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■2007年以来の王者を目指すホンダのワークスチームが復活!
●マシンはブランニューの新型CBR1000RR-RファイヤーブレードSP
オンロードで争われるオートバイレースにおいて、三大世界選手権と言われているのが「MotoGP」、「スーパーバイク世界選手権」、「世界耐久選手権」です。MotoGPがレース専用に開発されたマシンで競われるのに対して、「スーパーバイク世界選手権」と「世界耐久選手権」は一般人も購入することが可能な市販マシンをモディファイして競われるのが特徴です。
そんな三大世界選手権の一つ、「スーパーバイク世界選手権」の2020シーズンは話題が盛り沢山! ここでは、今年の注目ポイントをご紹介していきましょう。
まずチェックしておきたいのは、ファクトリーチームとして復活することが決まったホンダです。2月21日にはHondaウェルカムプラザ青山(東京都港区)で「チームHRC」の体制発表を行いました。
ライダーは昨年ドゥカティでランキング2位を獲得したアルバロ・バウティスタ選手と、お父さんがかつてWGPで活躍していたレオン・ハスラム選手の2名です。
そしてホンダのニューマシン、新型「CBR1000RR-RファイヤーブレードSP」にも注目が集まります。昨年までのCBR1000RRからフレームもエンジンも刷新した完全新設計のマシンで、市販モデルの最高出力は約218psを誇ります。体制発表会では、チームHRCの2020年仕様のカラーリングも初お披露目されました。ワークスチームらしい、ホンダ伝統のトリコロールカラーが目を引きます。
●高橋巧選手は唯一の日本人女性オーナーのチームからフル参戦
日本人として見逃せないのは、高橋巧選手がフル参戦することでしょう。
2017年に全日本ロードレース選手権JSB100クラス王者となるなど、ホンダの日本人エースといえるライダーが高橋選手なのですが、ついに2020年は世界へと飛び立つこととなりました。高橋選手が所属するのは、「MIEレーシング・アルティア・ホンダ」です。
このチームの代表は、森脇緑さん。モリワキエンジニアリングの創業者である森脇護さんのご息女で、2019年からチェコのプラハを拠点に自身のレーシングチームを立ち上げられました。スーパーバイク世界選手権では、女性のチームオーナーは森脇さんが初めてのようです。
さて、2月24日からは、2020シーズンに向けた2日間のオフィシャルテストがフィリップ・アイランド・サーキット(オーストラリア)で開催されています。チームHRCとMIEレーシングももちろん、このテストに参加しています。
午後から雨が降った1日目の結果は、ハスラム選手が5番手、バウティスタ選手が15番手でした。どちらにとっても新しいチーム、新しいマシンですから、タイムを狙うというよりも、まずはセットアップを煮詰めることを重視しているようです。
期待の高橋選手はというと、参加19人中19番手という結果でした。しかし、この順位は致し方ないこと。というのも、MIEレーシングが新型CBR1000RR-Rを走らせることができたのはこの日が初めて、そして高橋選手も新型CBR1000RR-Rは初ライドだったのです。「今年は初めてづくしのシーズンになるのですが、一戦一戦大事に、諦めることなくステップバイステップで頑張ります」と体制発表会で今シーズンの豊富を語っていた高橋選手。まずは焦らず、マシンとコースに慣れることが高橋選手に与えられた使命でしょう。
●2020シーズンを占う初戦のフィリップ・アイランドは3月1日が決勝
ホンダがスーパーバイク世界選手権でチャンピオンになったのは、2007年が最後。それ以来、ドゥカティ 、ヤマハ、アプリリアといったライバルメーカーに苦汁をなめさせられてきました。特に2015年からは、カワサキのジョナサン・レイ選手が五連覇中と圧倒的な強さを誇っています。ストップ・ザ・カワサキをホンダは果たすことができるのでしょうか?
また、スーパーバイク世界選手権に参戦した日本人選手の中で、シリーズ最上位は芳賀紀行選手の2位(2007年・2009年)となっています。高橋選手には、日本人として悲願のシリーズ制覇の夢を託したいところです(2020年は厳しい戦いになるでしょうが…)。
世界中のレースファンが注目する2020年のスーパーバイク世界選手権は、2月28日〜3月1日、舞台はオフィシャルテストと同じフィリップ・アイランド・サーキットでその幕が切られます。
(長野達郎)