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■ファミリーバイク特約に該当するのは「原動機付自転車」
普段の足として、原動機付き自転車(原付バイク)や125㏄以下のバイクを購入した際、バイクの販売店でバイク保険を勧められたことはありませんか? ここで新規でバイク保険に加入することもできますが、クルマのユーザーは、クルマの任意保険契約でバイク保険がカバーすることができます。
今回は、意外と知られていない自動車保険のファミリーバイク特約について、元自動車ディーラー営業マンが、解説していきます。
●ファミリーバイクって何? 家族で使えばファミリーバイクなの?
ファミリーバイク特約の「ファミリーバイク」は、家族で使うバイクの事を指しているわけではありません。ファミリーバイクに該当するのは「原動機付自転車」で、一般的な原付のイメージである排気量が50㏄のバイクだけでなく、排気量125㏄以下のバイク全般が対象となります。
最近話題のヘルメットなしで運転できる3輪車のトライクも50㏄以下のものはファミリーバイクに該当します。ただしいわゆるサイドカー付きのバイク・側車付き二輪車は除きます。
保険の適用範囲は自己所有の原付バイクに乗っている時はもちろん、友人・知人から借りた原付バイクに乗っている際の事故にも対応してくれる優れものです。自己所有、他人所有に関わらず、日常の生活で原付バイクに乗る機会があるのであれば、是非とも付保しておきたい特約です。
●補償の範囲はかなり広く、自動車保険の年齢条件や運転者条件は関係なし
自動車保険に付帯されるファミリーバイク特約ですが、その補償範囲はかなり広くなっています。補償される範囲は、メインの自動車保険の年齢条件や運転者条件に左右されず、記名被保険者とその家族であれば、しっかりと事故の補償をしてくれます。
この場合の「家族」の範囲は、同居の親族と別居の未婚の子までです。つまり、同居していれば両親や配偶者、子供や子供の配偶者も含まれます。さらに親元を離れて、一人暮らしをしている大学生の未婚の子供が乗る原付バイクでも対象になるのです。このように非常に広い範囲をカバーしてくれます。
実際の補償には、2種類のタイプを用意している保険会社が多く、原付バイク事故の際の、対人・対物補償をメインとした自損傷害タイプと、対人・対物プラス事故時の自分の怪我の補償までを含めた人身傷害タイプが用意されています。
自損傷害タイプの場合、年間保険料は5000円~10,000円程度の加算となり、人身傷害タイプの場合は15,000円~25,000円程度の加算となります。元となる自動車保険の保険料によって、特約を付けた際の加算保険料は異なりますが、毎月ワンコインの500円程度の負担で、原付バイク運転時の補償を受けられるのであれば、バイク保険よりも、かなり割安となります。
●事故を起こしても等級が下がらないので、万が一の時にも使いやすい
ファミリーバイク特約の最大のメリットは事故を起こして保険金請求をしても、主契約の等級が下がらない点です。特約となっているので、保険等級の概念がそもそもありません。通常であれば、事故で保険請求をすれば、1ないし3等級のダウンとなり、1年間保険請求がなければ、1等級アップします。ファミリーバイク特約は「特約」なので、事故の際にはノーカウント事故として扱われ、無事故の場合でも等級に変化はありません。常に一定の保険料で加入し続けられるのが、ファミリーバイク特約の特徴になります。
したがって主契約の自動車保険が20等級のように大きな割引率になっている契約に付帯させることで、お得に加入できるサービスです。クルマを2台以上所有している場合には、等級の大きい保険契約にファミリーバイク特約を付帯しましょう。
●バイク保険の方が安い場合も
保険料がお得なのがファミリーバイク特約の特徴とお話ししましたが、バイク保険と比べて絶対安くなるということではありません。自損傷害タイプの場合には保険料は安いですが、通常のバイク保険の補償内容とは異なります。一般的なバイク保険と同様の補償内容で考えると、人身傷害タイプで比べる必要があります。
主契約のクルマの保険の等級が進んでおらず割引率が低い状態や、クルマの事故で等級がダウンしていたり、事故あり係数適用期間に入っている場合には、バイク保険に単独加入した場合よりも、保険料が高くなる可能性があります。また、長期間バイクを保有し、バイク保険の等級が進んでいく場合では、保険料が一定のファミリーバイク特約と比べて、バイク保険の割引率が大きくなるというケースもあります。
現在の自動車保険の状態にもよりますので、バイクを保有する期間が長くなる場合には、一度、保険代理店に相談してみるといいでしょう。
●まとめ
自動車保険なのに、なぜバイクの補償があるのかと疑問になるような、あまり知られていないファミリーバイク特約について解説してきました。同居家族全体に補償範囲が広がっているので、自分が原付に乗らない場合でも、家に原付バイクがある場合には積極的に加入を検討すべき特約です。一度、自分の保険証券をチェックして、加入の有無を調べてみましょう。
(文:佐々木 亘)