■リアルとバーチャルのコラボレーション
今年の東京オートサロン2020では「e-Sports」、つまりレーシングゲームと繋がりのある展示やイベントを行っているブースが今まで以上に見受けられました。
フォルシア・クラリオンブースもその一つ。フォルシア・クラリオンとは、2019年4月にフランスの大手自動車部品メーカーであるフォルシアグループにカーナビをはじめとしたカーAV製品メーカーのクラリオンが参入し誕生したメーカーです。
この会社は、クラリオンの強みであるカーナビを起点にしたコネクテッド技術を応用した多目的なユーザーエクスペリエンスを提供できる製品を開発していきます。
そんなメーカーがe-Sports、e-Motorsportsに目を向けたのでしょうか。
「グランツーリスモSPORT」はじめ、現在多くの人がプレイしているレーシングゲームというのは、とても再現度が高いものとなっています。ソフトだけではなく、そのゲームを楽しむためのツール、ハンドルコントローラーやレーシングシミュレーターも充実し、実際のドライビング環境に近いものが再現しやすい時代になりました。
つまり、クルマのエンターテイメントな部分のノウハウを、より身近に多くの人に体感できるチャンスが増えたということです。
今回参考出品した『Immersive Next Sound GEAR ~for e-Sports~』は、リアルのクルマ業界とバーチャルのクルマとのコラボレーションの新たなアプローチとも言えます。
●重くて蒸れるヘッドホンとはおさらば! 快適なレースが可能! 何よりカッコいい!!
『Immersive Next Sound GEAR ~for e-Sports~』は、フォルシア・クラリオンが追求する音をより多くの方に体験していただくため、車載用スピーカー技術を応用したゲーミングチェアです。
ゲーミングチェアで定評のある『DXRACER』のシートの上部左右側面にスーパーカーのダクトを彷彿させるようなスピーカーが追加されています。
「グランツーリスモSPORT」を使った体験試乗もさせていただきました。試す前の印象としては、東京オートサロン2020会場内という、これでもか!というぐらいの人と周りのブースサウンドで賑わっている、ある意味「最悪の環境下」での体験となりました。
確かに周囲の音は聞こえるのですが、そんな中でもマシンサウンドはとても鮮明に耳に届きました。e-Sportsの大会ではヘッドホンをします。外部の音をシャットアウトし、集中はできるのですが、意外と重量があり長時間の戦いとなると重さがじわりとストレスに繋がります。また密閉性が高いので蒸れることで集中力が削がれることも。
更にドライバー交代のあるチーム戦では、ヘッドホンを付け替え、フィットするように調整するという一手間が、わずかながらタイムロスに繋がるということもあります。
『Immersive Next Sound GEAR ~for e-Sports~』ではそういったことは一切なく快適な試合に臨めると感じました。
早い商品化が望まれる、筆者の中で今回の東京オートサロンでもベスト3に入る出展物であったことは間違いないです。
(文・写真:栗原 淳)