「旧車っていいよね」と思うなら迷わず行けよ!行けば分るさ!?【49年前のCB125は直るのか?素人再生記 】

■旧車との出合いは運とタイミング!

●できれば素性のわかったモノを選ぼう

旧車人気は4輪2輪問わず盛り上がっています。なぜかと言えば現行車にはないスタイル、乗り手を選ぶ操縦性、ダイレクトな走行感覚などが挙げられるからでしょう。

でもそれだけでしょうか? いや違います。

きっと旧車には昔憧れた思い出や若い頃に乗っていた追憶があるからでしょう。だったら古いバイクを選ぶポイントは人それぞれであって、流行や人気に関係ないはずです。

今回取り上げるホンダCB125は型式がK5の1971年式。もう49年も前のバイクです。

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1971年式ホンダCB125のリヤスタイル。

でもなぜそんな古いバイクを手に入れたかと言えば、若い頃にもう少し新しい単気筒エンジンのCB125JXに乗っていたことがきっかけです。

その当時、単気筒ではないツインエンジンのCB125があると知り、猛烈と欲しくなったモノです。でも時間だけが過ぎ去り、欲しいという思いはいつしか忘れてしまっていました。

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ホンダCB125JX。

古いバイクを手に入れる方法は、今なら専門店がいくつもあるから比較的カンタンです。でも、ここまで古いと過去の履歴による個体差が非常に大きくなります。

だから、できれば前オーナーなど情報がわかるものを選ぶのが理想と言えます。その点このコイツは何と2オーナー車。初代オーナーが高齢で乗らなくなり、それを前オーナーが近年譲り受けたもの。素材としては最適でしょう。

●まずは現状確認

前置きが長くなりましたが、現状をみる前にもうひとつ。実はコイツ、昨年とあるバイク雑誌で再生+カスタムする工程を連載していたものなのです。だから見覚えのある方がいるかもしれません。

その雑誌が休刊になり再生する気持ちも萎え、作業途中のままほぼ半年以上放置していました。ここから再スタートなのです。ということで現状は少々古いものですが、あしからず。

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1971年式ホンダCB125のフロントスタイル。

●外観

パッと見た印象は大事です。この手の古いバイクはパッと見て違和感を覚えるところがあれば敬遠するのが無難。違和感には何かしら原因があるからです。

その点コイツは及第点。見た目、ちょっと古くてヤレただけの印象です。ただ、サイドカバーがもっと新しい年式のものに変更されているようです。

ということで、確認のためにも新車当時のカタログは持っていたいところです。見比べると確かに違う形状なので、ここはいずれ純正通りに戻したく思います。

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1971年式ホンダCB125のサイドスタイル。

幸いなことに灯火類は純正のままで無傷です。その当時は小さなウインカーやテールランプに変更するのが流行ったものですが、コイツは純正のままです。しかもレンズが割れていることもないのでラッキーでしょう。

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1971年式ホンダCB125のテールランプ。

ただ、シートが盛大に破れたようで、ビニールを無理やり貼り付けてあります。ここも今後の課題ですね。

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1971年式ホンダCB125のシート。

●燃料タンク

古いバイクで絶対に確認すべきが燃料タンク内部の状態です。内部がサビているくらいならマシで、中にはサビが腐食に発展して穴が空いているものもあります。

そうなると新品タンクを探すか板金して直すことになってしまいます。

サビ程度ならコーティング効果がある市販のタンククリーナーを使えばいいでしょう。コイツのタンクは見た目、年式相応。タッチアップペイントの跡や擦り傷が目立つ状態です。

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1971年式ホンダCB125の燃料タンク。

ところが内部はキレイなものでした。給油口から見える範囲にサビはなく、非常に状態が良いのです。おそらく以前に乗らなくなった時、ガソリンを抜いて保管されたのでしょう。

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1971年式ホンダCB125の燃料タンク内部。

●エンジン

憧れだった2気筒エンジンは、前オーナーの話だと普通にかかるということでした。ただバッテリーがないので確認はしていません。

メーターの走行距離は1.5万キロだから、あまり心配することもないでしょう。

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1971年式ホンダCB125のメーター。

それより気になるのはエキパイに巻かれたバンドです。熱を遠ざけたくて巻いたならいいのですが、パイプが割れたので補修するつもりで巻いたとなると問題です。

純正マフラーで状態の良いものが手に入るとは思えないので、ここはひとまずそのままにしましょう。

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1971年式ホンダCB125のエンジン。

この手の古いバイクは大抵キャブレターが問題を起こして不動になるケースがほとんどです。ということで、まずはキャブレターをバラして清掃するところからスタートさせましょう。

さらに問題はバッテリーケース。シートを持ち上げるとフレームの間にバッテリー置き場があります。そのバッテリーを収納するケースがサビだらけなのです。

バッテリーは電解液がチューブから垂れてくるものだし、放電している時に酸性に気化するから周囲に影響しやすいのです。ここも処置が必要な状態でしょう。

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1971年式ホンダCB125のバッテリー置き場。

●足回り

押し引きしつつサスペンションを沈み込ませた感触からは、ヤレというか渋さを感じました。フロントはおそらくフォークオイルの劣化やグリス切れが影響しているのでしょう。

リヤショックはオーバーホールできませんので、どうするか思案中です。リプレイス品に交換してしまえば手っ取り早く、性能も上がることでしょう。ただ、ルックスが損なわれます。

それよりまず第一にタイヤです。ここは問答無用で新品に履き替えましょう。手で触るとトレッドが硬いし、ホイールのスポークもサビが出ています。タイヤを履き替えるタイミングでスポークを張り替えるのが理想でしょう。

そこまでやるなら当然ブレーキも手を入れたいですね。前後ドラムで油圧など使っていないので、構造的にはカンタンです。シューの状態も確認したいので、いずれバラしましょう。

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1971年式ホンダCB125のフロントタイヤ。

●次回はキャブレターの分解清掃

ということで初回は現状確認までです。次回からはいよいよ再生作業に突入します。

その前に前述したように分解などには当時の資料が不可欠です。カタログは奇跡的に手持ちのものがあリましたが、サービスマニュアルやパーツリストはぜひ欲しいです。

今のところ手に入ったのはパーツリストだけですが、これでも無いよりはるかにマシです。

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1971年式ホンダCB125のカタログとパーツリスト。

レストアについて見たり聞いたりした知識は豊富ですし、過去に何台か同じように不動車を路上復帰させたことがありますが、筆者は作業レベルは素人そのままです。

ですのでプロがレストアするのとは違う、誰でもやる気さえあればできる作業により復活させたいと思っています。乞うご期待!

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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