■オートサロンに集まった800台、どれもがオンリーワンの魅力を持つ
東京オートサロン2020が1月10日(金)に開幕、今年もカスタムカーの祭典がスタートしたわけです。
例年、オートサロンの会場というのはその年のカスタマイズのトレンドを知る場という風にもいわれていましたが、いまやそうではなくなっています。年々、個性的なカスタムカーが増え、トレンドが見えづらくなっています。かつてのように、同じような車種、似た手法でカスタムされたショーカーが並んでいる時代ではありません。それぞれのビルダーやチューナーが自身のこだわりを詰め込んだショーカーやデモカーを仕上げ、そのテイストの共感するユーザーが支持するという構図ができあがっています。
2020年の東京オートサロンでも、そうした流れは変わっていません。トヨタが200kWの1.6Lターボエンジンを積んだ4WDホットハッチ「GRヤリス」をデビューさせたことは話題となっていますが、スポーツカー一辺倒でもなければ、ミニバン一辺倒でもありません。軽自動車からスーパースポーツまで等しく価値を評価されるのがオートサロンの会場なのです。
流行りの言葉を使えば、カスタマイズのダイバーシティとでもいいましょうか。
じつは2020年の東京オートサロンは出展車両が前年の906台から800台へと大きく減っています。しかし、カスタマイズの多様化がいっそう進んだことで、出展車両がそんなに減ったとは感じられません。これには理由があって、車両台数は減っていますが、出展者は前年の426社から438社へと増えているのです。それだけチューナーやビルダーの参加が多くなっているわけですから、多様化が進むのは当然なのです。
4つのホール、すべての展示会場を見回ってみると、出展車両が減ったという印象は受けませんでした。次から次へと新しいスタイルのドレスアップやチューニングのアイデアが盛り込まれているのですから「似たようなクルマ」を見かけることが減っています。結果として、実際の台数よりも多くのカスタマイズカーを見たという気分になれるから不思議なものです。
東京オートサロン2020を訪れる目的は様々で、絶対にチェックしたいクルマやショップ、チューナーなどが決まっているかもしれません。ですが、せっかく会場を回るのならば、フラットな気持ちで居並ぶカスタムカーを見てほしいと思います。そうすると、いままで気にかけていなかったようなジャンルがピピッと刺さることがあるでしょう。
年式でいえば最新モデルから50年以上前の旧車まで、軽自動車からトラックまでが混在しているオートサロンの世界。カテゴリーやジャンルはさらに多岐にわたっています。先入観なしで、心を真っ白にしてオートサロン会場を歩いてみれば、自分の中に新しいクルマ趣味を発見できるかもしれません。それも東京オートサロンの楽しみ方です。
(山本晋也)