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■気がつけば天井知らずに相場を上げた初代ホンダNSX
●マニュアルで乗りたいなら700万円は覚悟しておきたい
バブル景気時に開発されたクルマには名車が多いという話を良く聞きます。その筆頭がR32スカイラインGT-Rですが、同時期に開発され1990年に発売が開始された初代ホンダNSXを忘れてはいけません。国産車として初めてスーパーカーのジャンルに参入したクルマで、オールアルミモノコックボディのミッドに3リッターV型6気筒VTECエンジンを搭載していました。その後エンジンは3.2リッターに拡大され、2005年まで生産されました。
ということは、最終モデルでも15年、初期モデルでは30年も前のクルマということになります。当然、中古車は手ごろな相場になっていると思いますが、そうではありません。一時期相場を落としたこともあるNSXですが、現在は高値安定状態にあります。最終のNSX-Rでは3000万円台の後半、もしくは4000万円の声を聞くこともあるそうです。一体なぜ、このような事態になったのでしょうか。
●初代ホンダNSXプチヒストリー
まずホンダNSXの歴史をおさらいしましょう。発売された1990年はバブル崩壊前夜ともいえる時期で、1989年に発表されると予約が殺到します。国内だけで見れば1990年9月に発売され同年中に744台、翌年には3849台と高価格帯の2シーターモデルとしては異例の販売実績を残します。トランスミッションは標準の5速MTだけでなくATが用意されたことも販売台数の伸びを加速させた理由の一つです。
1992年11月にエンジン部品を変更してレスポンスを向上させるとともに、遮音材や装備を省くことで120キロも車体を軽量化させたタイプRが追加発売されました。ニュルブルクリンクなどのサーキットでテストされた専用サスペンションも特徴です。
1995年はルーフを脱着式にしたオープントップモデルのタイプTが追加されるとともに、ATをマニュアル感覚で操作できるFマチック、電動スロットル制御システムDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)、トルクリアクティブ・プリロード型LSDなどが新採用されました。
1997年のマイナーチェンジではエンジンが3リッターから3.2リッターに拡大されます。同時に6速MTが採用されますが、従来からのATモデルは3リッターエンジンのまま残されました。また3年ほどだけ製造されてカタログ落ちしていたタイプRに代わる軽量モデルとしてタイプSが新設定されます。専用サスペンションなどを装備するモデルで、これをさらにサーキット向けにしたタイプS・Zeroも設定されました。
1999年のマイナーチェンジを経て2001年にはリトラクタブルヘッドライトを固定式に変更する大々的なマイナーチェンジが実施されます。フロントバンパーやリヤバンパースカート、ドアガーニッシュ、テールランプなどのデザインを変更しつつ、BBSと共同開発した新デザインのアルミホイールと17インチタイヤを採用しています。
2002年にはタイプRの実質的な後継車であるNSX-Rが追加発売されました。実質的にこれが最後のモデルになりますが、2005年にはSUPER GTホモロゲーションモデルであるNSX-R GTが5台限定販売されています。