエンタベースのJPN TAXI(ジャパンタクシー)に様変わりした感があります。

トヨタ ジャパンタクシー
トヨタのJPN TAXIをベースとした新型コロナウィルス感染者移送用車両

もう乗られた方も多いと思われるJPN TAXI。リヤのスライドドア(助手席側はパワースライドドア)により、車いすでも乗り降りしやすく、乗降用スロープの組立作業を簡略化などの対策も施されています。なお、開口高は1300mmもあり、開口幅は720mmと広く、フロア高を320mmに抑えることで、良好な乗降性が特徴。

トヨタ ジャパンタクシー
スロープの改良などにより車いすでの乗降性も改善している

後席に収まるとクラウンよりも室内高の余裕があり、足元もフラットで広さを実感できます。機内持ち込み対応くらいのスーツケースであればラゲッジを使わずに、荷物の積載も可能。

ラゲッジスペースの開口高も低く抑えられているため、大きな荷物や重い物でも楽に出し入れできそう。しかも、シエンタベースですから狭い場所での取り回しにも優れる利点もあります。

●新型コロナウィルス感染者移送用車両は飛沫循環抑制車両

以前お伝えしたように、トヨタはJPN TAXIをベースにした新型コロナウィルス感染者移送車両を千葉県に提供しています。

同車両は、トヨタ自動車東日本の東富士総合センターにて開発・架装が行われたもの。運転席と助手席のある車両前方スペースと後部座席以降の車両後方スペースの間に隔壁が設けられ、前方を陽圧(圧力が高い状態のこと)、後方を陰圧(圧力が低い状態のこと)とすることにより、後方の空気が前方に循環しないようにコントロールされた「飛沫循環抑制車両」になっています。

トヨタ ジャパンタクシー
後部座席以降の車両後方スペースの間に隔壁が設けられ、前方を陽圧、後方を陰圧とすることにより、後方の空気が前方に循環しないようにコントロールされている

ベース車のJPN TAXIは、全長4400×全幅1695×全高1750mm(シエンタは全長4260×全幅1695×全高1675mm)という比較的コンパクトなサイズでありながら、高い乗降性と居住性・積載性を備えていて、送迎や移送に向くのはタクシーとして十分に機能していることからも明らかでしょう。

さらに、2020年4月27日、トヨタモビリティ東京は、江戸川区に新型コロナウィルス感染者移送用の車両2台を提供したそうです。

トヨタモビリティ東京は、江戸川区と2019年7月に区の一層の活性化と区民サービスの向上を図ることを目的とした「地域活性化包括連携協定」を締結していて、今回、江戸川区からの協力要請に応じたものとしています。なお、同車両の提供は、都内行政として初になるそう。

車両の納車は同社の江戸川中央店で行われ、区の担当職員に向けた車両使用方法の説明のあと、江戸川区の斉藤区長は「今回、新型コロナウィルス感染症の軽症者移送用車両をご提供いただき、心より感謝申し上げます。江戸川区では、ドライブスルーのPCR検査センターから療養施設まで、医療崩壊を防ぎ区民の安全を確保する一貫した支援体制を整備しました。今回ご提供いただいた車両を有効活用して、区民の更なる安心の拡大につなげていきたいと思います。大切に使わせていただきます」とコメントしています。

また、トヨタモビリティ東京は「安全・安心を最優先に現場で戦っている方々、苦しんでいる方々の気持ちに寄り添いながら、私たちにできることを即断、即決、即実行していきます」と表明しています。

トヨタだけでなくホンダもオデッセイ、ステップワゴンをベースにした車両を発表していて、マツダなど新型コロナウィルス感染者(軽症者)移送用車両の開発を検討している自動車メーカーなどもあり、こうした動きはさらに加速していくと思われます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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