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■レギュラーとハイオクの違いは、ノックしやすいか、ノックしにくいかのオクタン価の差
●ガソリンと軽油を間違えると走行不能になり、エンジンが壊れるリスクあり
最近セルフ式スタンドが増えていますが、それに伴い燃料の入れ間違いも増えています。ガソリンのレギュラーとハイオクの入れ間違いだと大きな問題になりませんが、ガソリンと軽油の入れ間違いは、最悪の場合エンジンが壊れるなど大きな問題を引き起こします。
燃料の入れ間違いによってどんな問題が起こるか、解説していきます。
●ガソリンと軽油の性状の違いと燃焼の違い
ガソリンや軽油、灯油、重油などの燃料は、いろいろな成分が混合している原油を加熱して、蒸留温度を調整することによって抽出します。
ガソリンと軽油の性状の特徴的な違いは、以下の通りです。
・ガソリンは蒸発しやすく、炎を近づけると常温でも容易に着火する。
・軽油は蒸発しにくく常温では引火しないが、ガソリンよりも低い温度で自着火する。
燃料性状の違いを利用して、ガソリンエンジンは混合気を圧縮して点火プラグの火花で混合気に点火し、燃焼する「火花点火方式」です。
一方ディーゼルエンジンは、空気のみを圧縮して高温になった圧縮空気中に軽油を噴射し、蒸発した軽油が自着火する「圧縮自着火方式」です。
●ガソリンのレギュラーとハイオクの違い
ガソリンは、化学処理や精製で得られたさまざまな基材を混合して製造されます。オクタン価は、ノッキングのし難さ(アンチノック性)を表す指標で、オクタン価の高い改質ガソリンなどを配合することで調整されます。
JIS規格では、レギュラーガソリンはオクタン価89以上、プレミアムガソリンはオクタン価96以上と規定されています。オクタン価が高い、アンチノック性が高いとエンジンの圧縮比が上げられるため、燃費(熱効率)が向上します。
一般に、ハイオク(プレミアム)ガソリン仕様のエンジンの方が高い圧縮比設定となっており、出力と燃費性能が優れています。
●レギュラーガソリンとハイオクガソリンの入れ間違い
最近のガソリンエンジンの多くは、ノックセンサーによってノッキングの発生を検出して点火時期を最適制御する「ノッキング制御」が採用されています。
・レギュラー仕様車にハイオクを給油
ハイオクガソリンを入れることでノックしづらくなり、点火時期を進角制御する場合は、多少ですがエンジン出力の向上と燃費改善が期待できます。(点火時期の進角制御をしない場合は、出力や燃費は変わりません)
・ハイオク仕様車にレギュラーを給油
ノッキングしやすくなるため、点火時期は遅れ側に制御されるので出力と燃費が悪化します。最近のエンジンは制御性が優れているので、ノッキングによってエンジンがダメージを受けるようなことはほとんどありません。(ノッキング制御しないと、ノッキングによってエンジンはダメージを受けます)
●ガソリンと軽油の入れ間違い
ガソリンはノッキングしないように着火しづらい特性、軽油は着火しやすい(セタン価が高い)逆の特性が求められます。
・ガソリン車に軽油を給油
給油直後は、噴射系やタンクに残った燃料である程度走行できます。しかし、軽油の割合が増えてくると、着火しやすい軽油の特性によって激しいノッキングが発生し、また蒸発性が悪い特性によって不完全燃焼による黒煙や未燃燃料HCが発生します。
燃焼が不安定で正常な走行はできなくなり、最終的にはエンジンは停止します。
・ディーゼル車にガソリンを給油
着火しにくいガソリンの割合が増えると、自着火できない未燃燃料に起因する白煙が排出されます。燃焼が不安定になり、最終的にはエンジンは停止します。
ディーゼルエンジンの噴射弁やポンプなど噴射系は、軽油の潤滑機能を利用しているので、ガソリンを入れると短時間で噴射系が焼き付く恐れがあります。
すべてのエンジンの構造やシステムは、燃料の性状に合わせて作っているので燃料を間違えると正常に作動しません。さらに運転し続けると、エンジンは大きなダメージを受けます。
使用燃料はクルマによって規定されているので、間違った燃料で不具合が発生してもメーカー保証はないので注意してください。
(Mr.ソラン)