洗浄だけじゃない。大事な役割をもつウォッシャー液のチェック【誰でもできるカーメンテ】

●故障していると、事故にもつながりかねないウィンドウウォッシャー、日常から確認を怠らないようにしましょう。

クルマのフロントガラスを綺麗に洗浄するためのウィンドウウォッシャー液は、洗浄以外にも多くの役割があります。ウォッシャー液が出なくなってしまうと、前方視界不良などで運転中に危険な思いをすることも少なくありません。

今回は、ウォッシャー液の役割や、ウォッシャー液が出なくなった時の対処法をご紹介していきます。

・洗浄だけではない、ウォッシャー液の役割

水でも代用可能と思われがちなウォッシャー液ですが、専用のウォッシャー液には様々な性能があることをご存知でしょうか。その性能は大きく4つに分けられており、洗浄性能、保護性能、凍結防止性能、防錆性能となっています。

洗浄性能は、文字通り、ガラスの汚れを落とす性能です。専用のウォッシャー液には汚れを分解して落としやすくする成分(界面活性剤)が含まれています。油膜や油分の多い汚れなど、水では落としにくい汚れも、しっかりと落としてくれるので、運転中の視界を確保することに貢献してくれます。

ワイパー
ワイパーの作用を補助する役割のウォッシャー液は、ガラスの洗浄に大きな効果を発揮します。

保護性能は、ワイパーが乾いたガラスの上で作動することにより、ガラスに傷ついたり、ワイパーゴムが痛むのを防ぐものです。クルマのガラスには、塵や埃、花粉や黄砂などの細かな粒子が多く付着しており、このような付着物がある状態でワイパーを作動させると、ガラスが傷ついてしまうことがあります。ウォッシャー液を使用して、ガラスを濡らすことにより、ガラスが傷つきにくくなり、ワイパーゴムの寿命も長くなるでしょう。

氷点下の寒さになる地域では、ウォッシャー液の凍結防止性能にも注目しましょう。ウォッシャー液の代わりとして、水道水を使用することもありますが、水道水は約0度で凍結してしまいます。凍結してしまうと、ウォッシャー液としての噴霧が出来なくなる上に、ウォッシャータンクの破損を起こす可能性もあるのです。寒冷地用に準備されているウォッシャー液は凍結温度が-35度や-50度などと低く設定されているので、寒冷地での凍結の心配が少なくなります。

最後に、防錆性能は、錆を防止する機能です。ウォッシャー液のリザーバータンクや配管は、プラスチックやゴムを使用していることが多いのですが、ウォッシャー液の動線の中で錆びやすいのが噴射ノズルです。水道水を長く使い続けると、噴射ノズルが錆びてしまい、ウォッシャー液の噴霧が出来なくなることがあります。噴射ノズルの錆を予防するためには、防錆剤の入っているウォッシャー液を使用するといいでしょう。

・ウォッシャー液が出ない!そんな時には

ウォッシャー液を出そうと、スイッチをONにしても噴霧されない時には、まずモーター音がするかどうかを確認します。「ウー」とスイッチに連動して噴霧のためのモーターが回っている場合には、タンクに液がなくなっている、凍結している、噴射ノズルが詰まっているという3つの原因を疑ってみましょう。

ウォッシャー液を出そうと思って出てこないときが一番危険です。良好な視界を確保するためにも、しっかり点検を。

ウォッシャー液が無い場合は補充をし、凍結の有無を確認しても問題がないという場合には、噴射ノズルの詰まりが原因の場合が多いです。噴射ノズルの穴はとても小さく、最近では霧状にしてウォッシャー液を噴霧し、洗浄効果を高めている車種も多くなってきており、噴出口の詰まりは、多いトラブルの一つです。外部からの汚れが詰まりの原因となることが多いですが、カーワックスなどで目詰まりしているというケースも多いです。

ウォッシャー液
ウォッシャー液の液量は、ボンネットを開けないと確認できない場合が多いです。定期的に、残量をチェックしましょう。

対処方法としては、マチ針や安全ピンなどの先のとがった細いものを、ウォッシャー液の噴出口に通します。先端の折れやすい爪楊枝は、作業中に折れてしまう可能性があるので、絶対に使用しないでください。詰まっている汚れを取り除くことができれば、正常に噴霧されるでしょう。ただし、霧状に噴霧をするタイプの噴出ノズルの場合には、特殊な工具が必要になるため、この方法は使えません。この場合には、専門業者やカーディーラーに相談してみましょう。

・簡単に対処できないトラブルの場合もあり

ウォッシャースイッチをONにしても、ピクリとも動かず、モーター音もしない場合には、内部のモーターやポンプが故障している可能性があります。または、モーターやポンプを動かすための電気が送られておらず、作動しないケースもあります。この場合はヒューズ切れや、モーター本体の故障が疑われます。

モーターは動いている、液量も十分、目詰まりもないという場合には、タンクとノズルを繋ぐホースが外れていたり、破損をしている可能性もあるでしょう。

このような場合には、カーディーラーや専門業者での部品交換が必要となります。ウィンドウウォッシャーは、安全走行上必要な機能になるので、すぐに相談し、修理の対応が必要です。

まとめ

クルマを安全に運転する上で視界はとても重要です。ウォッシャー液はフロントガラスを綺麗にして視界をよくすることができ、重要な役割を担っています。ウォッシャー液が出なくなるトラブルは、事故につながる危険なものになります。日ごろからしっかりと点検し、トラブルを未然に防ぐとともに、万一のトラブルの際には、すぐに対処できるように、対処方法を確認しておきましょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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