日産がカルロス・ゴーン氏の日本「逃亡」についてコメントを発表

■カルロス・ゴーン氏の国外逃亡について遺憾の意を表明。不正行為については引き続き追求の姿勢を崩さず

日産自動車の元会長であり、同社における不正行為によって被告となっていたカルロス・ゴーン氏が、保釈条件に反して海外へと逃亡した事件は、様々な視点から注目を集めています。

その当事者といえる日産自動車からステートメントが発表されました。

以下、その全文を転載します。

検察当局の声明にもある通り、当社の元会長カルロス・ゴーン氏が、裁判所の定めた保釈条件に違反し、裁判所の出国許可を得ないままレバノン共和国へと逃亡したことは、日本の司法制度を無視した行為であり、極めて遺憾です。
これまで当社は、適正かつ公正に内部調査を実施し、ゴーン氏による数々の不正行為を認め、経営者として不適格であるとの判断により、社内でのすべての役職を解任いたしました。同氏による不正規模は、報酬虚偽記載や会社資産の私的流用など多岐にわたり、極めて甚大なものです。また、これまで発表されている通り、米国SECも同氏の不正を認定しており、フランス国内においても同氏を被疑者とする捜査が開始されています。
当社としては、引き続き司法及び規制当局に協力し、適切に対応してまいります。
当社の社内調査において判明したゴーン氏の不正行為について、同氏に対して責任を追及するという当社の基本的な方針は、今回の逃亡によって何ら影響を受けるものではありません。
当社としては、同氏らの不正行為により被った損害の回復に向けた財産の保全や損害賠償請求など、適切な法的手続を継続して行っていく方針です。

有価証券報告書における虚偽記載、私的な借金の付け替えといった、これまで報道されている不正行為については日産自動車は被害者ではなく当事者という側面もありますが、そうした部分も含めてしっかりと膿を出し切るといった強い意思の感じられるステートメントといえます。

NISSAN Global Headquarter
日産自動車グローバル本社

一部報道によるとゴーン氏は日本の司法に対する不満をコメントしたようですが、その点についても日本だけでなくアメリカやフランスでも問題視されていることを示し、ローカルな話ではなくグローバル企業としての問題であることも、このステートメントでは明示しています。ステートメントのタイトルは『元会長カルロス・ゴーンの出国について』というものですが、本文中では「出国」ではなく「逃亡」という言葉を使っているのも、日産自動車としての強い怒りを感じさせるものです。

海外逃走によって新たな局面となった、いわゆる「カルロス・ゴーン事件」は、はたしてどのような結末を迎えるのでしょうか。

いずれにしても、日産自動車は製品の魅力によってこの事件による負のイメージを払拭するしかありません。軽自動車「デイズ」は2019年にプラットフォームやパワートレインといった全身を一新していますが、日本向けの登録車はいずれもカルロス・ゴーン体制下で登場したモデルばかりです。新生・日産を象徴するようなフレッシュなモデルの登場にも期待したいものです。

Carlos Ghosn
Carlos Ghosn

(山本晋也)

【関連リンク】

日産自動車『元会長カルロス・ゴーンの出国について(ステートメント)』
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/200107-00-j

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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